臨床実習開始前の「共用試験」第13版(平成27年)
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  (注)腹部の視診においては、上方および側方からくまなく観察する。    形状は胸郭レベルまたは剣状突起と恥骨結合とを結ぶ仮想線を基準にす    る。(5)聴診1)聴診への導入□ 聴診器で腹部の音を聴くことを説明する。□ 聴診器が冷たくないか触って確認する。冷たいときは温める。□ 聴診器が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。2)腸蠕動音の聴診□ 腹壁に膜型聴診器を軽く当てて腸蠕動音を聴診する。□ 腸蠕動音の聴診は十分時間をかけて聴取する。(1、2か所の聴診でよい。)□ *腸蠕動音の頻度(亢進・低下・消失)や性状(金属性などの異常音の有無)  を判断する。3)腹部の血管音の聴診□ 膜型聴診器を押し当てて大動脈音を直上で聴診する。□ *膜型聴診器を押し当てて左右の腎動脈音を直上で聴診する。□ *膜型聴診器を押し当てて左右総腸骨動脈音を直上で聴診する。4)*振水音を聴診する。□ イレウスが疑われる場合には、上腹部に膜型聴診器を押し当てて腹部全体を  両手で強めに揺すって聴診する。(6)打診1)打診の基本手技□ 腹部を叩いて(打診で)診察することを説明する。□ 手が冷たくないことを確認し、必要に応じて温める。□ 手が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。□ 左(右)手を広げ、その中指の中節骨部またはDIP関節部を、曲げた右(左)  中指で手首のスナップを効かせて弾むように原則として2回ずつ叩き、打診す  る。□ 痛みがあるとわかっている場合は、痛い部位の打診を最後に行う。2)腹部全体の打診□ 腹部の9領域(左上・中・下、中央上・中・下、右上・中・下)を打診する。□ 打診しながら口頭あるいは顔の表情で痛みを確認する。□ 打診音の異常の有無を確認する。3)肝臓の打診□ 肝臓の上界(肺肝境界)を、右鎖骨中線で、頭側からの打診で判断する。□ 肝臓の下界を、右鎖骨中線で、尾側からの打診で判断する。4)脾臓の打診□ Traube(トラウベ)三角(第6肋骨、肋骨下縁、前腋窩線で囲まれた範囲)  に濁音界がない(鼓音である)かどうかを判断する。95

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