臨床実習開始前の「共用試験」第12版(平成26年)
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Ⅲ-2 医学系OSCEⅧ.神経診察(注1)ここで学習する診察項目は、*の項目も含め神経学的診察を行う上で必  須の手技を選択し、解説している。そして臨床実習開始前までに習得すべき  項目とした手技については、他の身体診察ステーションとの学習量のバラン  ス、模擬患者への侵襲的手技の回避、臨床実習前OSCEが正常者への診察を原  則としていることへの整合性確保の観点から選択したものである。従って、  卒業時までにすべての神経診察手技を必ず習得しなければならない。(注2)以下の文章は右利きの検者を想定して説明してあるので、左利きの場合  には適宜読み替えて行う。(1)診察時の配慮「Ⅰ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学習・評価項目」を参照(2)医療安全□ 表在感覚の検査具としては、従来、筆やルーレットが用いられてきたが、皮  膚の損傷や感染予防の観点から触覚検査にはティッシュペーパー、痛覚検査  には楊枝の先端など、ディスポーザブルなものを使用するのが望ましい。□ Babinski徴候の検査具には、従来、ハンマーの柄、鍵などが用いられてきた  が、皮膚の損傷や感染予防の観点から楊枝の頭部など、ディスポーザブルな  ものを使用することが望ましい。□ 舌圧子、ペンライト、音叉、楊枝は患者さんに外傷や苦痛を与えないよう、  正しく使用する。□ つぎ足歩行、Romberg試験では危険がないように、患者さんの近くにいて見守  る。□ 意識レベルの診察で疼痛刺激を与える時は、青あざが残らないように注意す  る。(3)診察の順序□ 脳神経(座位)‐上肢の運動系(座位)‐起立・歩行(立位)‐下肢の運動  系(臥位)‐感覚系(臥位)‐反射(臥位)の順序で診察を進める。  (注)系統的であれば、診察の順序は上記以外でもよい。□ 意識障害、認知機能や言語(失語と構音障害の有無)、不随意運動について  は、医療面接の段階で大まかに判定しておく。□ 同様に、視力や聴力についても、医療面接の段階で詳細な検査が必要かどう  かを判断しておく。□ 病歴から筋力低下が疑われる場合には、四肢の徒手筋力検査を追加する。□ 髄膜刺激徴候の有無が問題になる場合には、必要な検査を追加する。□ 意識障害の有無が問題になる場合には、必要な検査を追加する。94

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