臨床実習開始前の「共用試験」第13版(平成27年)
113/168

1)項部硬直□ 首の硬さを検査することを告げ、枕を外す。□ 頭部に触ることを告げ、患者さんの後頭部を両手でかかえる。□ 検者が患者さんの頭を動かすので、自分では首を曲げたり頭を動かしたりし  ないように説明する。□ はじめに左右に回してみて力が入っていないことを確認した後、ゆっくりと  頭部を前屈させ、項部硬直の有無を判定する。(注)患者さん自身に、顎が胸につくように頭部を前屈してもらい、髄膜刺激徴   候の有無を検査する方法もある(Neck flexion test)。この方法は坐位で   も臥位でも行える。2)*Kernig(ケルニッヒ)徴候□ 足を曲げた位置から膝の裏側を伸ばす検査を行う旨を説明する。□ 検者の手でガイドしながら、患者さんの片側の股関節を90゜屈曲してもらい、  さらに膝関節も90゜屈曲してもらう。□ 膝関節近位部の大腿伸側を左手でつかみ、右手で踵を下から押し上げて膝関  節を135゜までゆっくりと伸展させていき、伸展制限の有無を判定する。□ 両側とも検査する。(13)認知機能の診察(注)病歴聴取の段階で認知機能の異常が疑われたら、 他の診察の前に下記の検   査を行う。1)見当識□ 時(年月日、曜日)を尋ねる。□ 場所を尋ねる。□ 人を尋ねる。(注)人については患者さん自身のこと(名前や生年月日)を尋ねてもよい。2)記憶□ 出身小学校、中学校などについて尋ねる(遠隔記憶)。□ 朝の食事内容、昨日の天気などについて尋ねる(近時記憶)。□ 数字の逆唱(3桁と4桁)を行ってもらう(即時記憶)。3)計算□ 100から7を順に3~5回引き算してもらう。4)*常識□ 総理大臣の名前、テレビで話題の事件など常識的な事項について尋ねる。5)*失語□ 日常的3物品(時計、めがね、財布、鍵など)を見せ呼称してもらう。□ 言語理解の検査として「右手で左の耳を触って下さい」などの命令をし、施  行してもらう(ジェスチャーを加えないこと)。□ 何か文章を言って復唱できるかを検査する。(14)意識レベルの診察111

元のページ  ../index.html#113

このブックを見る