臨床実習開始前の「共用試験」第12版(平成26年)
122/154

Ⅲ-2 医学系OSCE□ 意識レベルをJCS(Japan Coma Scale)、かつGCS(Glasgow Coma Scale)で  評価する。□ *話し方の異常、顔面麻痺、上下肢麻痺の有無と左右差、瞳孔の大きさと対  光反射を評価する。7)気道を維持する□ 意識障害があり、気道確保が必要で、呼吸と循環が安定していれば、頭部後  屈あご先挙上法、下顎挙上法、回復体位などの方法で気道の維持を継続して  行う。 ➢回復体位を実施する場合は、頭部や頸部に無理な力がかかっていないかどうか  を確認しながら安定した側臥位にし、頭部を後屈させる。□ 気道が維持され、呼吸と循環が安定しているかどうか経時的に確認する。□ *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は、体位変換せず下顎挙上法のみを行う。8)バッグ・バルブ・マスクを用いて人工呼吸を行う(後述)9)容態変化時の対応□ 容態が大きく変化した場合は、気道、呼吸、循環、意識レベルを再評価する。10)体温維持に留意する□ 体温低下の可能性があれば毛布などによる保温に努める。高体温の疑いがあ  れば冷却をはかる。11)医療者に申し送る□ 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。  (キーワードの例:「意識レベル、呼吸循環、回復体位」)(7)気道異物による窒息への初期対応(注)ここでは窒息したところを目撃された成人患者への対応を扱っている。1)窒息の認知□ 苦しそう、顔色が悪い、声が出せない、息ができないなどがあれば、窒息を  疑う。□ 「ものが詰まりましたか」などと声をかけ、身振り手振りや声が出せないこ  となどで窒息していることを確認する。2)応援や資器材を依頼する□ 窒息の疑いがあれば、助けを求める。(病室ではナースコールを使ってもよ  い)3)腹部突き上げ法(ハイムリック法)を実施する□ 患者さんへの配慮として、「後ろからお腹を押します」など声をかけてから  処置を行う。□ 患者さんの背後から両手を腹部にまわし、臍の頭側に片手の拳を当て他の手  で拳を覆い横隔膜の方向にすばやく突き上げる。剣状突起を圧迫しないよう  に注意する。  (妊婦や肥満者には、腹部突き上げ法ではなく胸部突き上げ法・背部叩打法  を行う)4)背部叩打法を実施する120

元のページ  ../index.html#122

このブックを見る