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医学系OSCE-学習・評価項目第2版
 
「診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学習・評価項目」
【医学系 第2版】 (平成18年9月)

− 項 目 −
(クリックするとジャンプします)
T.診察に関する共通の学習・評価項目
U.医療面接
V.全身状態の把握
W.バイタルサインの測定
X.頭頸部診察
Y.胸部診察
Z.腹部診察
[.神経診察
\.外科系基本手技
].救急

■「学習・評価項目」の主な変更点とその理由
U.医療面接
(1)報告という項を新しく作成した。
理由:診療参加型臨床実習にのぞむ学生に求められる能力のうち、インタビューや診察を通じて得た患者情報を適確に他者に報告、プレゼンテーションする能力についての学習・評価項目の作成を求める声が以前より多くあり、今回その議論を進めるためのたたき台を医療面接ステーションが中心になって作成することになった。
V.全身状態の把握
(1)全身状態の把握という章を新しく作成した。
理由:従来の学習・評価項目は、部位または系統に基づき構成されているため、臨床的に重要な全身状態の把握に関する項目が欠けていた。今回これを補うために、全身状態の把握に関する学習・評価項目の案を作成した。
基本的に通常の外来での遭遇を想定し、脱衣などをせずに情報を得られる部分に限定して項目を作成したが、今回のものは素案であり、このようなコンセプトを含めてその妥当性を広く検討していただき、より適切な学習・評価項目を作成していく必要がある。
なお、全身状態の把握は本来高度な臨床的判断能力に依存するものであり、臨床実習開始前の学生に要求することは不適切であると考えたこと、現状のOSCEに利用しうる資源を考慮したときにOSCEにより全身状態の把握を評価することは困難であることなどから、現時点では課題を作成することは考えていない。但し、これについても広く関係者の意見を得る必要がある。
W、Y.バイタルサインの測定、胸部診察
(1)従来の胸部ステーションで、心臓、肺、バイタルサイン測定の手技を組み合わせた課題を実行するには5分では時間的に不可能であること。それぞれ重要な手技であり、心臓・肺を胸部ステーションとして、バイタルサインに四肢の診察等をくわえてバイタルサイン測定ステーションとした。
(2)バイタルサイン測定ステーションとしての独立に際して、そのほかのバイタルサイン(意識、体温、呼吸)の項目を加えた。さらに、重要な診察であり、仰臥位で行う、四肢動脈の診察、浮腫の診察を追加した。
X.頭頸部診察
頭部の診察
(1)頭
大きな変更なし。
(2)眼
 1)貧血の観察、黄疸の観察をそれぞれ眼瞼結膜の観察、眼球結膜の観察とした。それにあわせて、黄疸の有無という表現を、黄染の有無と変更した。
理由:所見ではなく、観察部位を表記する形に統一した。
  2)瞳孔、虹彩の観察に、レンズの混濁を追加した。
(3)耳
 1)“耳介を視診する”を”耳介およびその周囲を観察する”に変更し、結節を追加した。
 2)“*耳介およびその周囲を触診する:耳介の牽引による痛み、耳介前後部の圧痛を確認する。”を追加した。
 3)聴力検査を以下のように変更した。
 “指こすり、音叉などで聴力を評価する。”とし、時計を削除した。
 “検者の聴力を基準として、患者さんの聴力を確認する:指こすりの場合は、最初に検者の耳で指こすりの音を確認し、その音を患者さんが聞き取れるか確認する。音叉の場合は、患者さんが聞こえなくなった時点で素早く検者の聴力と比較する。”を追加した。
 “指こすり、音叉などの音を、左右の耳から同じ距離で聞いてもらい、聞こえ方に左右差があるかを尋ねる方法も行われる”に変更した。
理由:検者を対照とする方法と被検者の両側の耳を対照とする方法両方を記載した。
“*音叉は、低音用(128Hz)と高音用(4000Hz)を使いわける。”を追加した。
理由:臨床実習終了時には使い分ける理由を理解する必要があると考えたため。
“*聴力に異常がある場合、音叉を用いWeber試験、Rinne試験(追加)を行う。”
 4)耳鏡による診察を、以下のように変更した。
 “耳鏡の挿入による外耳道への傷害を起こさないように十分に配慮する。”
を追加した。
理由:注意を促すため。
 “耳鏡で外耳道・鼓膜を観察する。”とまとめた。
(4)鼻
 1)“副鼻腔(上顎洞・前頭洞)の圧痛、叩打痛を確認する。”から*をはずした。
 2)“*耳鼻鏡を用いて前鼻腔を観察する。”を追加した。
(5)口唇・口腔・咽頭
 1)視診という用語を、観察という言葉に置き換えた。
 2)舌の観察において、舌縁の観察を追加した。
 3)口腔底の観察に、舌下面の観察を追加した。
 4)口蓋を、硬口蓋とした。
 5)咽頭後壁を、咽頭後壁・軟口蓋とした。また観察すべき所見にリンパ濾胞の腫大を追加した。
 6)舌圧子の廃棄を、“感染性廃棄物として適切に廃棄”に変更した。
理由:今後この方向に誘導すべきと考えたため。
(6)唾液腺
変更なし。
(7)頭頸部リンパ節
 1)“原則として、第2-4指(または第2-3指)の指腹を皮膚に密着させ、円を描くように触診する(後頭部、耳介後部、耳介前部、後頸三角、胸鎖乳突筋浅層のリンパ節)”を追加した。
理由:より理解しやすくすることを意図した。
  2)“片側ずつ、触診しているリンパ節に意識を集中して丁寧に診察する。”を追加した。
理由:形式的な手技ではなく、丁寧な触診を誘導することを意図した。
 3)“*腫脹がある場合、数、部位、大きさ、形状・集簇性、表面の性状、硬さ、圧痛、可動性を記載する。”を追加した。
 4)下図を追加した。
   追加図
Z.腹部診察
(1)全般的注意事項
 1)腹部の露出範囲を「心窩部から恥丘(鼠径部)までが見えるようにする」から、「可能な限り心窩部から恥丘、鼠径部までの範囲を診察できるようにする」へと変更した。
理由:患者さんの羞恥心にも配慮し、状況に応じて診察しやすくするため。
(2)病態に応じた精密診察法
 1)圧痛の触診で、虫垂炎が疑われる場合、McBueney圧痛点に加えて、Rovsing徴候を追加した。
理由:Rovsing徴候は尤度比が高く、診断的価値が高いため。
 2)腹膜刺激徴候に、簡便で尤度比の高い咳嗽試験を追加した。
理由:咳嗽試験は、簡便で尤度比が高く、診断的価値が高いため。
 3)参考資料として虫垂炎、胆嚢炎、腹膜炎を検出する各種徴候の感度・特異度・尤度比の表を引用著書名とともに記載した。
理由:診断的価値のある徴候であることを示すため。
 4)直腸診における視診,触診,肛門内指診,直腸内指診の具体的な所見を列挙した。
 5)直腸診において直腸指診終了後、「示指を静かに引き抜き」を加えた。
理由:患者さんへの配慮を明記するため。
 6)直腸診において終了後の用具等の処理法を具体的に記載した。
[.神経診察
今回は、日本神経学会からの提言も考慮して、多くの点で改訂した。
(1) 数値の記載を一部消去した。眼底 5cm、Romberg 5-10秒など。
理由:数値を明記するとOSCEで学生が時間を計るなどの対応が出てきたため。
(2)感覚系の診察の検査具に関する注記を変更した。
理由:不適切表現であったため。
(3)*調節・輻輳反射を*輻輳と近見反射に変更した。
理由:不適切表現であったため。
(4)眼球運動・眼振に「(注)複視があるとき右上、右下、左上、左下を追加し、正面とで計9方向を検査する。」を入れた。
理由:より明確にするため。
(5)眼に関する診察の順を1)視野2)眼球運動・眼振3)*輻輳と近見反射4)瞼裂・瞳孔/対光反射5)眼底に変更した。
理由:不適切表現であったため。
(6)*角膜反射、*咬筋と側頭筋の診察方法を追加した。
理由:意識障害、脳死判定などで将来重要項目であるため。(角膜反射)
より明確にするため。(咬筋と側頭筋)
(7)顔面筋は、「上方への眼球運動などをさせてもらい、額のしわ寄せを観察する」を、「*」なしで臨床実習開始前に教育すべき項目として追加した。
理由:重要項目で、より明確にするため。
(8)上半身の不随運動で「指を広げたままで手首を背屈してもらい、固定姿勢保持困難(*羽ばたき振戦と言われることもあるが厳密には振戦ではない)の有無を観察する。」を、*なしで臨床実習開始前に教育すべき項目として追加した。
理由:重要項目であるため追加した。
(9)手回内・回外試験の診察法の表現を変更し、肘は屈曲でも伸展でもよいとした。
理由:表現不足だったため。
(10)徒手筋力検査の判定法を、臨床実習開始前に教育すべき項目として追加した。5−0の6段階評価の基準を明示し追加した。
理由:表現不足だったため。
(11)上肢、下肢の徒手筋力検査の項目で、上腕二頭筋、上腕三頭筋、手関節の背屈(手根伸筋群)、手背の掌屈(手根屈筋群)、大腿四頭筋、大腿屈筋群の*をはずし、臨床実習開始前に教育すべき項目とした。
理由:重要項目なので、「*」をはずして追加した。
(12)上肢に*母指、小指対立筋を加えた。
理由:重要項目なので追加した。
(13)すね叩き試験は踵膝試験の注とし、診察法の記載を削除した。
理由:あまり行われていないため。
(14)*筋トーヌス(膝関節)を追加した。
理由:将来的に重要項目なので「*」で追加した。
(15)徒手筋力検査*下腿三頭筋(立位での方法)と診察順の注記を追加した。
理由:重要項目なので追加した。
(16)下肢の振動覚の診察の標準を外果から内果に変更した。
理由:施行のし易さから変更した。
(17)下肢の関節覚を下肢の位置感覚に変更した。
理由:表現の明確化のため。
(18)橈骨反射を橈骨反射(腕橈骨筋反射)に変更した。また、「(注)手関節上部に指をのせて、これをハンマーで叩いてもよい。」を追加した。
理由:表現の明確化のため。
(19)アキレス腱反射に、「(注)壁に向かってベッド上に膝立ちしてもらい、足底先端に左手をあて、交互にアキレス腱をハンマーで叩く方法もある。」を追加した。
理由:重要項目なので追加した。
(20)*Tromner反射、*Chaddock反射を追加し、診察法を記載した。
理由:重要項目なので追加した。
(21)見当識の項目を、「時(年月日、曜日)を尋ねる。」「場所を尋ねる。」「人を尋ねる。」に分けた。
理由:表現の明確化のため。
(22)*失語を追加し、診察法を記載した。
理由:重要項目なので追加した。
(23)意識レベルの診察を新たに追加し、診察法、判定基準を記載した。すべてを「*」なしの臨床実習開始前に教育すべき項目とした。
理由:重要項目なので追加した。
\.外科系基本手技
(1)章の名称変更は行わずに「外科系基本手技」のままとして、「一般手技」の項を新設して、学生が臨床実習で実施する可能性の高い手技として「静脈採血」と「持続的導尿」を新たに作成追加した。また、「一般手技」に対して「外科手技」の項を作り、従来からの「手術時手洗い」「滅菌ガウン」「縫合抜糸」をここにまとめた。この中で初学者には馴染みにくい「清潔」と「不潔」という用語について解説した。
(2)その他、誤解しやすい表現を一部修正した。
].救急
(1)第1版で予告してあった変更を行い、学習評価項目を一新した。国際コンセンサス2005に基づいて、下表に例示するように心肺蘇生法の用語や手順を変更した。
第1版 第2版

心臓マッサージ

胸骨圧迫

胸骨圧迫:人工呼吸 = 15:2

胸骨圧迫:人工呼吸 = 30:2

AED解析や除細動後は心電図解析や循環観察

AED解析や除細動後は胸骨圧迫

理由:ガイドラインの改定のため。
(2)記載順を変更し「成人の心肺蘇生法→小児の心肺蘇生法→意識障害患者への初期対応」の順番とした。
理由:より一般的な学習順序と考えられるため。
(3)バイタルサインの測定(臥位)を削除した。
理由:他の章との重複を避けるため。
(4)以下の項目を追加した。
  1)小児の心肺蘇生法
  2)気道異物による窒息への初期対応
理由:一般市民を対象にした応急手当でも教育されている内容であり、臨床実習の医学生なら当然習得していることが望まれるため。
(5)以下の項目を追加した。
 1)(*)重症救急病態に対する救命治療
 2)(*)初期救急病態の鑑別と初期治療
理由:コアカリキュラムを参考に臨床実習で習得すべき項目を「*」印付きで追加するため。(全ステーション共通)
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T.診察に関する共通の学習・評価項目
(1)プライバシーや苦痛への配慮
  • 患者さんのプライバシーおよび羞恥心に配慮する。
  • 手および聴診器を必要に応じて温める。
  • 非診察部位をバスタオルなどで覆う。
(2)身だしなみ
  • 全体の印象で不快感がなく、清潔感がある。
  • だらしない振る舞いをしない。
  • ユニフォーム(白衣)は洗濯済みで、清潔である。
  • ユニフォーム(白衣)のボタンをきちんととめ、名札をつけて着用している。
  • ユニフォーム(白衣)のポケットの中のものに配慮する。(診察中に落ちたり、飛び出したりしないように注意する)
  • 華美な服装(化粧・アクセサリーなど)でない。
  • 髪型頭髪が多くの患者さんにとって抵抗感がない。
  • ヒゲは手入れされている。
  • 不快な口臭・体臭がない。
  • 爪はきちんと切ってある。
  • マニキュアはしていないか、あるいは派手でないもの。(淡色で目立たない)
  • 履物は動きやすく清潔感があり、足にフィットしている。(サンダルは不可)
  • 履物の音が大き過ぎない。
  • 聴診器の扱いに配慮できる。
  • 診察前に手および聴診器を清潔にする。
  • グループ行動の際や廊下の歩行の際に患者さんに不快感を与えない。
(3)言葉遣い
  • 患者さんに適した声の大きさである。(高齢者にも聞こえる/小児が驚くことがない)
  • 患者さんがわかり易い速さで話す。
  • 患者さんへの敬意が感じられる言葉遣い(適切な敬語)である。
  • 患者さんを気遣う言葉を使う。
(4)挨拶や説明
  • 挨拶、自己紹介、患者確認をする。
  • 診察をする旨を告げ、了承を得る。
  • 診察の種類に合わせて適切に声をかけ不安の軽減につとめる。
  • *診察の区切りで所見を患者さんに説明する。
  • 診察終了後に挨拶をする。
  • 診察終了後、次のステップ(どこで待っていただくなど)の説明をする。
患者の視点に立った安全性の高い医療の提供が社会的要請である。医療安全に関する知識の習得に加え、ダブルチェックやチェックリスト法などの具体的な予防方法に関する手技の習得が必要である。さらに、医療上の事故の予防に加え、発生後の対応に関する学習も必要である。また、医療従事者自身の安全確保や事故対応に関する学習内容も盛り込むことが適当である。このような学習は医学生が患者に直接接する臨床実習開始前までに行う必要があり、また実習病院の実情に合わせた内容で行うことが重要である。

