臨床実習開始前の「共用試験」第11版(平成25年)
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118 状軟骨の高さで手前にずらし、甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間に軽く押し当てて 確認する。5)胸骨圧迫を開始する□ 心肺停止状態と判断したら、直ちに胸骨圧迫を開始する。□ 胸骨を圧迫する手の位置は、胸骨の尾側2分の1である。胸の真ん中に手掌基 部を置く。剣状突起を圧迫しないように注意する。□ 胸骨に置いた手に他方の手を合わせ、肘を伸ばし垂直に圧迫する。□ 圧迫の深さは少なくとも5cm沈むまで強く圧迫する。□ 十分に圧迫解除する。□ 圧迫の速さは1分間に少なくとも100回以上とする。6)人工呼吸を行う□ 感染防護具またはバッグ・バルブ・マスクを使用する。 (注)感染防護具もバッグ・バルブ・マスクもない場合は、それらが到着す るまで胸骨圧迫のみを継続する。 (注)バッグ・バルブ・マスクの詳しい使用法は後述する。□ ポケットフェイスマスクの場合は、マスクを口と鼻を覆うように密着させ、 気道確保を維持する。フェイスシールドの場合は、前額部に当てている手の 指で患者さんの鼻をつまみ、患者さんの口を自分の口で漏れがないように十 分に覆う。院内においては、感染防御等の観点から、バッグ・バルブ・マス クの使用を推奨する。□ 胸部の動きを見ながら1回に1秒かけて、胸が上がる程度の量を2回吹き込む。□ 胸部の動きがない場合は、気道を確保し直し人工呼吸する。□呼吸がなく頸動脈拍動を触知する場合は人工呼吸を続ける人工呼吸のみ118□ 呼吸がなく頸動脈拍動を触知する場合は、人工呼吸を続ける。人工呼吸のみ 続ける場合は、1分間に10回程度の回数で行う。7)胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返す□ 胸骨圧迫30回と人工呼吸2回の組み合わせで繰り返す。 (注)回数が多少異なっても30:2を意識していればよい。□ 胸骨圧迫中断の時間は最小限(10秒以内)になるよう努力する。□ AED装着、医師・看護師に引き継ぐまで、あるいは患者さんが動き出すまで、 30:2の組み合わせを繰り返す。8)AED(自動体外式除細動器) を使用する□ 最初に、電源を入れ音声指示に従う。(蓋を開けると電源が入る機種もある)□ 電極パッドを患者さんの右上前胸部(鎖骨下)と左下側胸部(左乳頭外側下 方)に貼る。 ➢電極パッドを貼る部位に経皮的薬剤があれば除去し、胸部が濡れていたら拭き 取り、植込み型のペースメーカーや除細動器があれば膨らみを避けて電極パッ ドを貼る。胸毛により電極パッドが密着しない場合は除毛する。(この間も 胸骨圧迫の中断は最小限になるよう努力する)□ AEDによる解析の際や放電の際には、全員に患者さんから離れるように指示し、 周囲を見て確認し安全を確保する。□ 解析や放電の後、医師・看護師に指示されるまで電極パッドは剥がさず、電118Ⅲ−2 医学系OSCE

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