臨床実習開始前の「共用試験」第10版(平成24年)
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115Ⅲ-2 医学系OSCE5)胸骨圧迫を開始する□ 心肺停止状態と判断したら、直ちに胸骨圧迫を開始する。□ 胸骨を圧迫する手の位置は、胸骨の尾側2分の1である。胸の真ん中に手掌基 部を置く。剣状突起を圧迫しないように注意する。□ 胸骨に置いた手に他方の手を合わせ、肘を伸ばし垂直に圧迫する。□ 圧迫の深さは少なくとも5cm沈むまで強く圧迫する。□ 十分に圧迫解除する。□ 圧迫の速さは1分間に少なくとも100回以上とする。6)人工呼吸を行う□ 感染防護具またはバッグ・バルブ・マスクを使用する。□ ポケットフェイスマスクの場合は、マスクを口と鼻を覆うように密着させ、 気道確保を維持する。フェイスシールドの場合は、前額部に当てている手の 指で患者さんの鼻をつまみ、患者さんの口を自分の口で漏れがないように十 分に覆う。院内においては、感染防御等の観点から、バッグ・バルブ・マス クの使用を推奨する。□ 胸部の動きを見ながら1回に1秒かけて、胸が上がる程度の量を2回吹き込む。□ 胸部の動きがない場合は、気道を確保し直し人工呼吸する。□ 呼吸がなく頸動脈拍動を触知する場合は、人工呼吸を続ける。人工呼吸のみ 続ける場合は、1分間に10回程度の回数で行う。7)胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返す□ 胸骨圧迫30回と人工呼吸2回の組み合わせで繰り返す。 (注)回数が多少異なっても30:2を意識していればよい。□ 胸骨圧迫中断の時間は最小限(10秒以内)になるよう努力する。□ AED装着、医師・看護師に引き継ぐまで、あるいは患者さんが動き出すまで、 30:2の組み合わせを繰り返す。8)AED(自動体外式除細動器) を使用する□ 最初に、電源を入れ音声指示に従う。(蓋を開けると電源が入る機種もある)□ 電極パッドを患者さんの右上前胸部(鎖骨下)と左下側胸部(左乳頭外側下 方)に貼る。 ➢電極パッドを貼る部位に経皮的薬剤があれば除去し、胸部が濡れていたら拭き 取り、植込み型のペースメーカーや除細動器があれば8cm以上離れた部位に電 極パッドを貼る。胸毛により電極パッドが密着しない場合は除毛する。(こ の間も胸骨圧迫の中断は最小限になるよう努力する)□ AEDによる解析の際や放電の際には、全員に患者さんから離れるように指示し、 周囲を見て確認し安全を確保する。□ 解析や放電の後、医師・看護師に指示されるまで電極パッドは剥がさず、電 源は入れたままにしておく。音声指示に従い、胸骨圧迫などを行う。(解析 や放電の直後、音声指示の前に胸骨圧迫を再開するのは許容される)□ AEDの指示に従い、医師・看護師に引き継ぐまで、あるいは患者さんが動き出 すまで上述の処置を続ける。AEDによる解析や除細動、呼吸と循環の確認など のタイミングは、基本的にAEDの音声指示による。9)医療者に申し送る□ 到着した医師・看護師に胸骨圧迫を引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に 報告する。 - 115 -

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