臨床実習開始前の「共用試験」第13版(平成27年)
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Ⅶ.神経(注1)ここで学習する診察項目は、*の項目も含め神経学的診察を行う上で必須  の手技を選択し、解説している。そして臨床実習開始前までに習得すべき項  目とした手技については、他の身体診察ステーションとの学習量のバランス、  模擬患者への侵襲的手技の回避、臨床実習前OSCEが正常者への診察を原則と  していることへの整合性確保の観点から選択したものである。従って、卒業  時までにすべての神経診察手技を必ず習得しなければならない。(注2)以下の文章は右利きの検者を想定して説明してあるので、左利きの場合に  は適宜読み替えて行う。(1)診察時の配慮「Ⅰ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学習・評価項目」を参照。(2)医療安全□ 表在感覚の検査具としては、従来、筆やルーレットが用いられてきたが、皮  膚の損傷や感染予防の観点から触覚検査にはティッシュペーパー、痛覚検査  には楊枝の先端など、ディスポーザブルなものを使用するのが望ましい。□ Babinski(バビンスキー)徴候の検査具には、従来、ハンマーの柄などが用  いられてきたが、皮膚の損傷や感染予防の観点から楊枝の頭部など、ディス  ポーザブルなものを使用することが望ましい。□ 舌圧子、ペンライト、音叉、楊枝は患者さんに外傷や苦痛を与えないよう、  正しく使用する。□ つぎ足歩行、Romberg(ロンベルク)試験では危険がないように、患者さんの  近くにいて見守る。□ 意識レベルの診察で疼痛刺激を与える時は、痕が残らないように注意する。(3)診察の順序□ 脳神経(坐位)‐上肢の運動系(坐位)‐起立・歩行(立位)‐下肢の運動  系(臥位)‐感覚系(臥位)‐反射(臥位)の順序で診察を進める。  (注)系統的であれば、診察の順序は上記以外でもよい。□ 意識障害、認知機能や言語(失語と構音障害の有無)、不随意運動について  は、医療面接の段階で大まかに判定しておく。□ 同様に、視覚や聴覚についても、医療面接の段階で詳細な検査が必要かどう  かを判断しておく。(4)脳神経の診察(坐位)1)視野□ 検者が見本を見せながら、片側の眼を患者さんの手で覆ってもらう。100

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