臨床実習開始前の「共用試験」第10版(平成24年)
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117Ⅲ-2 医学系OSCE□ スタンダードプレコーションに配慮する。(手袋など)2)反応を確認する□ 患者さんに大きな声をかけながら、肩を軽く叩いて反応を確認する。3)応援や資器材を依頼する□ 反応がなければ、助けを求める。(病室ではナースコールを使ってもよい)□ 助けの人に①応援の人(医師・看護師・院内救急コール)、②AEDまたは除細 動器、③救急カートなどを依頼する。4)気道を確保し、呼吸と脈拍を確認する□ *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は下顎挙上法を行う。□ 頭部後屈あご先挙上を行い、軟部組織を圧迫しないように気道を確保する。□ 頭部後屈させた患者さんの、①胸部の呼吸運動、②呼吸の音、③呼気の流れ、 ④頸動脈拍動の有無を確認し、10秒以内で心肺停止状態かどうかを判断する。 (死戦期呼吸は十分な呼吸ではない、確実な頸動脈拍動を触れなければ心肺 停止状態と判断する) ➢頸動脈拍動は、頭部後屈を保ったまま、あご先を挙上していた指2、3本を甲 状軟骨の高さで手前にずらし、甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間に軽く押し当てて 確認する。5)末梢循環を観察する□ 十分な自発呼吸があれば、末梢循環や意識レベルを観察する。□ 末梢循環の観察には、顔面や手の視診と触診で皮膚の①蒼白、②冷感、③湿 潤の有無を確認する。(*圧迫後再還流時間で評価することもある)□ 橈骨動脈の脈拍を観察し、脈拍の有無や強弱、速いか遅いかを確認する。 (例:「脈は弱くて速い」、「強くて遅い」など)□ 明らかな外出血がないか全身を観察する。外出血があればスタンダードプレ コーションに配慮しつつ直接圧迫止血する。6)意識レベルを評価し、重要な神経学的所見を観察する(「Ⅷ.神経診察、(14)意識レベルの診察」を参照)□ 患者さんに声をかけながら、声かけに答えるか、指示に従い顔面や手足を動 かせるかどうかを観察する。□ 声かけに反応しない場合は、痛み刺激に対する反応を観察する。患者さんへ の配慮として、痛み刺激は声をかけてから加える。□ 意識レベルをJCS(Japan Coma Scale)、かつGCS(Glasgow Coma Scale)で 表現する。□ *話し方の異常、顔面麻痺、上下肢麻痺の有無と左右差、瞳孔の大きさと左 右差を評価する。7)気道を維持する□ 意識障害があり、気道確保が必要で、呼吸と循環が安定していれば、回復体 位で気道を確保し医師・看護師の到着を待つ。体位変換に際しては、頭部や 頸部に無理な力がかからないように配慮し、安定した側臥位にさせる。 (仰臥位から側臥位への回復体位の取らせ方の例:患者さんの横にひざまず き、患者さんの両下肢を伸ばさせる。手前側の患者上肢を概ね90度外転させ、 反対側の患者手背を手前側の頬に付けさせる。反対側の膝を立てさせ、膝や 腰に手を当てて患者さんの体を手前側に起こし側臥位にさせる。上になった 膝を曲げたまま手前側に置き、側臥位を安定させる。頭部を少し後屈させて - 117 -

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