学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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U.医療面接
(1)導入部分:オープニング
  • 適切な呼びいれをする。(失礼でない声かけ、明確な発音。「次の方どうぞ」などではなく名前で呼び入れる)
  • 患者さんが入室し易いように配慮する。(ドアをあける、導く、荷物置き場を示すなど)
  • 患者さんに椅子をすすめる。(必要があれば介助する)
  • 同じ目の高さで患者さんに対して挨拶をする。
  • 患者さんに対して自己紹介をする。(フルネームないしは姓のみ、明確な発音、難しい漢字は名札を示す)
  • 患者さんの名前をフルネームで確認する。患者さんに名乗ってもらう場合は、確認のためにという目的を告げる。
  • 面接を行うことの了承を患者さんから得る。
  • *(症状の強い場合)面接を行うことが可能かどうかを患者さんに確認する。
  • *(症状の強い場合)患者さんが楽な姿勢で面接を行えるように配慮する。
  • 適切な座り方をする。(患者さんとの距離、体の向き、姿勢、メモの位置)
  • 面接の冒頭で患者さんの訴えを十分に聴く。
(2)患者さんとの良好な(共感的)コミュニケーション
  • 患者さんにわかり易い言葉で会話する。
  • 患者さんと適切なアイコンタクトを保つ。(質問するときだけはなく、患者さんの話を聴くときにも適切なアイコンタクトを保つ)
  • 患者さんにわかり易い言葉で会話する。
  • 患者さんに対して適切な姿勢・態度で接する。
  • 聴いている時に、相手にとって気になる動作をしない。(時計を見る、ペンを回す、頬杖をつくなど)
  • 患者さんの状態にあった適切な声の大きさ、話のスピード、声の音調を保つ。
  • 積極的な傾聴を心がける。(冒頭以外でもできるだけ開放型質問を用いて患者さんが言いたいことを自由に話せるように配慮する)
  • コミュニケーションを促進させるような言葉がけ・うなずき・あいづちを適切に使う。
  • 相手が話しをし易い聴き方をする。(さえぎらない、過剰なあいづちをしないなど)
  • 患者さんの言葉を適切にパラフレーズ(繰り返し)する。
  • 聴きながら、必要があれば適宜メモをとる。
  • 患者さんの気持ちや患者さんのおかれた状況に共感していることを、言葉と態度で患者さんに伝える。(態度が伴わない言葉がけでは不適切)
  • 患者さんの訴えや経過を患者さんの言葉を使って適切に要約する。
  • 患者さんの訴えや経過の要約に間違いがないかを確認する。
(3)患者さんに聞く(話を聴く):医学的情報
  • 症状のある部位を聞く。
  • 症状の性状を聞く。(症状の性質、頻度、持続時間など)
  • 症状の程度を聞く。(症状の強度、頻度、持続時間など)
  • 症状の経過を聞く。(症状の発症時期、持続期間、頻度や程度の変化など)
  • 症状の起きる状況を聞く。
  • 症状を増悪、寛解させる因子を聞く。
  • 症状に随伴する他の症状を聞く。
  • 症状に対する患者さんの対応を聞く。(受診行動を含む)
  • 睡眠の状況を聞く。
  • 排便の状況を聞く。
  • 食欲(食思)の状況を聞く。
  • 体重変化を聞く。
  • (女性の場合)月経歴を聞く。
  • 症状が患者さんの日常生活に及ぼす程度を聞く。
  • 既往歴を聞く。
  • 常用薬を聞く。
  • 家族歴を聞く。
  • アレルギー歴を聞く。
  • 嗜好(飲酒、喫煙など)を聞く。
  • 生活習慣(一日の過ごし方)を聞く。
  • 社会歴(職歴、職場環境など)を聞く。
  • 生活環境(衛生環境、人間関係など)・家庭環境(ペット、家族構成など)を聞く。
  • 海外渡航歴を聞く。
  • System reviewを行う。
(4)患者さんに聞く(話を聴く):心理・社会的情報
  • 患者さんの生活や仕事などの社会的状況を聞く。
  • 患者さんの思いや不安などの心理的状況を聞く。
  • 患者さんの病気や医療に関する考えや理解(「解釈モデル」)を聞く。
  • 患者さんの検査や治療に関する希望や期待、好みなどを聞く。
  • 患者さんの過去の「受療行動」を聞く。
  • 患者さんの過去の「対処行動」を聞く。
  • 患者さんの特に気になっていること心配していることを、詳しく聞く。
  • 他医受診(代替医療も含む)の有無と処方内容を聞く。
(5)患者さんに話を伝える
  • 患者さんにわかり易い言葉で話をする。
  • 患者さんが話を理解できているかどうか確認する。
  • 話の途中でも患者さんに質問がないかを確認する。
  • 患者さんが質問や意見を話せるように配慮する。(雰囲気、会話の間など)
  (患者さんとの診療計画の相談のプロセスは省略)
(6)締めくくり部分:診察への移行/クロージング
  • 聞き漏らしや質問がないか尋ねる。(まだお聞きしていないことや、ご質問はございますか?)
  • 面接終了後、患者さんが次にどうしたら良いかを適切に伝える。
    (身体診察へ移行する場合)
    身体診察を始めることの同意を得る
    (クロージングする場合)
    *何かあればいつでも連絡できることを患者さんに伝える。
    患者さんが退室する際に配慮する。(必要があれば介助する)
    挨拶をする。(おだいじに、お気をつけて、など)
(7)全体をとおして
  • 順序立った面接:主訴の聞き取り、現病歴、その他の医学的情報、心理・社会的情報の聴取などを系統的に、あまり前後せずに順序立って進める。
  • 流れに沿った円滑な面接:患者さんの話の流れに沿って面接を進め、話題を変えるときには(特に家族歴・既往・心理社会的情報などの聴取に移るとき)、唐突でなく適切な言葉がけをする。(たとえば「症状と関連することもあるので、ご家族のことについて伺わせてください」など)
(8)報 告
 (注)症例提示(プレゼンテーション)は、臨床実習を通じて身に付ける能力であるが、臨床実習開始時
    においても、面接を通じて得た情報を簡潔に他医師に報告する能力の獲得が必要と考え、本学習
    ・評価項目を提示する。
  1)態度・コミュニケーション
  • 報告を受ける人に対して、適切に挨拶や自己紹介をする。
  • 適当な声の大きさ・スピードで報告する。
  • 適切な姿勢、視線などで報告する。
  • わかりやすく、明瞭な言葉遣いで報告する。
  • 正しい医学用語を適切に使用する。
  • 患者に敬意をはらった態度で報告する。
  • 相手が理解したか、質問があるか、確認する。
  • 締めくくりの挨拶を述べる。
  2)情 報
  • 冒頭に患者の基本情報、全体像、および主たるプロブレムを簡潔な言葉で伝える。
  • 症状の必須7項目(部位、性状、程度、経過、状況、増悪寛解因子、随伴症状)を中心にプロブレムの概要を伝える。
  • プロブレムに関連する他の医学的情報を伝える。
  • プロブレムに関連する心理社会的情報を伝える。
  • 患者の解釈モデルや希望を伝える。
  • 上記の情報を簡潔に順序だてて報告する。
  3)臨床推論(clinical reasoning)
  • プロブレムの解決に向けてその段階での推論を伝える。
  • プロブレムの解決に向けてその段階で必要なプラン(診断、治療、教育)を伝える。
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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V.全身状態の把握
 全身状態の把握は診療の全課程を通して行われる。
(1)第一印象
  • 短時間で全身状態を推測する。
  • *緊急度・重症度、精神状態により対応が異なることを理解する。
    →救急の対応を要する場合は救急の章を参照
(2)視診
  • 体型・体格・発達を観察する:肥満、やせ、低身長、筋肉質など。
    →*小児の場合は成長・発達の状況も把握する。
  • 身なりを観察する:清潔さ、化粧の状態や着衣の乱れなど。
  • 体位・姿勢・動作を観察する:患者の体位(臥位・座位・立位など)、起立、歩行、着・脱衣の様子、麻痺や振戦、不随意運動など。
  • 呼吸状態を観察する:過呼吸、努力性呼吸、起座呼吸 など
  • 顔貌を観察する:苦悶様顔貌、仮面様顔貌、満月様顔貌など。
  • 皮膚を観察する:蒼白、黄染、紅潮、チアノーゼなど。
  • 浮腫を観察する:全身性浮腫、局所性浮腫。
  • 躯幹・四肢を観察する:変形、欠損など。
  • 眼鏡・補聴器・装具の有無を観察する。
(3)触診
  • 脈拍を触診する:頻脈、徐脈、不整、緊張など。
  • 発汗の状態を把握する:乾燥・湿潤。
  • 体表温を把握する:冷感・熱感。
(4)反応
  • 指示に対する反応:反応の早さ、適切さなど。
(5)臭い
  • 体臭・口臭:アルコール臭、ケトン臭、尿臭、便臭など。
(6)バイタルサイン(バイタルサインの測定を参照)
(7)身体計測
  • 身長を測定する。
  • 体重を測定する。
  • Body mass index(BMI)を身長と体重から求める。
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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W.バイタルサインの測定(四肢動脈の診察などを含む)
(1)診察時の配慮
 「T.診察に関する共通の学習・評価項目を参照。
(2)意識レベル
 神経の項を参照。
(3)体温
  • 腋窩体温計を測温部が最深部にあたるように腋窩に挿入する。
  • 腋窩を閉じて、決められた時間(体温計の必要時間)測定する。
(4)呼吸
  • *体位を確認する。(呼吸困難のときの起坐位、側臥位など特異な体位の有無)
  • 呼吸数を測定する。(30秒数えて2倍する)呼吸数を数えたらその結果を述べる。(毎分○○回です)
  • 呼吸の異常(型・リズム・速さ・深さ)の有無を確認する。
(5)上肢の脈拍・血圧測定(座位・仰臥位)
  1)脈拍
  • リラックスするように声をかける。
  • 両腕の橈骨動脈に検者の3本の指(第2・3・4指先)をあてる。
  • 左右差の有無を確認する。
  • 不整の有無を確認する。
  • 3本の指を使って緊張度を診る。
  • *脈の性質(大脈、小脈、速脈、遅脈、奇脈など)を診る。
  • 左右差がないのを確認してから片方の腕で脈拍数を数える。(15秒数えて4倍する)脈拍数を数えたらその結果を述べる。(毎分○○回です)
  2)血圧測定の準備
  • これから血圧を測定する旨を告げ、リラックスしてもらう。
  • 血圧計を使用できる状態にセットする。
  • マンシェットの大きさが適切であることを確認する。
  • 枕や支持台を利用して上腕の位置が心臓の高さとなるように調節する(座位のみ)。
  • 十分に上腕を露出する。
  • 肘が曲がらないようにする。(特に座位のときに注意)
  • 上腕動脈を触診して位置を同定する。
  • マンシェットのゴム嚢の中央が上腕動脈の真上にくるように巻く。(ゴム管は上でも下でもよい)
  • マンシェットの下端と肘窩との間隔は約2cmあけて巻く。
  • マンシェットは指が1-2本入る程度のきつさで巻く。
  3)血圧(触診法)
  • 橈骨動脈を適切に触れる。(肘窩上腕動脈でもよい)
  • 水銀柱を70mmHgまで速やかに上昇させその後10mmHgずつ上げてゆく。
  • 橈骨動脈の脈が触れなくなった圧からさらに20-30mmHg上まで速やかに上昇させる。
  • その後、1秒間に2mmHgずつ内圧を下げる。
  • 脈が触れ始める値を収縮期血圧とする。
  • 収縮期血圧値が決定した後は急速に内圧を下げる。
  4)血圧(聴診法)
  • 聴診器のイヤピースを外耳道の方向にあわせて装着し、チェストピースを適切に把持する。
  • 聴診器を肘窩の上腕動脈の上に置く。(膜型でもベル型でもよい)
  • 触診法で決定した収縮期血圧から20-30mmHg上まで内圧を速やかに上げる。
  • その後、1秒間に2mmHgずつ内圧を下げる。
  • Korotkoff音が聞こえ始めた値を収縮期血圧とする。
  • Korotkoff音が聞こえ始めても、同じスピードで内圧を下げる。
  • Korotkoff音が聞こえなくなった値を拡張期血圧とする。ただし、Korotkoff音が聞こえなくなっても10mmHgはゆっくり内圧を下げ、再度聞こえることがないのを確認する。(聴診間隙の確認)
  • それ以後は急速に内圧を下げる。
  • 30秒おいてもう1回測定し、2回の平均値をとって血圧とする。
  • 同様に反対側の血圧を測定する。(初診では必ず両側で測定する)
  • 血圧値を正しく述べる。(単位mmHgをつけて、収縮期血圧/拡張期血圧の順に述べる。血圧値は原則として偶数で読む)
(6)下肢の脈拍・血圧測定(仰臥位)
  1)後脛骨動脈の触診
  • 仰臥位になってもらう。
  • 内果の背側やや下方に沿うように第2、第3指先(または第3、第4指先)をあてて、拍動を触知する。
  • 両側の後脛骨動脈を同時に触診し、左右差を確認する。
  2)足背動脈の触診
  • 仰臥位になってもらう。
  • 長母指伸筋腱を確認する(母指をやや背屈させるとわかりやすい)。
  • 長母指伸筋腱のやや外側に第2、第3指先(または第3、第4指先)をあてて、拍動を触知する。
  • 両側の足背動脈を同時に触診し、左右差を確認する。
    (注)健常者でも足背動脈は触れにくいことがある。
  3)膝窩動脈の触診
  • 仰臥位になってもらう。
  • 一方の膝関節を軽く曲げた状態に検者の両手で保持する。
  • 両手で包み込むように、母指は膝蓋骨の前面に置き、第2〜4指(または〜5指)は指先を合わせる形で膝窩に深く入れる。通常は第2、3指先で膝窩動脈の拍動を感じる。
  • 両側を触知し左右差を確認する。
