臨床実習開始前の「共用試験」第9版(平成23年)
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120□ 末梢循環の観察には、顔面や手の視診と触診で皮膚の①蒼白、②冷感、③湿 潤の有無を確認する。(*圧迫後再還流時間で評価することもある)□ 橈骨動脈の脈拍を観察し、脈拍の有無や強弱、速いか遅いかを確認する。 (例:「脈は弱くて速い」、「強くて遅い」など)□ 明らかな外出血がないか全身を観察する。外出血があればスタンダードプレ コーションに配慮しつつ直接圧迫止血する。6)意識レベルを評価し、重要な神経学的所見を観察する(「Ⅷ.神経診察、(14)意識レベルの診察」を参照)□ 患者さんに声をかけながら、声かけに答えるか、指示に従い顔面や手足を動 かせるかどうかを観察する。□ 声かけに反応しない場合は、痛み刺激に対する反応を観察する。患者さんへ の配慮として、痛み刺激は声をかけてから加える。□ 意識レベルをJCS(Japan Coma Scale)、かつGCS(Glasgow Coma Scale)で 表現する。□ *話し方の異常、顔面麻痺、上下肢麻痺の有無と左右差、瞳孔の大きさと左 右差を評価する。7)気道を維持する□ 意識障害があり、気道確保が必要で、呼吸と循環が安定していれば、回復体 位で気道を確保し医師・看護師の到着を待つ。体位変換に際しては、頭部や 頸部に無理な力がかからないように配慮し、安定した側臥位にさせる。 (仰臥位から側臥位への回復体位の取らせ方の例:患者さんの横にひざまず き、患者さんの両下肢を伸ばさせる。手前側の患者上肢を概ね90度外転させ、反対側の患者手背を手前側の頬に付けさせる反対側の膝を立てさせ膝や 反対側の患者手背を手前側の頬に付けさせる。反対側の膝を立てさせ、膝や 腰に手を当てて患者さんの体を手前側に起こし側臥位にさせる。上になった 膝を曲げたまま手前側に置き、側臥位を安定させる。頭部を少し後屈させて 気道が開放された状態を維持させる)□ 体位変換後も気道が維持され、呼吸と循環が安定しているかどうか経時的に 確認する。□ *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は、体位変換せず下顎挙上法のみを行う。8)安全で快適な環境を確保する□ 安全を確保する。□ 着衣を緩め、安静を維持する。□ 体が冷える可能性があれば毛布などによる保温を行う。高体温の疑いがあれ ば冷却を図る。9)医療者に申し送る□ 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。 (キーワードの例:「意識レベル、呼吸循環、回復体位」)(5)気道異物による窒息への初期対応(注)ここでは窒息したところを目撃された成人患者への対応を扱っている。1)窒息に気が付く□ 苦しそう、顔色が悪い、声が出せない、息ができないなどがあれば、窒息を3-2)医学系OSCE

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