臨床実習開始前の「共用試験」第13版(平成27年)
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2)聴診□ 下顎角直下約2cmの部位で頸動脈の聴診を両側で行う。3)触診□ 一側ずつ頸動脈を甲状軟骨の高さで示指、中指(または母指)の指腹を使っ  て軽く触診をする。□ 触診は必ず聴診の後に行う。  (注)頸動脈硬化が疑われる場合には触診は行わない。(6)前胸部の視診□ 解剖学的部位を特定する。胸骨角、剣状突起。□ 皮膚所見を確認する。皮疹・着色斑・手術痕など。□ 胸郭の形状、輪郭を確認する。変形・左右差など。(7)心臓(注)心臓の診察は基本的に臥位・左側臥位で行うことが推奨されているが、状   況に応じ坐位で行う。1)視診□ 心尖拍動を確認する。□ 胸壁拍動を確認する。右室隆起による胸骨下部および傍胸骨拍動、大動脈瘤  による拍動など。(注)心尖拍動は左側臥位で確認しやすい。2)触診□ 心尖拍動の位置と広がりを第5肋間左鎖骨中線付近で指先と手掌で確認する。□ 前胸部(胸骨下部および傍胸骨)の胸壁拍動を手掌近位部で確認する。□ 振戦(スリル)の有無を手掌遠位部で心臓聴診の4領域に相当する範囲におい  て確認する。(注)心尖拍動は左側臥位で触れやすい。3)聴診□ 心尖部(第5肋間左鎖骨中線)・三尖弁領域(第4,5肋間胸骨左縁)・肺動脈  弁領域(第2肋間胸骨左縁)・大動脈弁領域(第2肋間胸骨右縁)の4領域を膜  型で聴診する。(注)4領域と表現しているが、各弁に相当するものではない。聴診は心基部から   心尖部に向かっても、心尖部から心基部に向かって聴診しても良い。なお、   聴診部位として4領域の他に第3肋間胸骨左縁Erbの領域も重要である。□ 心尖部はベル型でも聴診する。(注)臥位で診察するときは、仰臥位で4領域を聴取したあと、左側臥位で心尖部   をベル型で聴取する。4)心音□ I音とⅡ音を同定する。□ Ⅱ音の分裂を確認する。□ ベル型でⅢ音、Ⅳ音を確認する。91

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