臨床実習開始前の「共用試験」第9版(平成23年)
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92 ➢左(右)手を背部の第12肋骨の尾側に平行に置き、指先が肋骨脊柱角(CVA) に届くようにする。 ➢右腎を腹側(上方)に持ち上げるようにする。 ➢右(左)手を上腹部、腹直筋の外側に平行になるように置く。 ➢患者さんに腹式呼吸をしてもらう。 ➢最吸気時に腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにする。 ➢次の呼気時に、腎臓を両手で捕獲する気持ちで腎下極を挟み込むように触診す る。(腎臓は上方に滑る) ➢右腎と同様に左腎を触診する。(可能であれば患者さんの左側に移動する)(5)病態に応じた精密診察法1)*腹水の評価□ 看護師または患者さん自身の手の側面を腹部正中線上に縦に立ててもらい、 側腹部を手指で軽く叩いて衝撃を加え、対側の側腹部に置いた別の手に波動 を感じとる。□ Shifting dullnessによって腹水の有無を判断する。 ➢仰臥位で、打診音が変化する部をマークする。続いて、側臥位に移行してもら い、打診音が変化する部(濁音界)をマークし比較する。2)痛みがある部位の触診□ 痛みがあるとわかっている場合は、その部位の触診は最後にする。□ 触診しながら口頭やアイコンタクトなどで痛みを確認する。□ 苦痛に配慮して静かに、ソフトに触診する。□*一本の指の末節掌側を使って限局した圧痛点を探り確認する(最強点□ *一本の指の末節掌側を使って、限局した圧痛点を探り、確認する。(最強点 以外にも数箇所で確認)□ *虫垂炎が疑われる場合、McBurneyの圧痛点を同定し、Rovsing徴候(左下腹 部を押さえたときの右下腹部痛)の有無を確認する。□ *急性胆嚢炎が疑われる場合、Murphyの徴候(右肋弓下の圧痛による吸気の 途絶)を確認する。3)*腹膜刺激徴候の評価□ 触診の前に患者さんに咳をしてもらい、痛みが誘発されるか確認する。(咳 嗽試験)□ 咳嗽試験や圧痛点ではっきりしない場合、数本の指の末節掌側で圧痛の有無 を確認し、ゆっくり押し付けて(2~3秒くらいのイメージ)、急に圧を抜く (0.5秒くらいのイメージ)。押し付けた痛みと離した瞬間の痛みを比較して 質問し、痛みの増強の有無を確認する。 (反跳痛;rebound tenderness)□ 患者さんにベッドを降りてもらい、つま先立ちから急に踵をおろした際に腹 部に響くかを確認する。(踵落し衝撃試験)3-2)医学系OSCE

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