臨床実習開始前の「共用試験」第11版(平成25年)
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106(12)髄膜刺激徴候の診察(臥位)1)項部硬直□ 首の硬さを検査することを告げ、枕をはずす。□ 頭部に触ることを告げ、患者さんの後頭部を両手でかかえる。□ 検者が患者さんの頭を動かすので、自分では首を曲げたり頭を動かしたりし ないように説明する。□ はじめに左右に回してみて力が入っていないことを確認した後、ゆっくりと 頭部を前屈させ、項部硬直の有無を判定する。(注)患者さん自身に、あごが胸につくように頭部を前屈してもらい、髄膜刺激 徴候の有無を検査する方法もある(neck flexion test)。この方法は座位 でも臥位でも行える。2)*Kernig徴候□ 足を曲げて伸ばす検査を行う旨を説明する。□ 検者の手でガイドしながら、患者さんの片側の股関節を90゜屈曲してもらい、 さらに膝関節も90゜屈曲してもらう。□ 患者さんの大腿伸側を膝関節のやや近位を左手でつかみ、右手で患者さんの 踵を下から押して膝関節を135゜までゆっくりと伸展させていき、Kernig徴候 の有無を判定する。(13)認知機能の診察(注)病歴聴取の段階で認知機能の異常が疑われたら、 他の診察の前に下記の検 査を行う。1)見当識1061)見当識□ 時(年月日、曜日)を尋ねる。□ 場所を尋ねる。□ 人を尋ねる。2)記憶□ 生年月日、出生地、出身小学校などについて尋ねる。(遠隔記憶)□ 朝の食事内容、昨日の天気などについて尋ねる。(近時記憶)□ 数字の逆唱(3桁と4桁)を行ってもらう。(即時記憶)3)計算□ 100から7を順に3~5回引き算してもらう。4)*常識□ 総理大臣の名前、テレビで話題の事件など常識的な事項について尋ねる。5)*失語□ 日常的3物品(時計、めがね、財布、鍵など)を見せ呼称してもらう。□ 言語理解の検査として「右手で左の耳を触って下さい」などの命令をし、施 行してもらう。(ジェスチャーを加えないこと)□ 何か文章を言って復唱できるかを検査する。(14)意識レベルの診察106Ⅲ−2 医学系OSCE

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