臨床実習開始前の「共用試験」第10版(平成24年)
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14-14-Ⅱ-1CBTの概要⑥個人別成績表:個人の試験の結果として素点とともに項目反応理論を用いた成績の評価結果を返却しています。昨年までこれも能力値(θ)と表記していましたが,今後はIRT標準スコアと表記します。すなわち,問題特性を示す場合は,能力値(θ)として表記し,学生の評価を示す場合はIRT標準スコアと表記します。このスコアは能力値を平均値50,標準偏差10(’偏差値’に相当)になるように,変換したものです。さらに分かりやすい分類として,このIRT標準スコアに基づいて平均値から標準偏差ごとに区分した6段階に分類した評価(IRT標準スコア6段階評価)も返却しています(p17参照)。項目反応理論と項目特性曲線(高橋正視著「項目反応理論入門」2002から引用)歯学系においても,項目反応理論の適用に向けた準備が進んでいます。00.10.20.30.40.50.60.70.80.91‐3‐2‐10123正答確率能力値(θ)0.500.150.030.850.97a:項目識別力b:項目困難度・能力値(θ):テストを受ける受験者全体の推定される能力分布(その試験で測定される能力であり,素点の総得点と近似)を表すものです。この分布は,通常標準正規分布(平均値:0標準偏差:1)を仮定します。θ=0は平均であり,-1は平均より1標準偏差低い能力,+1は1標準偏差高い能力を表します。・項目識別力(a):曲線の勾配aが急峻になれば,できる人とできない人の識別力が高くなります。・項目困難度(b):正答する確率が0.5の時の能力値を項目困難度bとします。個々の問題の特性は,a,bを利用して判断します。共用試験では臨床実習に参加するための最低限のレベルを評価する問題を多く採用していることから,能力値の低い方(マイナス)で識別力が高い問題が多く含まれています。このような問題の評価も項目反応理論であると曲線のパターンから視覚的に簡単に判断できます。

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