臨床実習開始前の「共用試験」第12版(平成26年)
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Ⅲ-2 医学系OSCE□ 耳鏡を使って診察する。  (臨床実習前にはシミュレーターなどを用いて学習し、できるだけ安全に行  えるようにトレーニングし、臨床実習では指導医の指導のもとで行う) ➢耳鏡の挿入による外耳道への傷害を起こさないように十分に配慮する。 ➢耳鏡使用時に耳介を後上方に引いて外耳道入口部を観察し、病変の有無を確認  する。 ➢耳鏡を正しくセットして、横から覗きながら外耳道内へ耳鏡の先端を挿入する。 ➢耳鏡の先端を挿入後、安全確保のため耳鏡を保持している手の一部を患者さん  の頭部に当てて固定し、耳鏡を覗きながら痛みを生じないように注意深く進  める。 ➢耳鏡で外耳道・鼓膜を観察する。□ 必ず両側を診察する。4)鼻・副鼻腔□ 鼻の全体の形状、皮膚の所見を観察する:変形、皮疹など。□ 副鼻腔(上顎洞・前頭洞)の圧痛、叩打痛を確認する。□ *片方ずつ鼻翼を圧迫して鼻孔を塞ぎ、呼気または吸気で通気を確認する方  法や、金属板の曇りを確認する方法などにより鼻閉塞の有無を確認する。□ *鼻鏡を用いて鼻腔を観察する。□ 必ず両側を診察する。5)口唇・口腔・咽頭□ 口唇を観察する:チアノーゼ、水疱、色素沈着、潰瘍など。□ 歯を観察する:欠損、う歯、歯垢、歯石や歯列の所見など。□ 歯肉を観察する:発赤、腫脹、出血、色素沈着など。□ 頬粘膜を観察する:潰瘍、出血斑・鵞口瘡や耳下腺管開口部の所見など。□ 舌を観察する:舌を観察することを告げ、口を大きく開けてもらう、または  舌を出してもらい舌背を観察する。適切な指示(例「舌を右に寄せてくださ  い」など)、または舌圧子の使用により舌縁を観察する。発赤、腫瘤、潰瘍、  舌乳頭萎縮、舌苔、巨舌など。□ 口腔底・舌下面を観察する:適切な指示により舌を挙上してもらい、口腔底・  舌下面を観察する。腫瘤、舌小帯短縮や顎下腺管開口部の所見など。□ 硬口蓋を観察する:口蓋を十分に観察できるように、患者さんに頸部を後屈  してもらう、または観察者が下方から口蓋を覗き込む。発赤、腫瘤、潰瘍、  出血斑など。□ 軟口蓋・咽頭後壁を観察する:発赤、腫脹、リンパ濾胞の腫大、出血、後鼻  漏など。□ 口蓋扁桃を観察する:腫脹、左右差、発赤、白苔など。□ ペンライトを適切に使用する:観察部位に的確に光を当て、口腔内に入れた  り口唇に触れたりしないようにする。□ 咽頭後壁および口蓋扁桃を観察する際には、高い声で"あー"と発声してもら  うなどの方法で十分な視野を確保する。□ 舌圧子を用いて診察する際、咽頭後壁観察時は必要に応じて舌の中央部を舌82

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