臨床実習開始前の「共用試験」第10版(平成24年)
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88Ⅲ-2 医学系OSCE ➢聴診器が冷たくないか触って確認する。冷たいときは温める。 ➢聴診器が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。□ 腸蠕動音の聴診 ➢腹壁の一か所に膜型聴診器を軽く当てて腸蠕動音を聴診する。 ➢腸蠕動音の聴診は十分時間をかけて聴取する。(1、2か所の聴診でよい) ➢*腸蠕動音の頻度(亢進・低下・消失)や性状(金属性などの異常音の有無) を判断する。□ 腹部の血管音の聴診 ➢膜型聴診器を押し当てて大動脈音を直上で聴診する。 ➢*膜型聴診器を押し当てて左右の腎動脈音を直上で聴診する。 ➢*膜型聴診器を押し当てて左右総腸骨動脈音を直上で聴診する。□ *振水音を聴診する。 ➢イレウスが疑われる場合には、上腹部に膜型聴診器を押し当てて腹部全体を両 手で強めに揺すって聴診する。3)打診□ 打診の基本手技 ➢腹部をたたいて(打診で)診察することを説明する。 ➢手が冷たくないことを確認し、必要に応じて温める。 ➢手が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。 ➢左(右)手を広げ、その中指の中節骨部またはDIP関節部を、曲げた右(左) 中指で手首のスナップを効かせて弾むように原則として2回ずつ叩き、打診す る。 ➢痛みがあるとわかっている場合は、痛い部位の打診を最後に行う。□ 腹部全体の打診 ➢腹部の9領域(左上・中・下、中央上・中・下、右上・中・下)を打診する。 ➢打診しながら口頭や顔の表情などで痛みを確認する。 ➢打診音の異常の有無を確認する。□ 肝臓の打診 ➢肝臓の上界(肺肝境界)を、右鎖骨中線で、頭側からの打診で判断する。 ➢肝臓の下界を、右鎖骨中線で、尾側からの打診で判断する。□ 脾臓の打診 ➢Traube三角(第6肋骨、肋骨下縁、前腋窩線で囲まれた範囲)に濁音界がない (鼓音である)かどうかを判断する。4)*叩打診□ 肝臓の叩打診 ➢右肋骨弓頭側に平手をおき、反対側の手拳の尺側面で優しく叩き、肝臓の叩打 痛の有無を診察する。□ 脾臓の叩打診 ➢左肋骨弓頭側に平手をおき、反対側の手拳の尺側面で優しく叩き、脾臓の叩打 痛の有無を診察する。□ 腎臓の叩打診 ➢側臥位または座位でCVA(cost-vertebral angle)に平手をおいて、反対側の 手拳の尺側面で優しく叩き、叩打痛の有無を診察する。平手をおかずに直接 叩打しないこと。両側で行い比較する。 - 88 -

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