臨床実習開始前の「共用試験」第13版(平成27年)
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Ⅷ.四肢と脊柱(1)診察時の配慮「Ⅰ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学習・評価項目」を参照。(2)医療安全□ 高齢者や動作に障害がある患者さんでは、姿勢や体位変換時の転倒に注意す  る。□ 自動運動による姿勢や可動性の診察は、事前に、ゆっくり行うこと、痛みが  生じた場合は診察者に伝えること、それ以上無理して続けないことを指示す  る。□ 他動運動による可動性の診察や疼痛誘発試験などで他動的に力を加えるとき  には、ゆっくり軽く行い、痛みが過度に誘発されないように留意する。  (注)ここで疼痛誘発試験とは、Jackson(ジャクソン)徴候、Spurling(ス  パーリング)徴候、下肢伸展挙上試験、Patrick(パトリック)試験を指す。  (3)全般的事項□ 脊柱や上肢関節の可動性は自動運動の制限の有無を観察することを主体とす  るが、下肢関節では他動運動を主体とする。□ 上肢の自動運動による可動性の診察では、診察者がお手本を示しながら患者  さんにやってもらい、可動域制限の有無を確認する。□ 他動運動による可動性の診察では、誘発される疼痛の有無を確認する。□ 四肢は、関節毎に必ず両側を診察し比較を行う。□ 四肢の関節の触診で熱感の有無を確認するときは、指腹や手掌など広い面積  で軽く触れながら周囲との温度差を感じる。□ 診察時は、事前に、観察に必要な部位のみを露出してもらう。(4)脊柱の診察1)診察部位の露出□ 背部全面を露出してもらう。2)頸椎の姿勢□ 診察者に向かって、まっすぐ座ってもらう。□ 横から見て頸椎後弯の有無を観察する。3)頸椎の可動性□ 座位で、体幹を傾けずに顎を胸につけるように首を曲げてもらい、頸椎屈曲  の可動域を観察する。□ そのまま、体幹を傾けずに天井を見るように首をそらしてもらい、頸椎伸展  の可動域を観察する。114

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