臨床実習開始前の「共用試験」第14版(平成28年)
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□ 示指、中指の指先(やや母指側)または肋骨弓に平行に置いた示指の母指側  の側面で触れる。□ 手を置く部位を少しずつ頭側へ近づけながら触診を繰り返す。5)脾臓の触診□ 胸郭/肋骨籠(rib cage)を後ろから支える様に左(右)手を背部に当てる。  患者さんに右側臥位になってもらってもよい。□ 右(左)手を左肋骨弓の尾側に置く。□ 患者さんに腹式呼吸をしてもらい、呼気時に右(左)手の指を深く入れる。□ 次の吸気時に、腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにし  て脾臓を触診する。6)*腎臓の触診□ 左(右)手を背部の第12肋骨の尾側に平行に置き、指先が肋骨脊柱角(CVA)  に届くようにする。□ 右腎を腹側(上方)に持ち上げるようにする。□ 右(左)手を上腹部、腹直筋の外側に平行になるように置く。□ 患者さんに腹式呼吸をしてもらう。□ 最吸気時に腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにする。□ 次の呼気時に、腎臓を両手で捕獲する気持ちで腎下極を挟み込むように触診  する。(腎臓は上方に滑る。)□ 右腎と同様に左腎を触診する。(可能であれば患者さんの左側に移動する。)(9)病態に応じた精密診察法1)*腹水の評価□ 看護師または患者さん自身の手の側面を腹部正中線上に縦に立ててもらい、  側腹部を手指で軽く叩いて衝撃を加え、対側の側腹部に置いた別の手に波動  を感じとる。□ shifting dullnessによって腹水の有無を判断する。 ➢仰臥位で、打診音が変化する部をマークする。続いて、側臥位に移行してもら  い、打診音が変化する部(濁音界)をマークし比較する。2)痛みがある部位の触診□ 痛みがあるとわかっている場合は、その部位の触診は最後にする。□ 触診しながら口頭あるいは顔の表情で痛みを確認する。□ 苦痛に配慮して静かに、ソフトに触診する。□ *1本の指の末節掌側を使って、限局した圧痛点を探り、確認する。(最強点  以外にも数か所で確認)□ *虫垂炎が疑われる場合、McBurney(マクバーニー)の圧痛点を同定し、Ro  vsing(ロヴジング)徴候(左下腹部を押さえたときの右下腹部痛)の有無を  確認する。□ *急性胆嚢炎が疑われる場合、Murphy(マーフィー)徴候(右肋弓下の圧痛  による吸気の途絶)を確認する。3)*腹膜刺激徴候の評価8282

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