  4)*大腿動脈の触診
  • *仰臥位になってもらう。
  • *鼠径部を露出させる(羞恥心に配慮する)
  • *前腸骨棘と恥骨結合の中点付近の鼠径靱帯の下方にて、第2、第3指(または第3、第4指)の指先で触知する。
  • *両側を触診し、左右差の有無を確認する。
  5)下腿の血圧(触診法)
  • 仰臥位になってもらう。
  • 後脛骨動脈を触診する。(足背動脈でも良い)
  • ゴム嚢の中央が後脛骨動脈の真上にくるように上腕用のマンシェットを巻く。
  • マンシェットの下端が内果の直上にあるように巻く。
  • マンシェットは指が1-2本入る程度のきつさで巻く。
  • 上腕の血圧測定と同じ手順で触診法により血圧を測定する。
  • *上肢と下肢の血圧からAnkle-Brachial Index(ABI)を計算する。
  6)*大腿の血圧(聴診法)
  • *腹臥位になってもらう。
  • *膝窩動脈の走行を確認する。
  • *大腿用マンシェットをゴム嚢中央が大腿後面で大腿の下1/3が覆われるように巻く。
  • *上肢の血圧測定(聴診法)と同じ手順で、膝窩動脈に聴診器をあて、血圧を測定する。
(7)下腿浮腫の診察
  • 足背部ないしは脛骨前面で浮腫の有無を見る。
  • 母指または第2−第4指の指腹で5秒以上(約10秒)圧迫し、圧痕の有無を観察する。圧痕があれば浮腫ありとする。*圧痕の深さにより1〜4度に分類する。
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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X.頭頸部診察
(1)診察時の配慮
 T.診察に関する共通の学習・評価項目を参照。
(2)頭部の診察
  1)頭
  • 顔貌を観察する:顔色、表情および左右差、浮腫(特に眼瞼、眼瞼周囲)、発汗過多、多毛など。
  • 頭髪を観察する:脱毛、頭髪の色調など。
  • 頭皮を観察する:頭髪を掻き分けて頭皮全体を観察する。皮疹、瘢痕、腫瘤など。
  • 頭皮・頭蓋を触診する:変形、腫瘤、圧痛など。
  2)眼
  • 眼鏡をしている場合は、眼鏡をはずしてもらって診察する。
  • 眼瞼結膜を観察する:指で下眼瞼を押し下げて眼瞼結膜を露出させ、充血、浮腫、貧血の有無を観察する。
  • 眼球結膜を観察する:指で眼瞼を軽く押し広げ、眼球結膜を十分に露出させて虹彩の上・下を含めて黄染の有無を観察する。
  • 眼球突出を観察する:眼球を正面から観察し、眼球突出の存在が疑われる場合は側面または後上方から確認する。
  • 瞳孔、虹彩を観察する:左右差および色・形、レンズの混濁など。
  • 対光反射を観察する:神経診察の章参照。
  • 眼球運動を観察する:神経診察の章参照。
  3)耳
  • 耳介およびその周囲を観察する:変形、結節、皮疹など。
  • *耳介およびその周囲を触診する:耳介の牽引による痛み、耳介前後部の圧痛を確認する。
  • 聴力を検査する。
    指こすり、音叉などで聴力を評価する。
    検者の聴力を基準として、患者さんの聴力を確認する:指こすりの場合は、最初に検者の耳で指こすりの音を確認し、その音を患者さんが聞き取れるか確認する。音叉の場合は、患者さんが聞こえなくなった時点で素早く検者の聴力と比較する。
    指こすり、音叉などの音を、左右の耳から同じ距離で聞いてもらい、聞こえ方に左右差があるかを尋ねる方法も行われる。
    *音叉は、低音用(128Hz)と高音用(4000Hz)を使いわける。
  • *聴力に異常がある場合、音叉を用いWeber試験、Rinne試験を行う。
  • 耳鏡を使って診察する。
    耳鏡の挿入による外耳道への傷害を起こさないように十分に配慮する。
    耳鏡使用時に耳介を後上方に引いて外耳道入口部を観察し、病変の有無を確認する。
    耳鏡を正しくセットして、横から覗きながら外耳道内へ耳鏡の先端を挿入する。
    耳鏡の先端を挿入後、安全確保のため耳鏡を保持している手の一部を患者さんの頭部に当てて固定し、耳鏡を覗きながら痛みを生じないように注意深く進める。
    耳鏡で外耳道・鼓膜を観察する。
  4)鼻
  • 鼻の全体の形状、皮膚の所見を観察する:変形、皮疹など。
  • 副鼻腔(上顎洞・前頭洞)の圧痛、叩打痛を確認する。
  • *片方ずつ鼻翼を圧迫して鼻孔を塞ぎ、呼気または吸気で通気を確認する方法や、金属板の曇りを確認する方法などにより鼻閉塞の有無を確認する。
  • *耳鼻鏡を用いて前鼻腔を観察する。
  5)口唇・口腔・咽頭
  • 義歯を使用している場合は、義歯をはずしてもらって診察する。
  • 口唇を観察する:チアノーゼ、水疱、色素沈着、潰瘍など。
  • 歯を観察する:欠損、う歯、歯垢、歯石や歯列の所見など。
  • 歯肉を観察する:発赤、腫脹、出血、色素沈着など。
  • 頬粘膜を観察する:色素沈着、潰瘍、白板症、出血斑や耳下腺管開口部の所見など。
  • 舌を観察する:適切な指示により舌を出してもらい、舌背および舌縁を観察する。発赤、腫瘤、潰瘍、舌乳頭萎縮、舌苔、巨舌など。
  • 口腔底・舌下面を観察する:適切な指示により舌を挙上してもらい、口腔底・舌下面を観察する。腫瘤、舌小帯短縮や顎下腺管開口部の所見など。
  • 硬口蓋を観察する:口蓋を十分に観察できるように、患者さんに頸部を後屈してもらう、または観察者が下方から口蓋を覗き上げる。発赤、腫瘤、潰瘍、出血斑など。
  • 咽頭後壁・軟口蓋を観察する:発赤、腫脹、リンパ濾胞の腫大、出血、後鼻漏など。
  • 口蓋扁桃を観察する:腫脹、左右差、発赤、白苔など。
  • ペンライトを適切に使用する:観察部位に的確に光を当て、口腔内に入れたり口唇に触れたりしないようにする。
  • 咽頭後壁および口蓋扁桃を観察する際には、高い声で“あー”と発声してもらうなどの方法で十分な視野を確保する。
  • 舌圧子を用いて診察する際、咽頭後壁観察時は必要に応じて舌の中央部を舌圧子で軽く押し下げ、頬粘膜や歯・歯肉の観察時は舌圧子で頬粘膜を歯列から引き離すようにする。
  • 舌圧子は不潔にならないように操作し、使用後は感染性廃棄物として適切に廃棄する。
  6)唾液腺
  • 耳下腺を触診する:第2‐4指の指腹を使って触診する。
  • 顎下腺を触診する:患者さんに軽く頸部を前屈してもらい第2‐4指の指腹を使って触診する。
  7)頭頸部リンパ節
  • 原則として、第2‐4指(または第2‐3指)の指腹を皮膚に密着させ、円を描くように触診する(後頭部、耳介後部、耳介前部、後頸三角、胸鎖乳突筋浅層のリンパ節)。
  • 片側ずつ、触診しているリンパ節に意識を集中して丁寧に診察する。
  • 後頭部のリンパ節を触診する。
  • 耳介後部のリンパ節を触診する。
  • 耳介前部のリンパ節を触診する。
  • 下顎角直下のリンパ節を触診する。
  • 顎下部のリンパ節を触診する:患者さんに軽く頸部を前屈してもらい下顎骨に向かって掘るように触診する。
  • オトガイ下部のリンパ節を触診する:患者さんに軽く頸部を前屈してもらいオトガイ部に向かって掘るように触診する。
  • 後頸三角のリンパ節を触診する:僧帽筋前縁、胸鎖乳突筋後縁、鎖骨で囲まれた後頸三角を隈なく触診する。
  • 胸鎖乳突筋浅層のリンパ節を触診する。
  • 胸鎖乳突筋深層のリンパ節を触診する:患者さんの頸部を診察している側に傾けてもらうなどの方法で胸鎖乳突筋の緊張をとり、同筋をつかむようにしてその裏のリンパ節を触診する。
  • 鎖骨上窩のリンパ節を触診する:鎖骨の裏側を探るように触診する。
  • *腫脹がある場合、数、部位、大きさ、形状・集簇性、表面の性状、硬さ、圧痛、可動性を記載する。
  図
(3)頸部の診察
  1)甲状腺
  • 甲状腺を観察する:嚥下してもらいながら正面から甲状腺を観察し、腫大が疑われる場合は側面からも観察する。
  • 甲状腺峡部を触診する:輪状軟骨の位置を確認し、利き手の第2指・指腹で甲状腺峡部を軽く触診する。(または両手で首を挟むようにして第1指の指腹で触診する)
  • 甲状腺葉部を触診する:片方の第1指で気管を固定し、対側の第1指の指腹で胸鎖乳突筋の裏側に向かって触診する。
  • または背部から両第2‐4指の指腹を使って甲状腺峡部および両葉を触診する。
  • 嚥下してもらいながら正面から、もしくは背部から甲状腺葉部を触診する。
  • *甲状腺腫が疑われるときは、甲状腺の聴診により血管雑音の有無を確認する。
  2)気管
  • *気管の視・触診:短縮、偏位など。
  3)頸部血管
  • 胸部診察の章参照。
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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Y.胸部診察
(1)診察時の配慮
 「T.診察に関する共通の学習・評価項目を参照。
(2)聴診器の使用
  • 聴診器のイヤピースを外耳道の方向にあわせて装着し、チェストピースを適切に把持する。目的に応じて、膜型、ベル型を使い分ける。(ベル型は低音域、V音、W音の聴診に使う)
(3)肺の診察(前胸部)
  1)視診
  • 胸部全体を露出して診察をする。
  • 解剖学的部位(胸骨角・剣状突起)を特定する。
  • 皮膚所見(皮疹、着色班、手術痕など)の有無を確認する。
  • 胸郭の形状、輪郭(変形、左右差など)を確認する。
  • 呼吸数を測定する。(30秒数えて2倍する)
  • 呼吸の異常(型・リズム・速さ・深さ)の有無を確認する。
  • 呼吸時の胸壁運動の左右差の有無を確認する。
  • 鎖骨上窩・肋間の吸気時の陥凹の有無を確認する。
  2)打診
  • 左(右)手を広げ、その中指の中節骨部またはDIP関節部を、曲げた右(左)中指でスナップを効かせて弾むように原則として2回ずつ叩き、打診する。
  • 肺尖・側胸部・胸郭下端を含む胸部全体(8ヵ所以上)を打診する。
  • 左右交互に上から下へ打診して、左右差を確認する。
  3)聴診
  • 深呼吸をしてもらう。
  • 吸気と呼気の両方を聴診する。
  • 肺尖・側胸部・胸郭下端を含む胸部全体(8ヵ所以上)を聴診する。
  • 左右を交互に比較して聴く。
(4)肺の診察(背部)
  1)視診
  • 患者さんの背面に移動する。(または患者さんに背中を向けてもらう)
  • 解剖学的部位(第7頸椎棘突起(隆椎)や肩甲骨下角)を特定する。
  • 皮膚所見(皮疹・着色斑・手術痕など)の有無を確認する。
  • 胸郭の形状、輪郭(変形・左右差など)を確認する。
  2)打診
  • 背部全体(8ヵ所以上)を打診する。(前胸部と比べてより下部まで行う)
  • 左右交互に打診して、左右差を確認する。
  • 両側の肺底部の清音と濁音の境界を示す。(片側ずつ肩甲線を頭側より打診し決定する)
  • *横隔膜の呼吸性移動を確認する。
  3)触診
  • *声音振盪を確認する。
  4)聴診
  • 深呼吸をしてもらう。
  • 聴診器を密着させる。
  • 左右を比較して聴く。
  • 背部全体(8ヵ所以上)を聴診する。(前胸部と比べてより下部まで行う)
  • 吸気と呼気の両方を聴診する。
  • *声音聴診を確認する。
(5)その他背部の診察
  1)叩打痛
  • 脊椎の叩打痛の有無を確認する。(ハンマー、拳骨のいずれでもよいが、ハンマーの場合は自身の指などの上からたたき、直接叩打しない)
(6)心臓の診察
 (心臓の診察は基本的に臥位・左側臥位で行うことが推奨されているが、状況に応じ座位で行う)
  1)視診
  • 心尖拍動を確認する。
  • 胸壁拍動(右室隆起による胸骨下部および傍胸骨拍動、大動脈瘤による拍動など)を確認する。
    (注)心尖拍動は左側臥位で確認しやすい。
  2)触診
  • 心尖拍動の位置と広がりを第5肋間左鎖骨中線付近で指先と手掌で確認する。
  • 前胸部(胸骨下部および傍胸骨)の胸壁拍動を手掌近位部で確認する。
  • 振戦(スリル)の有無を手掌遠位部で4領域に相当する範囲を確認する。
    (注)心尖拍動は左側臥位で触れやすい。
  3)聴診
  • 4領域{心尖部(第5肋間左鎖骨中線)・三尖弁領域(第4、5肋間胸骨左縁)・肺動脈弁領域(第2肋間胸骨左縁)・大動脈弁領域(第2肋間胸骨右縁)}を膜型で聴診する。
    (4領域と表現しているが、各弁に相当するものではない。聴診は心基部から心尖部に向かっても、心尖部から心基部に向かって聴診しても良い。なお、聴診部位として4領域の他に第3肋間胸骨左縁Erbの領域も重要である)
  • 心尖部はベル型でも聴診する。
    (注)臥位で診察するときは、仰臥位で4領域を聴取したあと、左側臥位で心尖部をベル型で聴取する。
  • 聴診音を同定する。
    I音とII音を同定する。
    II音の分裂を確認する。
    ベル型でIII音、IV音を確認する。(左側臥位でよく聞こえる)
    雑音を聴取した場合には、収縮期雑音か拡張期雑音か区別する。
(7)頸部血管の診察
  1)視診
  • 外頸静脈を観察する。(正常では仰臥位で輪郭を認める。座位では認めないことが多いが、息こらえをすれば怒張し、確認できる)
  • *上半身を45°に保ち、内頸静脈の拍動を観察する。
  2)聴診
  • 下顎角直下約2cmのところの頸動脈の聴診をする。(両側)
  3)触診
  • 一側ずつ頸動脈を甲状軟骨の高さで第2、第3指(または第1指)の指腹を使って軽く触診をする。
  • 触診は必ず聴診の後に行う(聴診で雑音があるときには行わない。動脈硬化が強い患者さんでは行わない)
(8)乳房の診察
 (臨床実習前にはシミュレーターを用いて学習し、臨床実習では指導医の指導のもとで行う
  1)視診
  • 座位で肢位を変えながら視診を行う。
  • 左右差を確認する。
  • 皮膚の所見(発赤・腫脹・陥凹・発疹・手術痕など)の有無を確認する。
  • 変形の有無を確認する。
