臨床実習開始前の「共用試験」第14版(平成28年)
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  となどで窒息していることを確認する。2)応援や資器材を依頼する□ 窒息の疑いがあれば、助けを求める。  (注)病室ではナースコールを使ってもよい。3)腹部突き上げ法を実施する□ 患者さんへの配慮として、「後ろからお腹を押します」など声をかけてから  処置を行う。□ 患者さんの背後から両手を腹部にまわし、臍の頭側に片手の拳を当て他の手  で拳を覆い横隔膜の方向にすばやく突き上げる。剣状突起を圧迫しないよう  に注意する。  (妊婦や肥満者には、腹部突き上げ法ではなく胸部突き上げ法・背部叩打法  を行う)4)背部叩打法を実施する□ 患者さんへの配慮として、「背中を叩きます」など声をかけてから処置を行  う。□ 手掌基部で患者さんの肩甲骨の間を力強く連続して叩く。5)意識消失への対応□ 患者さんの反応がなくなったら、応援や資機材の依頼を行い、人工呼吸から  心肺蘇生法を開始する。この際、呼吸と脈拍の確認は行わない。気道確保の  度に口腔内をのぞき込み、異物があれば除去する。盲目的指拭法は行わない。  窒息による意識消失であれば脈拍を触知していても胸骨圧迫を行う。6)医療者に申し送る□ 到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。  (キーワードの例)「窒息」「腹部突き上げ法」「背部叩打法」(8)バッグ・バルブ・マスクを用いた人工呼吸法(注)心肺蘇生法を救助者1名のみで行う場合は、バッグ・バルブ・マスクの使   用は推奨されない。(注)院内においては、複数の救助者で心肺蘇生を行う場合は感染防御等の観点   から、バッグ・バルブ・マスクの使用が推奨される。1)バッグ・バルブ・マスクを片手で保持して人工呼吸を行う方法□ 患者の鼻と口を覆うように、適切な位置にマスクを置く。□ 頭部後屈あご先挙上、もしくは下顎挙上法で気道を確保する。□ 中指、環指、小指を患者の下顎にかけて下顎を引き上げつつ、母指と示指で  マスクを保持し、患者の鼻と口を覆う(EC法)。□ 胸部の動きを見ながら1回に1秒かけて、胸が上がる程度の量を送気する。□ 胸部の動きがない場合は、気道を確保し直して換気を行う。□ 患者に呼吸は無いが脈拍を認める場合は、1分間に10回程度の回数で換気を行  う。2)バッグ・バルブ・マスクを両手で保持して人工呼吸を行う方法□ 熟練した救助者が複数いる場合は、2人法でバッグ・バルブ・マスクを用いる。119119

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