臨床実習開始前の「共用試験」第10版(平成24年)
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93Ⅲ-2 医学系OSCEⅧ.神経診察(注)以下の文章は右利きの検者を想定して説明してあるので、左利きの場合に は適宜読み替えて行う。(1)診察時の配慮「Ⅰ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学習・評価項目」を参照(2)医療安全□ 表在感覚の検査具としては、従来、筆やルーレットが用いられてきたが、皮 膚の損傷や感染予防の観点から触覚検査にはティッシュペーパー、痛覚検査 には楊枝の先端など、ディスポーザブルなものを使用するのが望ましい。□ Babinski徴候の検査具には、従来、ハンマーの柄、鍵などが用いられてきた が、皮膚の損傷や感染予防の観点から楊枝の頭部など、ディスポーザブルな ものを使用することが望ましい。□ 舌圧子、ペンライト、音叉、楊枝は患者さんに外傷や苦痛を与えないよう、 正しく使用する。□ つぎ足歩行、Romberg試験では危険がないように、患者さんの近くにいて見守 る。□ 意識レベルの診察で疼痛刺激を与える時は、青あざが残らないように注意す る。(3)診察の順序□ 脳神経(座位)‐上肢の運動系(座位)‐起立・歩行(立位)‐下肢の運動 系(臥位)‐感覚系(臥位)‐反射(臥位)の順序で診察を進める。 (注)系統的であれば、診察の順序は上記以外でもよい。□ 意識障害、認知機能や言語(失語と構音障害の有無)、不随意運動について は、医療面接の段階で大まかに判定しておく。□ 同様に、視力や聴力についても、医療面接の段階で詳細な検査が必要かどう かを判断しておく。□ 病歴から筋力低下が疑われる場合には、四肢の徒手筋力検査を追加する。□ 髄膜刺激徴候の有無が問題になる場合には、必要な検査を追加する。□ 意識障害の有無が問題になる場合には、必要な検査を追加する。(4)脳神経の診察(座位)1)視野□ 検者が見本を見せながら、片側の眼を患者さんの手で覆ってもらう。□ 視線を動かさず、検者の眼を見ているように指示する。□ 見本を見せながら、検者の指が動くのが見えたら知らせるよう伝える。□ 検者の指は患者さんと検者のほぼ中間地点にあるようにする。□ 検者も患者さんに合わせて対応する側の目を閉じる(手で覆ってもよい)。□ 視野の右上、右下、左上、左下、計 4 か所を調べる。 - 93 -

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