  • *乳頭の異常(陥没、異常分泌、びらん、潰瘍など)の有無を確認する。
  • *視診所見を患者さんに説明する。(臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  2)触診
  • 患者さんに適切な体位(仰臥位)をとってもらう。
  • 指先と手掌で乳房全体を丁寧に触診し,異常の有無を確認する。
  • *腋窩および鎖骨上窩リンパ節を触診する。
  • *触診所見を患者さんに説明する。(臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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Z.腹部診察
(1)診察時の配慮
 「T.診察に関する共通の学習・評価項目を参照。
(2)全般的注意事項
  • 腹部を十分に露出させる。
    可能な限り心窩部から恥丘、鼠径部までの範囲を診察できるようにする。
    バスタオルなどを用いて、羞恥心に配慮する。
  • 視診−聴診−打診−触診 の順序で診察を進める。
  • 腹痛のある患者さんの場合は、まずその場所を聞いておく。
  • 視診は十分な視野を確保するために両膝を伸ばした状態で行う。
  • 聴診は鼠径部を含めた十分な診察範囲を確保するために両膝を伸ばした状態で行う。触診では腹壁の緊張をとるために膝を軽く曲げる(あるいは膝の下へ枕を挿入する)。 (上肢を挙上している場合は体の脇に下ろさせる)
  • 打診は触診との協調性や触診への速やかな移行を考慮して、同様の手技で腹壁の緊張をとっておく。
(3)基本的診察法
  1)視診
  • 腹部の輪郭・形状(平坦・膨隆・陥凹)および腫瘤の有無を判断する。
    形状は胸郭レベルまたは剣状突起と恥骨結合とを結ぶ仮想線を基準にする。
  • 皮疹・着色斑・手術瘢痕・静脈怒張・皮膚線条などの有無を判断する。
  2)聴診
  • 聴診への導入
    聴診器でお腹の音を聴くことを説明する。
    聴診器が冷たくないか触って確認する。(冷たいときは暖める)
    聴診器が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。
  • 腸蠕動音の聴診
    腹壁の一か所に膜型聴診器を軽く当てて腸蠕動音を聴診する。
    腸蠕動音の聴診は充分時間をかけて聴取して判断する。(1〜2ヶ所で聴く)
    腸蠕動音の頻度(亢進・低下・消失)や性状(金属性などの異常音の有無)を判断する。
  • 腹部の血管音の聴診
    膜型聴診器を押し当てて左右の腎動脈音を直上で聴診する。
    膜型聴診器を押し当てて大動脈音を直上で聴診する。
    膜型聴診器を押し当てて左右総腸骨動脈音を直上で聴診する。
  • 腹部を十分に露出させる。
  • *振水音を聴診する。
    上腹部に膜型聴診器を押し当てて腹部全体を両手で強めに揺すって聴診する。
    イレウスが疑われる場合には必須の手技。
  3)打診
  • 打診の基本手技
    お腹をたたいて(打診で)診察することを説明する。
    手が冷たくないことを確認し、必要に応じて温める。
    もし医師の手が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。
    下半身がバスタオルで覆われていることを確認する。
    左手(右手)を広げ、その中指の中節骨部またはDIP関節部を、曲げた右(左)中指で手首のスナップを効かせて弾むように2回ずつ叩き、打診する。
    痛みがあるとわかっている場合は、痛い部位の打診を最後に行う。
  • 腹部全体の打診
    腹部の9領域(左上・中・下、中央上・中・下、右上・中・下)を打診する。
    打診しながら口頭やアイコンタクトなどで痛みを確認する。
    打診音の異常の有無を確認する。
  • 肝臓の打診
    肝の上界(肺肝境界)を、右鎖骨中線で、頭側からの打診で判断する。
    肝の下界を、右鎖骨中線で、尾側からの打診で判断する。
  • 脾臓の打診
    Traube三角に濁音界がない(鼓音である)ことを判断する。
  4)叩打診
  • 肝臓の叩打診
    仰臥位で右肋骨弓頭側に平手をおき、反対側の手拳の尺側面で優しく叩き、肝臓の叩打痛の有無を診察する。
  • *脾臓の叩打診
    仰臥位で左肋骨弓頭側に平手をおき、反対側の手拳の尺側面で優しく叩き、脾臓の叩打痛の有無を診察する。
  • 腎臓の叩打診
    側臥位または座位でCVA(cost-vertebral angle)に平手をおいて、反対側の手拳の尺側面で優しく叩き、叩打痛の有無を診察する。平手をおかずに直接叩打しないこと。両側やること。
  5)触診
  • 触診の基本手技
    お腹を触って、診察することを説明する。
    手が冷たくないことを確認し、必要に応じて温める。
    もし医師の手が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。
    手首をしなやかに、手掌と指を使い分けて触診する
    腹部の9領域(左上・中・下、中央上・中・下、右上・中・下)を触診する。
    痛みがあるとわかっている部位は最後に触診する。
    触診しながら口頭やアイコンタクトなどで痛みを確認する。
  • 浅い触診
    腹部全体を浅く、さするように触診する。
    深呼吸をしてもらいながら、吸気時に腹壁が上がる分だけ手が沈む程度に触診する。
    腹壁を1cm以上圧迫しない程度に行う。
    圧痛や腫瘤の有無を判断する。
  • 深い触診
    片手または両手を重ねて(片手を腹壁におき、反対の手で力を加える)、十分深く探るように腹部全体を触診する。
    手を押し下げ、少し手前に引くように触診する。
    圧痛や腫瘤の有無を判断する。
  • 肝の触診
    打診で推定した肝の下縁よりも充分に尾側の右鎖骨中線上に右(左)手をおく。
    左(右)手を背部におき、肝を持ち上げながら触診を進める。(肝を持ち上げないで片手で、あるいは両手を腹部に重ねるように添えて触診してもよい)
    患者さんに腹式呼吸をしてもらい、呼気時に右(左)手の指を深く入れる。
    次の吸気時の腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにして、また少しずつ頭側に移動しながら肝の下縁を触れる。
    第2・3指先(やや第1指側面)または肋骨弓に平行に置いた第2指の第1指側の側面で触れる。
    手を置く部位を少しずつ頭側へ近づけながら触診を繰り返す。
  • 脾の触診
    患者さんに右側臥位になってもらう。
    胸郭/肋骨籠(rib cage)を後ろから支える気持ちで左(右)手を背部にあてる。
    右(左)手を左肋骨弓の尾側に置く。
    患者さんに腹式呼吸をしてもらい、呼気時に右(左)手の指を深く入れる。
    次の吸気時に、腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにして脾を触診する。
  • *腎の触診
    左(右)手を背部の第12肋骨の尾側に平行に置き、指先が肋骨脊柱角(CVA)に届くようにする。
    右腎を腹側(上方)に持ち上げるようにする。
    右(左)手を上腹部、腹直筋の外側に平行になるように置く。
    患者さんに腹式呼吸をしてもらう。
    最吸気時に腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにする。
    次の呼気時に、腎を両手で捕獲する気持ちで腎下極を挟み込むように触診する。(腎は上方に滑る)
    右腎と同様に左腎を触診する。(可能であれば患者さんの左側に移動する)
(4)病態に応じた精密診察法
  1)腹水の有無
  • *看護師または患者さん自身の手の側面を腹部正中線に縦に立ててもらい、側腹部を手指で軽く叩いて衝撃を加え、対側の側腹部に置いた別の手に波動を感じとる。
  • *Shifting dullnessによって腹水の有無を判断する。
    患者さんに仰臥位または半側臥位になってもらい、打診音が変化する部をマークする。
    側臥位に移行してもらいながら、打診音が変化する部(濁音界)をマークし比較する。
  2)圧痛の触診
  • 痛みのあるとわかっている部位の触診は最後にする。
  • 触診しながら口頭やアイコンタクトなどで痛みを確認する。
  • 苦痛に配慮して静かに、ソフトに触診する。
  • 一本の指の末節掌側を使って、限局した圧痛点を探り、確認する。(最強点以外にも数箇所で確認)
  • *虫垂炎が疑われる場合、McBurneyの圧痛点を同定し、Rovsing徴候(左下腹部を押さえたときの右下腹部痛)の有無を確認する。
  • *急性胆嚢炎が疑われる場合、Murphyの徴候(右肋弓下の圧痛による吸気の途絶)を確認する。
  • *消化性潰瘍が疑われる場合、心窩部〜右季肋部に、限局した圧痛の有無を確認する。
  3)腹膜刺激徴候
  • 触診の前に患者さんに咳をしてもらい、痛みが誘発されるか確認する。(咳嗽試験)
  • 片手で腹壁をそっと押し、腹壁筋の随意・不随意の緊張の有無を確認する。(筋性防御・板状硬)
  • 筋性防御が不明瞭の場合、左右を比較するなどの工夫をする。
  • 数本の指の末節掌側で圧痛の有無を確認し、ゆっくり押し付けて(2〜3秒くらいのイメージ)、急に圧を抜く(0.5秒くらいのイメージ)。押し付けた痛みと離した瞬間の痛みを比較して質問し、痛みの増強の有無を確認する。(反跳痛;rebound tenderness)
  • 反跳痛は最強点以外にも数箇所で(近傍でも対側でもよい)確認する。
  • *患者さんにベッドを降りてもらい、つま先立ちから急に踵をおろした際に腹部に響くかを確認する。(踵落し衝撃試験)
  • *腹膜刺激徴候の所見を患者さんに説明する。(臨床実習では指導医の指導のもとに行う)
    参考資料
  4)腹部腫瘤の触診
  • *浅い触診と深い触診とにより、腫瘤の有無を判断する。
  • *腫瘤がある場合、L〜Tを観察して表現する。
    L:Location
    M:Mobility
    N:Nodularity
    O:relationship to Other organs
    P:Pulsatility
    Q:Quality
    R:Respiratory mobility
    S:Size & Shape
    T:Tenderness
    位置
    可動性
    表面の性状
    他臓器との関係
    拍動の有無
    硬さ
    呼吸性移動の有無
    大きさと形
    圧痛の有無
  5)直腸診
 (臨床実習前にはシミュレーターを用いて学習し、臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  • 直腸診の目的を患者さんに説明する。
  • 直腸診の方法の概略を患者さんに説明する。
  • 直腸診をすることについて、患者さんの承諾を得る。
  • 看護師(または他の医療職)が陪席していることを確認する。
  • 患者さんに適切な診察体位(左側臥位または切石位)になってもらう。
  • 直腸診に必要な部位以外はタオルで覆う。
  • 肛門周囲を視診する。
    発赤・ただれ・潰瘍・瘻孔・脱肛・結節・痔核などの有無を判断する。
  • 肛門周囲を触診することを患者さんに説明する。
  • 肛門周囲を触診する。
    熱感・波動・硬結・圧痛などの有無を判断する。
  • 肛門内指診を行うことを患者さんに説明する。
  • 両手もしくは右(左)手に処置用手袋をたるみなく着用し、適量の潤滑剤を示指に塗布する。
  • 肛門内指診を適切に行う。
    優しく右(左)手の示指を挿入する。
    狭窄・弛緩・硬結・圧痛などの有無を判断する。
  • 直腸内指診を適切に行う。
    十分深部に示指を進め、直腸粘膜の全周を触診する。
    狭窄・腫瘤・結節・圧痛、直腸周囲(前立腺や子宮頸部など)の病変の有無を判断する。
  • 示指を静かに引き抜き、指先に付着した便の性状を観察する。
  • 糞便、体液による汚染防止に留意し、使用後の用具は感染性廃棄物入れに廃棄する。
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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[.神経診察
以下の文章は右利きの検者を想定して説明してあるので、左利きの場合には適宜読み替えて行う。
(1)診察時の配慮
 「T.診察に関する共通の学習・評価項目を参照。
(2)診察の順序
  • 脳神経(座位)‐上肢の運動系(座位)‐起立・歩行(立位)‐下肢の運動系(臥位)‐感覚系(臥位)‐反射(臥位)の順序で診察を進める。
    (注)系統的であれば、診察の順序は上記以外でもよい。
  • 意識障害、認知機能や言語(失語と構音障害の有無)、不随意運動については、医療面接の段階で大まかに判定しておく。
  • 同様に、視力や聴力についても、医療面接の段階で詳細な検査が必要かどうかを判断しておく。
  • 病歴から筋力低下が疑われる場合には、四肢の徒手筋力検査を追加する。
  • 髄膜刺激徴候の有無が問題になる場合には、必要な検査を追加する。
  • 意識障害の有無が問題になる場合には、必要な検査を追加する。
(3)脳神経系の診察(座位)
  1)視野
  • 検者が見本を見せながら、片側の眼を患者さんの手で覆ってもらう。
  • 視線を動かさず、検者の眼を見ているように指示する。
  • 見本を見せながら、検者の指が動くのが見えたら知らせるよう伝える。
  • 検者の指は患者さんと検者のほぼ中間地点にあるようにする。
  • 検者も患者さんに合わせて対応する側の目を閉じる(手で覆ってもよい)。
