臨床実習開始前の「共用試験」第14版(平成28年)
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□ 末梢循環の観察には、顔面や手の視診と触診で皮膚の①蒼白、②冷感、③湿  潤の有無を確認する。  (注)*毛細血管再充満時間で評価することもある。□ 橈骨動脈の脈拍を観察し、脈拍の有無や強弱、速いか遅いかを確認する。  (例)「脈は弱くて速い」「強くて遅い」など。□ 明らかな外出血がないか全身を観察する。外出血があれば標準予防策(Stan  dard Precautions)に配慮しつつ直接圧迫止血する。6)意識レベルを評価し、重要な神経学的所見を観察する(「Ⅶ.神経、(14)意識レベルの診察」を参照)□ 患者さんに声をかけながら、声かけに答えるか、指示に従い顔面や手足を動  かせるかどうかを観察する。□ 声かけに反応しない場合は、痛み刺激に対する反応を観察する。患者さんへ  の配慮として、痛み刺激は声をかけてから加える。□ 深昏睡をJapan Coma Scale〈JCS〉、かつGlasgow Coma Scale〈GCS〉で評価  する。□ *話し方の異常、顔面麻痺、上下肢麻痺の有無と左右差、瞳孔の大きさと対  光反射を評価する。7)気道を維持する□ 意識障害があり、気道確保が必要で、呼吸と循環が安定していれば、頭部後  屈あご先挙上法、下顎挙上法、回復体位などの方法で気道の維持を継続して  行う。(注)回復体位を実施する場合は、頭部や頸部に無理な力がかかっていないかど   うかを確認しながら安定した側臥位にし、頭部を後屈させる。□ 気道が維持され、呼吸と循環が安定しているかどうか経時的に確認する。□ *頸椎頸髄損傷が疑われる場合は、体位変換せず下顎挙上法のみを行う。8)バッグ・バルブ・マスクを用いて人工呼吸を行う(後述)9)容態変化時の対応□ 容態が大きく変化した場合は、気道、呼吸、循環、意識レベルを再評価する。10)体温維持に留意する□ 体温低下の可能性があれば毛布などによる保温に努める。高体温の疑いがあ  れば冷却をはかる。11)医療者に申し送る□ 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。  (キーワードの例)「意識レベル」「呼吸循環」「回復体位」(7)気道異物による窒息への初期対応(注)ここでは窒息したところを目撃された成人患者への対応を扱っている。1)窒息の認知□ 苦しそう、顔色が悪い、声が出せない、息ができないなどがあれば、窒息を  疑う。□ 「ものが詰まりましたか」などと声をかけ、身振り手振りや声が出せないこ118118

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