臨床実習開始前の「共用試験」第10版(平成24年)
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96Ⅲ-2 医学系OSCE とを告げる。□ 胸鎖乳突筋の筋力を判定する。□ 反対側の手で収縮した胸鎖乳突筋を触診する。□ 必ず両側を検査する。(5)上肢の運動系の診察(座位)1)上半身の不随意運動□ 手を膝においてゆったりと座ってもらう。□ 安静時の振戦、その他の不随意運動(頭部の振戦、舞踏運動など)の有無を 観察する。□ 両上肢を前方に伸ばし、手掌を下に向けて指を少し広げてもらい、手指の姿 勢時振戦の有無を観察する。□ 指を広げたままで手首を背屈してもらい、固定姿勢保持困難(asterixis、羽 ばたき振戦と言われることもあるが厳密には振戦ではない)の有無を観察す る。(注)上半身の不随意運動は臥位でも評価できる。2)Barré 徴候(上肢)□ 良い肢位をガイドしながら、両上肢を前方に伸ばし、手掌を上に向け指をつ けてもらう。□ 両眼を閉じてもらい、そのまま水平を保つよう頑張ってもらう。□ 上肢の降下、手掌の凹み、前腕回内、肘関節屈曲の有無を観察する。3)筋トーヌス(肘関節)□ 検者が患者さんの手を動かすので、患者さんは力を抜いて、自分では手を動 かさないようにしてほしい旨を伝える。 □ 左手で患者さんの肘関節伸側を軽く持ち、右手で患者さんの手を持って、肘 関節の屈曲伸展を適切なスピードで繰り返す。□ 筋トーヌスの異常(筋強剛、痙縮など)の有無を判定する。□ 必ず両側を検査する。(注)上肢の筋トーヌスは前腕の回内・回外、手関節の屈伸でも評価できる。4)鼻指鼻試験□ 検者の右示指を出して見せ、患者さんにも同じように指を出してもらう。□ 左手で患者さんの指のつけねあたりを持ち、検者の右示指の指尖と患者さん の鼻のあたまとの間を行ったり来たりする動作を2、3回ガイドする。□ 患者さんが手を伸ばすとようやく指に届く程度の距離で検査を行う。□ 検者の指は少しずつ位置を変えるので、頑張って指を付けてほしい旨を伝え る。□ 運動の円滑さ、振戦や測定異常の有無などを観察する。□ 必ず両側を検査する。5)手回内・回外試験□ 検者が見本を示しながら、両手を前に出し、軽く肘を屈曲して手の回内と回 外をできるだけ速く反復してもらう。(片手ずつ行ってもよい。肘は伸ばし てもよい)□ 反復拮抗運動不能(dysdiadochokinesis、adiadochokinesis)の有無を判定 する。 - 96 -

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