  • 視野の右上、右下、左上、左下、計 4 か所を調べる。
  • 必ず両眼を検査する。
    (注)患者さんの視線を固定するために、検者の指を注視させる方法もある。
  2)眼球運動・眼振
  • 指標(検者の右第2指など)を患者さんの眼前に示し、顔を動かさずに眼で指標を追うよう伝える。
  • 指標が患者さんの眼に近すぎないように注意する。 (眼前50cm程度)
  • 指標はゆっくりと円滑に動かす。
  • 左右・上下4 方向への動きを検査する。
  • 左右・上下4 方向の最終地点で指標の動きを止め、眼振の有無を観察する。
  • 同時に、複視の有無を尋ねる。
    (注)複視があるとき右上、右下、左上、左下を追加し、正面とで計9方向を検査する。
  3)*輻輳と近見反射
  • *患者さんの眼前50cm のあたりに第 2 指をかざし、指先を見ているよう指示する。
  • *患者さんの眼前15cm 位まで指先をゆっくり近づけて、両側眼球の内転、瞳孔の収縮を観察する。
  4)瞼裂・瞳孔/対光反射
  • 患者さんの前方を手で示しながら、遠くを見ているよう指示する。
  • 瞼裂(眼瞼下垂や左右差の有無など)を視診する。
  • 瞳孔の形・大きさ(正円かどうか、縮瞳・散瞳・瞳孔不同の有無)を視診する。
  • ペンライトを見せながら、光で眼を照らすことを患者さんに告げる。
  • 患者さんの視線の外側から瞳孔に光をあてる。
  • 光を当てた側の瞳孔(直接対光反射)と反対側の瞳孔(間接対光反射)の収縮を観察する。
  • 必ず両側を検査する。
  5)眼底
  • 眼底鏡を見せながら、眼の奥を見る検査(眼底検査)を行うことを告げる。
  • 眼を動かさず前方を見ていてほしいことを告げる。
  • 患者さんの右眼は検者の右眼で、左眼は検者の左眼で検査する。
  • 検者の空いた手で患者さんの頭部を支える。
  • 眼底鏡が患者さんと離れすぎないようにする。(5cm以内)
  • *乳頭(萎縮、浮腫など)、網膜(出血など)、動静脈(径、交叉など)の異常の有無を観察する。
  • 必ず両側を検査する。
  6)顔面の感覚
  • 検査器具を見せながら、顔の触覚と痛覚を検査することを告げる。
  • 3 枝の各領域を区別して検査する。
  • 各領域について左右差を確認する。
    (注)痛覚検査ではあらかじめ検査器具による感覚を確認してもらう。
    (注)表在感覚の検査具としては、従来、筆やルーレットが用いられてきたが、皮膚の損傷や感
       染予防の観点から触覚検査にはティッシュペーパー、痛覚検査には楊枝の先端など、ディ
       スポーザブルなものを使用するのが望ましい。
  7)*角膜反射
  • ティッシュペーパーか乾いた脱脂綿の先端を細くよじる。
  • 検者の指を注視させて視線をややそらす。
  • 角膜の虹彩部分(茶目の部分)をよじった細い先端で軽くふれ、瞬目を観察する。
  • 必ず両側を検査する。
  8)*咬筋と側頭筋
  • 咀嚼運動を繰り返してほしい旨を告げる。
  • 左右の咬筋を手指の手掌面で触れて筋収縮を確認する。
  • 左右の側頭筋を手指の手掌面で触れて筋収縮を確認する。
  9)顔面筋
  • 上方への眼球運動などをさせて、額にしわ寄せをしてもらい左右差などを観察する。
  • 両眼をギューと固く閉じてもらい、まつげ徴候の有無を観察する。
  • 眼を開けてもらった後、見本を示しながら、歯を見せて「イー」と言ってもらう。 (口を固く閉じてもらってもよい)
  • 口角の偏位、鼻唇溝の左右差などを観察する。
  10)聴力(頭頸部診察の章参照)
  11)軟口蓋・咽頭後壁の動き
  • 口を大きく開けて、「アー」と少し長く声を出してもらう。
  • 軟口蓋の動き、偏位の有無、カーテン徴候の有無を、舌圧子やペンライトを使用し観察する。
  12)舌
  • 舌を見たいことを告げ、口を大きく開けてもらい、舌の萎縮と線維束性収縮の有無を観察する。
  • 検者が見本を示した上で、 舌をまっすぐに出してもらい、 舌の偏位の有無を観察する。
  13)胸鎖乳突筋
  • 頸部の筋肉の検査を行うことを告げ、手で方向を示しながら、側方を向いてもらう。
  • 顎に手をあてることを告げ、患者さんの顔を向けた側の顎に検者の手掌をあてがう。
  • 検者の手で顎を押すので、負けないように頑張って力を入れてほしいことを告げる。
  • 胸鎖乳突筋の筋力を判定する。
  • 反対側の手で収縮した胸鎖乳突筋を触診する。
  • 必ず両側を検査する。
(4)上肢の運動系の診察(座位)
  1)上半身の不随意運動
  • 手を膝においてゆったりと座ってもらう。
  • 安静時の振戦、その他の不随意運動(頭部の振戦、舞踏運動など)の有無を観察する。
  • 両上肢を前方に伸ばして指を少し広げてもらい、手指の姿勢時振戦の有無を観察する。
  • 指を広げたままで手首を背屈してもらい、固定姿勢保持困難(asterixis、羽ばたき振戦と言われることもあるが厳密には振戦ではない)の有無を観察する。
  2)Barré 徴候(上肢)
  • 良い肢位をガイドしながら、両手を前に伸ばして手掌を上に向け指をつけてもらう。
  • 両眼を閉じてもらい、そのまま手を下ろさずに頑張ってもらう。
  • 上肢の降下、前腕回内、肘関節屈曲の有無を観察する。
  3)筋トーヌス(肘関節)
  • 検者が患者さんの手を動かすので、患者さんは力を抜いて、自分では手を動かさないようにしてほしい旨を伝える。
  • 左手で患者さんの肘関節伸側を軽く持ち、右手で患者さんの手を持って、肘関節の屈曲伸展を適切なスピードで繰り返す。
  • 筋トーヌスの異常(筋強剛、痙縮など)の有無を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
    (注)上肢の筋トーヌスは前腕の回内・回外、手関節の屈伸でも評価できる。
4)鼻指鼻試験
  • 検者の右第2 指を出して見せ、患者さんにも同じように指を出してもらう。
  • 左手で患者さんの指のつけねあたりを持ち、検者の右第 2 指の指尖と患者さんの鼻のあたまとの間を行ったり来たりする動作を 2-3 回ガイドする。
  • 患者さんが手を伸ばすとようやく指に届く程度の距離で検査を行う。
  • 検者の指は少しずつ位置を変えるので、頑張って指を付けてほしい旨を伝える。
  • 運動の円滑さ、振戦や測定異常の有無などを観察する。
  • 必ず両側を検査する。
  5)手回内・回外試験
  • 検者が見本を示しながら、両手を前に出し、軽く肘を屈曲して手の回内と回外をできるだけ速く反復してもらう。(片手ずつ行ってもよい。肘は伸ばしてもよい)
  • 反復拮抗運動不能(dysdiadochokinesis、adiadochokinesis)の有無を判定する。
(5)上肢の握力の診察と徒手筋力検査(座位)
 病歴から四肢の筋力低下が疑われる場合には、ここでまず上肢の握力の診察と徒手筋力検査を行う.徒手筋力検査は6段階で評価する。
さらに、上半身を露出してもらい、上肢・体幹の筋萎縮、線維束性収縮の有無を観察する。
  1)徒手筋力検査の判定法
  • 重力の負荷がかかる肢位で、他動的な関節可動域の最終点で最大の力を出してもらい、これに対して検者が抵抗して評価する。
  • 抵抗はゆっくり徐々に増すように加える。
  • 3以上であるか3未満であるかをはじめに判定する。
  • 6段階評価の基準
    5:強い抵抗に抗して全関節可動域の運動が可能。
    4:弱い抵抗に抗して全関節可動域の運動が可能。
    3:重力に抗して全関節可動域の運動が可能。
    2:重力を取り除けば全関節可動域の運動が可能。
    1:筋の収縮はふれるが関節の運動はみられない。
    0:筋の収縮もふれない。
  2)利き手と握力
  • 問いかけるなどして利き手を確認する。
  • 握力計を渡し、握る部位を指示して、片手で強く握ってもらう。
  • 必ず両側を検査する。
  3)三角筋
  • 検者が見本を示し、両上肢を90゜まで側方挙上してもらう。
  • 腕を上から押すので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 肘関節のやや近位部を両手で押して筋力を判定する。
  4)上腕二頭筋
  • 検者が力こぶを作るように見本を見せて、片側の腕を曲げてもらう。
  • 肘関節を伸展するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 患者さんの肩口を左手で押さえ、右手で患者さんの前腕遠位端を握り、肘関節を伸展して抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
  5)上腕三頭筋
  • 検者が腕を伸ばすように見本を示し、片側の腕を伸ばしてもらう。
  • 肘関節を屈曲するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 患者さんの肘関節のやや近位部を左手で押さえ、右手で前腕遠位端を持ち、肘関節を屈曲して抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
    (注)上腕を外転した位置で、肘窩を左手で固定し、前腕を垂らした位置から水平にあげてもらう
       方法もある。
  6)手根伸筋群(手関節の背屈)
  • 検者が手背を上に向けて手関節を背屈する見本を示し、そのようにまねてもらう。
  • 手関節を掌屈するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 左手で患者さんの前腕を手関節の近くで握り、右手の掌側を患者さんの手背にあてがい、手関節を掌屈して抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
  7)手根屈筋群(手関節の掌屈)
  • 検者が手掌を上に向けて手関節を掌屈する見本を示し、そのようにまねてもらう。
  • 手関節を背屈するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 左手で患者さんの前腕を手関節の近くで握り、右手掌を患者さんの手掌にあてがい、手関節を背屈して抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
  8)*母指、小指対立筋
  • 検者が母指と小指を対立させる見本を示し、母指と小指を対立してもらう。
  • 対立を開くので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 患者さんの母指と小指の基部に母指をあてて開き、抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
(6)起立と歩行の診察(立位)
  1)通常歩行
  • 診察室内の空いた場所を示し、座位から立ち上がって普段どおりに歩いてもらう。 (可能であれば廊下などを使用することが望ましい)
  • 歩行の異常(片麻痺歩行、Parkinson 歩行、失調性歩行、動揺歩行、鶏歩など)の有無を観察する。
  2)つぎ足歩行
  • 検者が、足の先と踵が交互につくようにしながら、 まっすぐ歩く動作を見本として示し、そのように歩いてもらう。(下手な場合には慣れるまで何度か試みる)
  • 歩行の異常(ふらつき、よろめきなど)の有無を観察する。
  • 危険のないよう、患者さんの近くにいて見守る。
    (注)かかと歩行、つま先歩行、しゃがみ立ちは下肢筋力のスクリーニングに役立つ。
  3)Romberg 試験
  • 検者が、つま先をそろえて立つ姿勢を見本として示し、そのように立ってもらう。
  • 開眼のままで、体が動揺しないか、しばらく観察する。
  • そばにいて支えるので、体がふらついても心配がないことを説明した上で、患者さんに眼を閉じてもらう。
  • 閉眼による体の大きな動揺がないかしばらく観察して、Romberg 徴候の有無を判定する。
  • 危険のないよう、患者さんのそばにいて見守る。(いつでも抱えられる体勢)
(7)下肢の運動系の診察(臥位)
  1)体位や衣服の準備
  • 寝た位置での診察を行うことを説明する。
  • 四肢、体幹が露出しにくいような衣服の場合には、診察に適した状態になるよう適宜工夫してもらう。(バスタオルや病衣の使用が必要になる場合もある)
  • 靴下をぬいで、診察ベッドにうつ伏せになって寝てもらう。
  2)Barré 徴候(下肢)
  • 検者の手をそえて、良い肢位をガイドしながら、両膝関節を 90°曲げてもらう。
  • そのまま両足が接しないように膝を曲げた状態を維持してもらう。
  • 下肢の下降の有無を判定する。
    (注)膝関節は45°曲げてもよい。
  3)踵膝試験
  • 仰臥位で行う。
  • 手で患者さんの下肢を持ち、次のようにガイドする。足関節を少し背屈した状態で、踵を反対側の膝に正確にのせて、すねに沿って足首までまっすぐ踵をすべらせる。
  • 患者さんが理解したところで、実際にこの動作を2〜3回行ってもらい、運動の円滑さ、足のゆれや測定異常の有無などを観察する。
  • 必ず両側を検査する。
    (注)同様の検査が様々な名称、手技で行われているので、必ずしも上記の方法と同一である
       必要はない。
    (注)膝叩き試験を追加してもよい。
4)*筋トーヌス(膝関節)
  • 検者が患者さんの下肢を動かすが、患者さんは力を抜いたままで、自分では下肢を動かさないようにしてほしい旨を伝える。
  • 左手を患者さんの大腿遠位部にあて、右手で患者さんの足首を持って膝関節を屈伸する。
  • 筋トーヌスの異常の有無(筋強剛、痙縮)を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
    (注)筋トーヌスは足関節の底屈・背屈でも評価できる。
(8)下肢の徒手筋力検査(座位、立位、臥位)
