臨床実習開始前の「共用試験」第9版(平成23年)
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89Ⅶ.腹部診察(1)診察時の配慮「Ⅰ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学習・評価項目」を参照(2)医療安全1)腹部全般□ 腹部を露出させることを事前に説明し同意を得る。□ 痛みのある領域の打診や叩打診及び触診は過度に苦痛を与えないように実施 する。2)*直腸診□ 直腸診の目的を患者さんに説明する。□ 直腸診の方法の概略を患者さんに説明する。□ 患者さんが直腸診の内容を理解したことを確認し、実施の承諾を得る。□ 看護師(または他の医療職)が陪席していることを確認する。□ 糞便、体液による汚染防止に留意し、使用後の用具は感染性廃棄物入れに廃 棄する。(3)全般的注意事項□ ベッドに仰向けになってもらい、腹部を十分に露出する。 ➢一般的には、患者さんの右側に立って右手で診察することが推奨されている。 ➢可能な限り心窩部から恥丘、鼠径部までの範囲を診察できるようにする。なを用羞配慮す ➢バスタオルなどを用いて、羞恥心に配慮する。 ➢以下、特に記載がない場合の診察体位は仰臥位とする。□ 視診-聴診-打診-触診 の順序で診察を進める。□ 腹痛のある患者さんの場合は、まずその場所を聞いておく。□ 視診・聴診・打診では十分な診察範囲を確保するために両膝を伸ばした状態 で診察を行う。□ 触診では腹壁の緊張をとるために、膝を軽く曲げる、膝の下へ枕を挿入する、 上肢を挙上している場合は体の脇に下ろさせる、などの工夫をする。(4)基本的診察法1)視診□ 腹部の輪郭・形状(平坦・膨隆・陥凹)および腫瘤の有無を判断する。 ➢上方および側方からくまなく観察する。 ➢形状は胸郭レベルまたは剣状突起と恥骨結合とを結ぶ仮想線を基準にする。□ 皮疹・着色斑・手術瘢痕・静脈怒張・皮膚線条・腫瘤・拍動などの有無を判 断する。2)聴診□ 聴診への導入 ➢聴診器で腹部の音を聴くことを説明する。 ➢聴診器が冷たくないか触って確認する。冷たいときは暖める。3-2)医学系OSCE

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