臨床実習開始前の「共用試験」第10版(平成24年)
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118Ⅲ-2 医学系OSCE 気道が開放された状態を維持させる)□ 体位変換後も気道が維持され、呼吸と循環が安定しているかどうか経時的に 確認する。□ *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は、体位変換せず下顎挙上法のみを行う。8)安全で快適な環境を確保する□ 安全を確保する。□ 着衣を緩め、安静を維持する。□ 体が冷える可能性があれば毛布などによる保温を行う。高体温の疑いがあれ ば冷却を図る。9)医療者に申し送る□ 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。 (キーワードの例:「意識レベル、呼吸循環、回復体位」)(6)気道異物による窒息への初期対応(注)ここでは窒息したところを目撃された成人患者への対応を扱っている。1)窒息に気が付く□ 苦しそう、顔色が悪い、声が出せない、息ができないなどがあれば、窒息を 疑う。□ 息ができないのですかなどと声をかけ、身振り手振りや声が出せないことな どで窒息していることを確認する。2)応援や資器材を依頼する□ 窒息の疑いがあれば、助けを求める。(病室ではナースコールを使ってもよ い)3)腹部突き上げ法(ハイムリック法)□ 患者さんへの配慮として、「後ろからお腹を押します」など声をかけてから 処置を行う。□ 患者さんの背後から両手を腹部にまわし、臍の頭側に片手の拳を当て他の手 で拳を覆い横隔膜の方向にすばやく突き上げる。剣状突起を圧迫しないよう に注意する。 (妊婦や肥満者には、腹部突き上げ法ではなく胸部突き上げ法・背部叩打法 を行う)4)背部叩打法□ 患者さんへの配慮として、「背中を叩きます」など声をかけてから処置を行 う。□ 手掌基部で患者さんの肩甲骨の間を力強く連続して叩く。5)意識消失への対応□ 患者さんの反応がなくなったら、心肺停止状態に対する心肺蘇生法の手順を、 応援や資器材の依頼から開始する。ただし、気道確保のたびに口腔内をのぞ きこみ、異物があれば除去する。盲目的指拭法は行わない。窒息による意識 消失であれば脈拍を触知していても胸骨圧迫を行う。6)医療者に申し送る□ 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。 (キーワードの例:「窒息、腹部突き上げ法、背部叩打法」) - 118 -

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