 病歴から四肢の筋力低下が疑われる場合には、下肢の徒手筋力検査を追加する。
さらに、下半身を露出してもらい、下肢・体幹の筋萎縮、線維束性収縮の有無を観察する。
  1)腸腰筋
  • 検者が股関節を屈曲するように見本を示し、患者さんの大腿部が腹部につくような方向に股関節を屈曲してもらう。(膝は曲げたまま)
  • 股関節の屈曲を戻すので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 大腿前面に手をあて、股関節を伸展して抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
  2)大腿四頭筋
  • 検者が膝関節をピーンと伸ばすように見本を示し、そのようにまねてもらう。
  • 膝関節を屈曲するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 大腿部を左手で下から支え、右手で足関節の近位部を上から握り、膝関節を屈曲して抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
  3)大腿屈筋群
  • 検者が見本を示し、膝関節を最大屈曲してもらう。
  • 患者さんの下腿遠位部を右手で握る。
  • 膝関節を伸展するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 下肢を伸展するように引っ張り、抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
  4)前脛骨筋
  • 検者が手関節を背屈して見本を示し、足関節を背屈してもらう。
  • 足関節を底屈するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 患者さんの足背に手をあてがい、足関節を底屈し抵抗する筋力を判定する。(両側同時でもよい)
  5)*下腿三頭筋
  • 検者が手関節を掌屈して見本を示し、足関節を底屈してもらう。
  • 足関節を背屈するので、それに負けないよう頑張ってほしい旨を伝える。
  • 患者さんの足底に手をあてがい、足関節を背屈し抵抗する筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
    *下腿三頭筋(立位での方法)
  • 立位で行う。
  • 検者が片足立ちになって踵を最大に浮かせる見本を示す。手を壁について支えてもよい。
  • 患者さんも踵を最大に浮かせる運動を繰り返してほしい旨を伝える。
  • 踵が十分に上がっていることを確認し筋力を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
 (注)重力の負荷を考慮して筋力を評価するためには、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋は座位、下腿
    三頭筋は立位、大腿屈筋群は腹臥位でそれぞれ行う。
(9)感覚系の診察(臥位)
  1)四肢の触覚と痛覚
  • 検査具を見せて四肢の触覚を検査することを告げる。
  • 左右の前腕・下腿などに触覚刺激を加え、触覚を普通に感じるかどうか、左右差や上下肢での差がないかどうかを確認する。必要があれば同一肢の近位部と遠位部に差がないかどうかも確認する。
  • 痛覚についても同様に検査する。
    (注)表在感覚の検査具としては、従来、筆やルーレットが用いられてきたが、皮膚の損傷や感
       染予防の観点から触覚検査にはティッシュペーパー、痛覚検査には楊枝の先端など、ディ
       スポーザブルなものを使用するのが望ましい。
    (注)病歴から単ニューロパチーや多発ニューロパチー、レベルを持った感覚障害などが疑わ
       れる場合には、必要に応じて、同一肢の近位部と遠位部での差、末梢神経支配や髄節支
       配を念頭においた検査を行う。
  2)下肢の振動覚
  • 音叉を見せて、これを振動させて検査することを伝える。
  • 音叉に強い振動を与え、患者さんの胸骨や手背などで、振動の感じを体験してもらう。
  • 振動を感じたことを確認した後、音叉を叩き、患者さんの内果などに押し当てる。
  • 音叉の振動は徐々に弱まって消失することを説明して、振動を感じなくなったら「はい」と言うなど合図するように伝える。
  • 合図があった時点で、 検者の手に感じる振動の大小で、 振動覚障害の有無を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
  3)*下肢の位置感
  • 指の位置の感覚の検査(足の指が上か下かどちらに動いたかをあててもらう検査)を行う旨を説明する。
  • 患者さんに閉眼してもらう。
  • 検者の左手で患者さんの第1趾を第2趾と離れるように拡げ、右第1指と第2指で患者さんの第1趾の側面をつまみ、水平位から上または下に動かし、どちらに動いたか答えてもらう。(第2趾で行ってもよい)
  • 動かす時には、これから動かすことを患者さんに告げる。
  • 位置感覚異常の有無を判定する。
  • 必ず両側を検査する。
(10)反射の診察(臥位)
 反射の診察法には様々な方法があり、ここでは代表的なものを示した。
  1)衣服の準備と検査法の原則
  • ハンマーを見せながら、これで顎や手足を軽く叩く反射の検査を行うことを説明する。
  • 上肢は肘の上まで、下肢は膝の上まで露出するよう説明する。
  • 肩や手足の力を抜いて、リラックスするよう告げる。
  • ハンマーを握りしめずに、バランスのよい部分を持つ。
  • 適切な強さとスピードでハンマーを振る。
  • 手首のスナップをきかせてスムーズにハンマーを振る。
  • 反射について判定(正常、低下、消失、亢進)する。
  2)下顎反射
  • 口を半分くらい開けて、楽にしてもらう。
  • 患者さんの下顎の真ん中に検者の左第2指の指先掌側を水平にあてがう。
  • 指のDIP関節付近をハンマーで叩く。
  3)上腕二頭筋反射
  • 検者がガイドしつつ、両上肢を軽く外転し、肘を曲げて両手がお腹の上に乗るような肢位などをとってもらう。
  • 肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を検者の左第1指または第2指の掌側で押さえ、指をハンマーで叩く。
  • 必ず両側を検査する。
  4)上腕三頭筋反射
  • 検者がガイドしつつ、肘関節を約90゜屈曲し、前腕屈側が腹部に乗るような肢位などをとってもらう。
  • 肘関節の約3cm近位部の伸側をハンマーで叩く。
  • 必ず両側を検査する。
  5)橈骨反射(腕橈骨筋反射)
  • 検者がガイドしつつ、両上肢を軽く外転し、肘を曲げて手掌が腹部に乗るような肢位などをとってもらう。
  • 手関節の2〜3cm近位部で、腕橈骨筋を伸展する方向に橈骨遠位端をハンマーで叩く。
  • 必ず両側を検査する。
    (注)手関節近位部に指をのせて、これをハンマーで叩いてもよい。
  6)膝蓋腱反射
  • 両膝を約120〜150゜に屈曲してもらう、片膝を立てて膝を組んでもらうなど、適切な方法で膝関節を屈曲した肢位をとってもらう。
  • 膝蓋腱を左手で確認し、その部位をハンマーで叩く。
  • 必ず両側を検査する。
  7)アキレス腱反射
  • 下肢を軽く外転して膝関節を軽く曲げる肢位、下肢を膝関節で軽く曲げて対側下肢の下腿前面に乗せる肢位、片膝を立てて膝を組んでもらう肢位などをとってもらう。
  • 足を左手で持ち、足関節を背屈した位置にして、アキレス腱をハンマーで叩く。
  • この際、足関節を被動的に2〜3回屈伸し、力が抜けていることを確認する。
  • 必ず両側を検査する。
    (注)壁に向かってベッド上に膝立ちしてもらい、足底先端に左手をあて、交互にアキレス腱をハ
       ンマーで叩く方法もある。
  8)Hoffmann反射
  • 検者の左第1指と第2または第3指で、患者さんの第3指のつけねを手背側から包むように持ち、手関節をやや背屈させる。
  • 検者の右第2指と第3指DIP関節付近で患者さんの第3指をはさみ、検者の第1指の掌側を患者さんの第3指の爪にあて、下方に向かって弾くように刺激する。
  • 第1指が屈曲するかどうかを観察する。
  • 必ず両側を検査する。
  9)*Trömner反射
  • 患者さんの手を軽く背屈させ、検者は左手で患者さんの第3指の基節を支える。
  • 検者の右第2指あるいは第3指で、患者さんの第3指の手掌側先端を強くはじく。
  • 第1指が屈曲するかどうかを観察する。
  • 必ず両側を検査する。
  10)Babinski徴候(反射)
  • 検査具を見せ、足の裏をこすることを説明する。
  • 患者さんの足を左手で固定して、足底の外側を踵から上にゆっくりと第5趾のつけね付近までこする。さらに内側に向けて曲げてもよいが、第1趾のつけねまではこすらない。
  • 第1趾の背屈がみられるかどうかを観察する。
  • 必ず両側を検査する。
    (注)Babinski徴候の検査具には、従来、ハンマーの柄、鍵などが用いられてきたが、皮膚の損傷や感染予防の観点から楊枝の頭部など、ディスポーザブルなものを使用することが推奨される。
  11)*Chaddock反射
  • 患者さんの足の外果の下を後ろから前へ検査具(Babinski徴候に用いたもの)でこする。
  • 第1趾の背屈がみられるかどうかを観察する。
  • 必ず両側を検査する。
(11)髄膜刺激徴候の診察(臥位)
  1)項部硬直
  • 首の硬さを検査することを告げ、枕をはずす。
  • 頭部に触ることを告げ、患者さんの後頭部を両手でかかえる。
  • 検者が患者さんの頭を動かすので、自分では首を曲げたり頭を動かしたりしないように説明する。
  • はじめに左右に回してみて力が入っていないことを確認した後、ゆっくりと頭部を前屈させ、項部硬直の有無を判定する。
    (注)患者さん自身に、あごが胸につくように頭部を前屈してもらい、髄膜刺激徴候の有無を検
       査する方法もある(neck flexion test)。この方法は座位でも臥位でも行える。
  2)*Kernig徴候
  • 足を曲げて伸ばす検査を行う旨を説明する。
  • 検者の手でガイドしながら、患者さんの片側の股関節を90゜屈曲してもらい、さらに膝関節も90゜屈曲してもらう。
  • 患者さんの大腿伸側を膝関節のやや近位を左手でつかみ、右手で患者さんの踵を下から押して膝関節を135゜までゆっくりと伸展させていき、Kernig徴候の有無を判定する。
(12)認知機能の診察
 病歴聴取の段階で認知機能の異常が疑われたら、 他の診察の前に下記の検査を行う。
  1)見当識
  • 時(年月日、曜日)を尋ねる。
  • 場所を尋ねる。
  • 人を尋ねる。
  2)記憶
  • 生年月日、出生地、出身小学校などについて尋ねる。(遠隔記憶)
  • 朝の食事内容、昨日の天気などについて尋ねる。(近時記憶)
  • 数字の逆唱(3桁と4桁)を行ってもらう。(即時記憶)
  3)計算
  • 100から7を順に3〜5回引き算してもらう。
  4)常識
  • 総理大臣の名前、テレビで話題の事件など常識的な事項について尋ねる。
  5)*失語
  • 日常的3物品(時計、めがね、財布、鍵など)を見せ呼称してもらう。
  • 言語理解の検査として「右手で左の耳を触って下さい」などの命令をし、施行してもらう。(ジェスチャーを加えないこと)
  • 何か文章を言って復唱できるかを検査する。
(13)意識レベルの診察
  • 開眼しているかを観察する。
  • 開眼している時、見当識を検査する。
  • 開眼していない時、呼びかけて反応を観察する。
  • 呼びかけて開眼した時、言語理解を観察する。
  • 呼びかけても開眼しない時、疼痛刺激を加え言語反応と運動反応を観察する。
  • 意識レベルを判定する。
    (注)Japan Coma Scale(JCS)による意識障害の分類
    I. 刺激しないでも覚醒している状態(1桁で表現)
     (delirium, confusion, senselessness)
     1.だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
     2.見当識障害がある
     3.自分の名前、生年月日が言えない
    II. 刺激すると覚醒する状態―刺激をやめると眠り込む(2桁で表現)
     (stupor, lethargy, hypersomnia, somnolence, drowsiness)
     10.普通の呼びかけで容易に開眼する
     合目的な運動(例えば、右手を握れ、離せ)をするし、言葉も出るが、間違いが多い
     20.大きな声または体をゆさぶることにより開眼する
     簡単な命令に応じる、例えば離握手
     30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する
    III. 刺激しても覚醒しない状態(3桁で表現)
     (deep coma, coma, semicoma)
     100.痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
     200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
     300.痛み刺激に反応しない
    注:R; restlessness, I; Incontinence, A; Akinetic mutism, apallic state
    例 100R, 20-RIなど
(注)Glasgow Coma Scale(GCS)(1977年)による意識障害の分類
参考資料:「脳卒中」第19巻 第1号 4頁(1997)

 

 

スコア

A. 開眼(Eyes Open)

自発的に開眼する

E4

 

呼びかけにより開眼する

3

 

痛み刺激により開眼する

2

 

全く開眼しない

1

B. 言語(Best Verbal Response)

見当識良好

V5

 

混乱した会話

4

 

不適切な言葉

3

 

理解不能の応答

2

 

反応なし

1

C. 運動(Best Motor Response)

命令に従う

M6

 

疼痛に適切に反応

5

 

屈曲逃避

4

 

異常屈曲反応

3

 

伸展反応(除脳姿勢)

2

 

反応なし

1

学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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\.外科系基本手技
 (注)臨床実習開始前に必須の学習項目であるが、各施設により実情が異なるので、ここでは例を示
    す。各施設は例示に準拠した学習・評価項目を作成する。医療安全、医療廃棄物処理などに関
    することは各施設の規定(マニュアルやガイドライン等)にしたがう。
    臨床実習前の学習および評価はシミュレーターを用いて行う。
    手技が確実に行われるなら、左右は問わない。
【一般手技】
(1)診察時の配慮
 T.診察に関する共通の学習・評価項目を参照。
(2)病棟手洗い(衛生的手洗い)
  1)速乾性アルコール手指消毒薬による衛生的手洗い
  • 目に見える汚れがないことを確認する。
  • 爪を短く切ってあることを確認する。
  • 消毒薬の必要十分量を取る。
  • 両手の指先に擦り込む。
  • 手掌によく擦り込む。
  • 両側手背によく擦り込む。
  • 指の間にもよく擦り込む。
  • 第1指、手首にもよく擦り込む。
    (以上の動作を15秒程度で終了するように手際よく行う)
  2)流水+石鹸による衛生的手洗い
  • 爪を短く切ってあることを確認する。
  • 着衣の袖などが邪魔にならぬよう、前腕を十分に露出する。
  • 水道水で手全体を洗う。
  • 石鹸を手掌に必要量を取る。
  • 手掌と手背と指間を丁寧に洗う。
  • 左右の第1指を対側の手指で握り丁寧に洗う。
  • 手掌で指先・爪部を丁寧に洗う。
  • 手関節の頭側まで洗い、洗い残しがないことを確認する。
  • 流水でしっかり石鹸を洗い落とす。
  • 蛇口を直接手で触れないように水を止める。
  • ペーパータオルを使用して十分に水分を拭き取る。
    (洗い始めから1分間程度を費やして丁寧に洗う)
(3)静脈採血(真空採血の場合を主に記載した)
  1)採血前の確認
  • 患者の名前を確認する。
  • 採血に関して説明して同意を得る。
  • アルコール過敏症を尋ねる。(過敏性があれば、他の消毒薬を考慮する)
  • 以前に採血等で気分が悪くなった事がないかなど迷走神経反射の既往を尋ねる。
  • 患者氏名と採血管ラベルを照合する。
  2)採血手技
  • 手袋を左右の手に着用する。
  • ホルダーと採血用の針を組み立てる。
    (シリンジ採血の場合)シリンジと採血針をセットする。
  • 同意を得た方の腕の採血部の中枢側に適切に駆血帯を巻く。
  • 穿刺部位を指で触って静脈の走行を確かめて穿刺予定部位を決める。
  • 適切に皮膚消毒する。(酒精綿の場合は消毒効果のためアルコールの乾燥を待つ)
  • 消毒が終了した後に穿刺予定部位に触らない。
  • 駆血帯を巻いてから速やかに採血にうつる。
  • 穿刺直前に採血針のキャップをはずす。
  • 穿刺ポイントの手前の皮膚を少し引っ張る。
  • 穿刺針を適切に静脈に穿刺する。
  • 採血中、真空採血ホルダーを穿刺した手でしっかり保持する。
    (シリンジ採血の場合:採血中、シリンジを穿刺した手でしっかり保持する)
  • 採血管をもう一方の手で押し込んで血液の流入を確認する 。
    (シリンジ採血の場合:シリンジ内への血液の逆流を確かめる)
  • 血液の流入がある間、針先をさらに押し込まないようにする。
  • 流入が止まったら針先を動かさずに採血管を抜く。
    (シリンジ採血の場合:目的の採血量を引けたら、駆血帯を外して針を抜き、酒精綿などで押さえる)
  • 針を抜く前に駆血帯を外す。
  • 針を抜き、酒精綿などで押さえる。
  • 採血後、刺入部位を揉まずに軽く圧迫するように患者さんに説明する。
    (シリンジ採血の場合:適切に採血管に注入する)
  • 針をシャープス・コンテナなどの容器に廃棄する。
  • 消毒に使用した酒精綿や手袋などを感染性廃棄物として処理する。
  • 患者さんに止血パッドを渡す。
(4)*持続的導尿(男性)
※以下に、二人で行う方法について記載する。
  • 患者の名前を確認する。
  • 持続的導尿に関して説明して同意を得る。
  • 患者の羞恥心およびプライバシーの確保など環境を整える。
  • 必要物品を準備または確認する。
  • 操作前に手指消毒を行う。
  • 手袋(滅菌手袋が望ましい)を着用する。
  • 患者を仰臥位とし、足を軽く広げた体位をとる。
  • 必要であれば、腰部から臀部にかけてシーツを敷く。
  • 閉鎖式蓄尿バックの排液チューブのクレンメを止めていることを確認する。
  • 導尿カテーテルのバルーンに滅菌蒸留水を入れ,膨らみ方や漏れのないことをみる。
  • カテーテルに蓄尿バックを接続する。
  • 陰部を露出させる。
  • ※滅菌穴開きシーツが使用できる場合は、必要な範囲を消毒しシーツで処置部を覆い、可及的に無菌的操作を行う。
  • 施行者は陰茎をガーゼで包みながら、左手第1指と第2指とで亀頭部を露出させ、外尿道口を開き、左手第3指と第4指の間でほぼ垂直方向に軽く引上げるように陰茎を把持する。
  • 施行者は右手で消毒綿球にて、外尿道口から周囲へ向かい、亀頭部を2回消毒する。
  • カテーテルの先端から適切な範囲に滅菌潤滑油またはキシロカインゼリーをつける。
  • 陰茎を適切な位置に保ちながら、カテーテルの先端が汚染されないように注意しつつ、滅菌ピンセットでカテーテル挿入する。(尿道損傷を生じる恐れがあるので、カテーテル挿入途中で抵抗が強い場合は無理に押し込まない)
  • 尿の流出を確認した位置から、尿道の途中でバルーンが膨らむことを防ぐためさらに十分挿入する。(成人男性の尿道の長さは16〜20cm程度である)
  • 抵抗感がないことを確認しながら、指定量の滅菌蒸留水をバルーンに注入する。
  • カテーテルを軽く引っ張り、抜けないことを確認し、この位置で適切な部位の皮膚に絆創膏で固定する。
  • 蓄尿バックは膀胱より低く床につかない高さに、ベッド柵に固定する。
  • 使用した消毒綿球や手袋などを感染性廃棄物として処理する。
  • 操作終了後に手洗いを行う。
(5)*持続的導尿(女性)
※以下の記載以外は男性の場合と同じ
  • 施行者は左手の母指と示指で小陰唇を開く。
  • 施行者は右手で消毒綿球にて、外尿道口から周囲へ向かい2回消毒する。
  • カテーテルの先端が汚染されないように注意しつつ、滅菌ピンセットでカテーテル挿入する。(カテーテル挿入の目安:成人女性の尿道の長さは4〜6cm程度である)
【外科手技】
(1)診察時の配慮
 「T.診察に関する共通の学習・評価項目」を参照。
(2)手術時手洗い・ガウンテクニック
  1)準備
  • 爪を短く切ってあることを確認する。
  • 手術着に着替える。
  • 手術用帽子を頭髪が露出しないように着用する。
  • 手術用マスクを口・鼻を完全に覆うように着用する。
  2)術前の手洗い(ブラシを使う場合)
  (注)ブラシを使わない手洗いを指導することも可。
  • 手指、前腕を流水で洗い流す。
  • 手洗い用消毒液(7.5%ポピドンヨード、4%クロルヘキシジンなど)により指間、指先に注意を払いながら手指から肘まで手もみ洗いする。
  • 流水で消毒液が中枢側へ流れるように手指から肘までを洗い流す。
  • ブラシを用いて、手洗い用消毒液による摩擦洗浄を左右交互に手指、前腕末梢1/2、前腕中枢側から肘部の3部に分けて行う。
  • 流水で消毒液が中枢側へ流れるように手指から肘までを洗い流す。
  • ブラシを替えて同様の摩擦洗浄、流水による洗い流しをもう一度行う。
  • 滅菌タオルで指先から中枢側へ肘部まで拭く。
  • 速乾性アルコール手指消毒薬を手指・爪に擦り込む。(省略可)
  3)滅菌ガウンの装着
  • 介助者に学生であることを自己紹介して介助を依頼する。
  • 滅菌ガウンを無菌的に取り出す。
  • 滅菌ガウンを周囲に触れないように手を伸ばして広げる。
  • 滅菌ガウンが周囲に触れないように注意しながら介助者へ右肩紐の端を渡す。
  • 介助者に右肩紐を持ってもらい、左手で左肩紐を持ってガウンを広げながら、介助者に触れないように注意して袖口へ向かって右手を挿入する。
  • 介助者に左肩紐を持ってもらい、介助者に触れないように注意しながら袖口へ向かって左手を挿入する。
  • 介助者が後で肩と腰の紐を結んでいる間に正面の紐の結び目をほどく。
  • 左手が背部に触れないように注意して紐を左から右に回し、それを右手で受ける。
  • 身体の前面で紐を結びガウンで全身を被う。
  4)滅菌手袋装着
  • 滅菌手袋の入った紙袋を安定した処置台等に置き、手袋に接触しないように広げる。
  • 右手で左手袋の折り返し部分(内面)を持って取り上げる。
  • 左手に清潔にかつスムーズに、手袋を装着する。(この際、手袋外部表面の無菌性を保たなければならない。手袋の外表側が手指、着衣などにわずかでも触れると無菌性が失われたものと判断する)
    (注)外科系では無菌性が保たれていることを「清潔」、無菌性が失われたこと(無菌性が失わ
       れた可能性がある場合も含む)を「不潔」と表現してきた。
       手指は消毒後も滅菌状態ではないので、滅菌手袋の外表面に触れると手袋の無菌性が失
       われたと判断する。
  • 左手の4本の指を反対側手袋の折り返しの部分(表面に当たる部分)に入れて取り上げる。
  • 右手に清潔かつスムーズに手袋を装着する。
  • 手袋の折り返しを延ばし、手袋を手に十分にフィットさせる。
  5)*手術準備
  • 滅菌したピンセットまたは鉗子により皮膚消毒薬(7.5%ポピドンヨードなど)の十分に含んだ綿球などを容器から取り出す。
  • 手術野の中心より外側へ向かい同心円を描きながら手術野より広範に消毒薬を皮膚に塗り込む。
  • 消毒薬の乾燥後もう一度同様の消毒を行う。
  • 消毒薬の乾燥後、滅菌シーツで手術野の周囲を被う。
  6)手術後
  • 針をシャープス・コンテナなどの容器へ、血液などで汚染されたゴミ(感染性医療廃棄物)を感染性廃棄物入れなどの専用のゴミ箱へ分別して廃棄する(各施設の規定に従う)。
    (例:縫合に使用した手袋、抜糸した糸、消毒後の綿球、針など)
  • 手袋をはずした後は流水で手を洗う。
(3)縫合
  1)手袋装着前の配慮
  • 爪を短く切ってあることを確認する。
  • よけいな装飾品や腕時計をはずす。
  • 袖が邪魔にならないように配慮する。(例えば、袖をまくり両前腕を充分に露出する)
  • 以下の項目は必要に応じて行う。
    手術用帽子を頭髪が露出しないように着用する。
    手術用マスクを口・鼻を完全に覆うように着用する。
    手指、前腕を流水で洗い流す。
    アルコール含有擦式消毒剤を手指に擦り込む。
  2)手袋装着
  (2)手術時手洗い・ガウンテクニックの4)滅菌手袋装着を参照
  3)皮膚消毒
  (臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  • 消毒することを患者さんへ告げる。
  • 滅菌ピンセットで消毒薬のついた綿球などを介助者のピンセットから受け取る。または、患者個人用に用意した綿球を滅菌ピンセットで直接取る。
  • 創周囲の皮膚を中心から外側に向かい同心円状に、必要十分な範囲で2回以上消毒する。
  • 消毒剤の乾燥後に穴開きシーツ(ドレープ)で創周囲を覆い、清潔術野を作る。
  4)*局所麻酔
  (内容は省略、臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  5)*創の観察(汚染、異物、出血、無痛域)
  6)縫合
  (臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  • 持針器を選択し、針の先端から3/4程度の部分を針先が向かって左に位置するように持針器の先端近くで把持する。(右利きの場合)
  • 針に糸を折り返し適切な長さで装着する。
  • ピンセットを選択し、鉛筆を持つように左手の第1指と第2指、第3指で、その基軸を手背に向かわせるように把持する。
  • 持針器を器種にあわせて適切に把持する。
  • 患者さんに声をかけながら手技をすすめる。
  • 創縁から針の半径よりやや短い長さに針を皮膚及び創縁に対して直角に挿入する。
  • 針の湾曲にそって、針先を進める。
  • 創縁を軽く持ち上げるなどピンセットを補助的に使用する。
  • 刺入部と対称になるように反対側に針先を出す。
  • 反対側に出た針を、針先を損傷しないように持針器で把持する。
  • 針の湾曲にそって、針を皮膚から抜く。
  • 針を安全な場所に置く。(廃棄するときは、シャープス・コンテナなどの容器へ)
  7)結紮
  (臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  • 結紮を適切に行う。(外科結紮など)
  • 剪刀のリングに第1指と第4指を挿入し、第2指を軽く曲げてその柄にそえて把持する。
  • 結び目から5mm〜1cm程度残して余分な糸を切る。
  8)ドレッシング
  (臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  • 創部を消毒する。
  • 清潔操作によりガーゼなどでドレッシングする。
  • 患者さんに処置が終了したことを告げる。
  9)抜糸
  (臨床実習では指導医の指導のもとで行う)
  • 抜糸することを患者さんに告げ、了承を得る。
  • 創に張力が加わらないようにガーゼなどを除去する。
  • 創部を消毒する。
  • ピンセットと剪刀を正しく把持する。
  • ピンセットで糸の断端を把持し皮下に埋没していた糸を露出させる。
  • 糸を埋没していた部で切り、抜き取る。
  • 創部を消毒しドレッシングする(状況により省略する)。
  • 患者さんに処置が終了したことを告げる。
  10)処置後
  • 針をシャープス・コンテナなどの容器へ、血液などで汚染されたゴミ(感染性医療廃棄物)を感染性廃棄物入れなどの専用のゴミ箱へ分別して廃棄する。
    (例:縫合に使用した手袋、抜糸した糸、消毒後の綿球、針など)
  • 手袋をはずした後は流水で手を洗う。
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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].救急
(注)学習項目は院内で倒れた患者さんへの対応として設定されている。
(注)学習および評価は、標準模擬患者(SP)、マネキン人形、訓練用AEDなどを用いて行う。
(注)心肺蘇生法、痛み刺激、腹部突き上げ法など危険な処置では、標準模擬患者(SP)を傷付けないように注意すること。
(1)成人の心肺蘇生法
(注)ここでは心肺停止で倒れたところを目撃された成人患者への対応を扱っている。
  1)安全を確認する
  • 周囲を見渡し安全であること(車、鋭利なもの、体液などの危険や汚染がないこと)を口に出して確認する。
  • スタンダードプレコーションに配慮する(手袋など)。
  2)反応を確認する
  • 患者さんに大きな声をかけながら、頸椎が動揺しない程度に肩を軽く叩いて反応を確認する。
  3)応援や資器材を依頼する
  • 反応がなければ、助けを求める。(病室ではナースコールを使ってもよい)
  • 助けの人に@応援の人(医師・看護師・院内救急コール)、AAEDまたは除細動器、B救急カートなどを依頼する。
  4)気道を確保し、呼吸と脈拍を確認する
  • 頭部後屈あご先挙上を行い、軟部組織を圧迫しないように気道を確保する。
  • *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は下顎挙上法を行う。
  • 頭部後屈させた患者さんの口元に頬を近づけ胸部を見ながら、@胸部の呼吸運動、A呼吸の音、B呼気の流れ、C頸動脈拍動の有無を確認する。すなわち、見て・聴いて・感じて、5〜10秒で心肺停止状態かどうかを判断する。(死戦期呼吸は十分な呼吸ではないと見なす。確実な頸動脈拍動を触れなければ心肺停止状態と判断する。確認は10秒以内として次の手順に進む)
    頸動脈拍動は、頭部後屈を保ったまま、あご先を挙上していた指2〜3本を甲状軟骨の高さで手前にずらし、甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間に軽く押し当てて確認する。
  5)口対口人工呼吸を行う
  • 十分な自発呼吸がないと判断したら、人工呼吸で呼吸の補助を行う。
  • ポケットフェイスマスクまたはフェイスシールドなどの感染防護具を使用する。
  • ポケットフェイスマスクの場合は、マスクを口と鼻を覆うように密着させ、気道確保を維持する。フェイスシールドの場合は、前額部に当てている手の指で患者さんの鼻をつまみ、患者さんの口を自分の口で漏れがないように十分に覆う。
  • 胸部の動きを見ながら1回に1秒かけて、胸が上がる程度の量を2回吹き込む。
  • 胸部の動きがない場合は、気道を確保し直し人工呼吸する。吹き込みを2回試みても胸が上がらない場合は、それ以上時間をかけずに胸骨圧迫に移る。
  • 呼吸がなく頸動脈拍動を触知する場合は、人工呼吸を続ける。人工呼吸のみ続ける場合は、1分間に10回程度の回数で行う。
  6)胸骨圧迫を開始する
  • 心肺停止状態と判断したら、2回の人工呼吸に引き続いて胸骨圧迫を開始する。
  • 胸骨を圧迫する手の位置は、胸骨の尾側2分の1である。胸の真ん中、あるいは、左右の乳頭を結ぶ線の中点に手掌基部を置く。剣状突起を圧迫しないように注意する。
  • 胸骨に置いた手に他方の手を組み合わせ、肘を伸ばし垂直に圧迫する。
  • 圧迫の深さは4〜5cm沈むまで強く圧迫し、十分な圧迫解除に留意し手がずれないように注意する。
  • 圧迫の速さは1分間に100回程度とする。
  7)胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返す
  • 胸骨圧迫30回と人工呼吸2回の組み合わせで繰り返す。(注: 回数が多少異なっても30:2を意識していればよい)
  • 胸骨圧迫中断の時間は最小限(概ね10秒以内)になるよう努力する。
  • AED装着、医師・看護師に引き継ぐまで、あるいは患者さんが動き出すまで、30:2の組み合わせを繰り返す。
  8)AED(自動体外式除細動器)を使用する
  • 最初に、電源を入れ音声指示に従う。(蓋を開けると電源が入る機種もある)
  • 電極パッドを患者さんの右上前胸部(鎖骨下)と左下側胸部(左乳頭外側下方)に貼る。
    電極パッドを貼る部位に経皮的薬剤があれば除去し、胸部が濡れていたら拭き取り、埋め込みペースメーカーや除細動器があれば2〜3cm以上離れた部位に電極パッドを貼る。胸毛により電極パッドが密着しない場合は除毛する。(この間も胸骨圧迫の中断は最小限になるよう努力する)
  • AEDによる解析の際や放電の際には、全員に患者さんから離れるように指示し、周囲を見て確認し安全を確保する。
  • 解析や放電の後、医師・看護師に指示されるまで電極パッドは剥がさず、電源は入れたままにしておく。音声指示に従い、胸骨圧迫などを行う。(解析や放電の直後、音声指示の前に胸骨圧迫を再開するのは許容される)
  • AEDの指示に従い、医師・看護師に引き継ぐまで、あるいは患者さんが動き出すまで上述の処置を続ける。AEDによる解析や除細動、呼吸と循環の確認などのタイミングは、基本的にAEDの音声指示による。
  9)医療者に申し送る
  • 到着した医師・看護師に胸骨圧迫を引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。
    (キーワードの例:「目の前で倒れた、心肺停止、除細動した」)
(2)小児の心肺蘇生法
(注)ここでは心肺停止で倒れたところを目撃された1〜15歳程度の小児患者への対応について、成人と
   の違いのみ記載した。
  • 応援や資器材を依頼する際、救助する者が1人だけで大声で叫んでも応援が居ない場合には、下記の気道確保と胸骨圧迫30:人工呼吸2の組み合わせを5サイクル(約2分間)実施してから応援を探しに行く。
  • 脈拍60回/分以下の徐脈で、かつ、末梢循環障害があれば胸骨圧迫を行う。
  • 胸骨圧迫では、小児では圧迫の深さは胸の厚さの3分の1程度として強く圧迫する。体の大きさを考慮し片手で圧迫してもよい。
  • AED(自動体外式除細動器)を使用する際、1〜8歳の小児では小児用電極パッドを使用する。無ければ成人用パッドで代用する。
(3)意識障害患者への初期対応
  1)安全を確認する
  • 周囲を見渡し安全であること(車、鋭利なもの、体液などの危険や汚染がないこと)を口に出して確認する。
  • スタンダードプレコーションに配慮する。(手袋など)
  2)反応を確認する
  • 患者さんに大きな声をかけながら、頸椎が動揺しない程度に肩を軽く叩いて反応を確認する。
  3)応援や資器材を依頼する
  • 反応がなければ、助けを求める。(病室ではナースコールを使ってもよい)
  • 助けの人に@応援の人(医師・看護師・院内救急コール)、AAEDまたは除細動器、B救急カートなどを依頼する。
  4)気道を確保し、呼吸と脈拍を確認する
  • 頭部後屈あご先挙上を行い、軟部組織を圧迫しないように気道を確保する。
  • *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は下顎挙上法を行う。
  • 頭部後屈させた患者さんの口元に頬を近づけ胸部を見ながら、@胸部の呼吸運動、A呼吸の音、B呼気の流れ、C頸動脈拍動の有無を確認する。すなわち、見て・聴いて・感じて、5〜10秒で心肺停止状態かどうかを判断する。(死戦期呼吸は十分な呼吸ではない、確実な頸動脈拍動を触れなければ心肺停止状態と判断する)
    頸動脈拍動は、頭部後屈を保ったまま、あご先を挙上していた指2〜3本を甲状軟骨の高さで手前にずらし、甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間に軽く押し当てて確認する。
  5)末梢循環を観察する
  • 十分な自発呼吸があれば、末梢循環や意識レベルを観察する。
  • 末梢循環の観察には、顔面や手の視診と触診で皮膚の@蒼白、A冷感、B湿潤の有無を確認する。(*圧迫後再還流時間で評価することもある)
  • 橈骨動脈の脈拍を観察し、脈拍の有無や強弱、速いか遅いかを確認する。
    (例:「脈は弱くて速い」、「強くて遅い」など)
  • 明らかな外出血がないか全身を観察する。外出血があればスタンダードプレコーションに配慮しつつ直接圧迫止血する。
  6)意識レベルを評価し、麻痺の有無を観察する(神経の章を参照)
  • 患者さんに声をかけながら、声かけに答えるか、指示に従い顔面や手足を動かせるかどうかを観察する。声かけに反応しない場合は、痛み刺激に対する反応を観察する。患者さんへの配慮として、痛み刺激は声をかけてから加える。
  • 意識レベルをJCS(Japan Coma Scale)、GCS(Glasgow Coma Scale)、AVPU(Alert, Verbal response, Pain response, Unresponsive)、言葉による分類などで表現する。
  • 話し方の異常、顔面麻痺、両上下肢麻痺の有無をおおまかに評価する。
  7)気道を維持する
  • 意識レベルが悪く気道確保が必要で、呼吸と循環が安定していれば、回復体位で気道を確保し医師・看護師の到着を待つ。体位変換に際しては、頭部や頸部に無理な力がかからないように配慮し、安定した側臥位にさせる。
  • *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は、体位変換せず下顎挙上法のみを行う。
    (仰臥位から側臥位への回復体位の取らせ方の例:患者さんの横にひざまずき、患者さんの両
    下肢を伸ばさせる。手前側の患者上肢を概ね90度外転させ、反対側の患者手背を手前側の頬に付けさせる。反対側の膝を立てさせ、膝や腰に手を当てて患者さんの体を手前側に起こし側臥位にさせる。上になった膝を曲げたまま手前側に置き、側臥位を安定させる。頭部を少し後屈させて気道が開放された状態を維持させる)
  • 体位変換後も気道が維持され、呼吸と循環が安定しているかどうか経時的に確認する。
  8)安全で快適な環境を確保する
  • 安全を確保する。
  • 着衣を緩め、安静を維持する。
  • 体が冷える可能性があれば毛布などによる保温を行う。高体温の疑いがあれば冷却を図る。
  )医療者に申し送る
  • 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。
    (キーワードの例:「意識レベル、末梢循環、回復体位」)
(4)気道異物による窒息への初期対応
(注)ここでは窒息したところを目撃された成人患者への対応を扱っている。
  1)窒息に気が付く
  • 苦しそう、顔色が悪い、声が出せない、息ができないなどがあれば、窒息を疑う。
  • 息ができないのですかなどと声をかけ、身振り手振りや声が出せないことなどで窒息していることを確認する。
  2)応援や資器材を依頼する
  • 窒息の疑いがあれば、助けを求める。(病室ではナースコールを使ってもよい)
  • 応援や資器材を依頼する際、救助する者が1人だけで大声で叫んでも応援がいない場合には、下記の腹部突き上げ法(ハイムリック法)や背部叩打法を試みる。(回数や順序は問わない)
  3)腹部突き上げ法(ハイムリック法)
  • 患者さんへの配慮として、「後ろからお腹を押します」など声をかけてから処置を行う。
  • 患者さんの背後から両手を腹部にまわし、臍の頭側に片手の拳を当て他の手で拳を覆い横隔膜の方向にすばやく突き上げる。剣状突起を圧迫しないように注意する。
    (妊婦や肥満者には、腹部突き上げ方法より背部叩打法が考慮される)
  4)背部叩打法
  • 患者さんへの配慮として、「背中を叩きます」など声をかけてから処置を行う。
  • 手掌基部で患者さんの肩甲骨の間を力強く連続して叩く。
  5)意識消失への対応
  • 患者さんの反応がなくなったら、心肺停止状態に対する心肺蘇生法の手順を、応援や資器材の依頼から開始する。ただし、気道確保のたびに口腔内をのぞきこみ、異物があれば除去する。盲目的指拭法は行わない。窒息による意識消失であれば脈拍を触知していても胸骨圧迫を行う。
  6)医療者に申し送る
  • 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。
    (キーワードの例:「窒息、腹部突き上げ法、背部叩打法」)
(5)*蘇生チームによる心肺蘇生法(成人・小児・乳児、目撃例・非目撃例)
(注)救急対応チームリーダーの指示のもと以下の処置を行う。
  1)心電図波形を評価しVF / Pulseless VTであれば除細動を迅速かつ安全に行う。
  2)バッグ-バルブ-マスクや気管挿管で胸骨圧迫と人工呼吸を継続する。
  3)末梢静脈路を確保し救急薬剤を投与する。
  4)鑑別診断を考える。
(6)*重症救急病態に対する救命治療
(注)救急対応チームリーダーの指示のもと対応する。
  1)ショック
  2)急性中毒
  3)広範囲熱傷
  4)多発外傷
(7)*初期救急病態の鑑別と初期治療
(注)救急対応チームリーダーの指示のもと対応する。
  1)発熱、脱水、めまい
  2)けいれん、意識障害、頭痛
  3)動悸、胸痛、呼吸困難、喀血
  4)腹痛、嘔吐、吐血・下血、下痢、血尿
学生が臨床実習中に学習し卒業修了時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業修了時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。
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