臨床実習開始前の「共用試験」第14版(平成28年)
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□ 触診の前に患者さんに咳をしてもらい、痛みが誘発されるか確認する。(咳 嗽試験)□ 咳嗽試験や圧痛点ではっきりしない場合、数本の指の末節掌側で圧痛の有無 を確認し、ゆっくり押し付けて(2~3秒くらいのイメージ)、急に手を離し て圧を抜く(0.5秒くらいのイメージ)。押し付けた痛みと手を離した瞬間の 痛みを比較して質問し、痛みの増強の有無を確認する。 (反跳痛;Rebound tenderness)□ 患者さんにベッドを降りてもらい、つま先立ちから急に踵をおろした際に腹 部に響くかを確認する。(踵落し衝撃試験) 参考資料:「マクギーの身体診断学-エビデンスにもとづくグローバル・スタンダード原 著第2版」(診断と治療社、2009年)より引用 急性の腹痛、腹膜炎を検出する諸徴候 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 尤度比(LR) ―――――――――― 所見 感度(%) 特異度(%) 所見あり 所見なし ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 腹部の診察 筋性防御 13~76 56~ 97 2.6 0.6 筋強直 6~40 86~100 3.9 NS 反跳性圧痛 40~95 20~ 89 2.1 0.5 打診による圧痛 65 73 NS 0.5 異常な蠕動音 25~61 44~ 95 NS 0.8 直腸指診 直腸の圧痛 20~61 44~ 95 NS NS そのほかのテスト 腹壁圧痛テスト陽性 1~ 5 32~ 72 0.1 NS 咳嗽テスト陽性 73~84 44~ 79 1.8 0.4 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― NS = 有意差なし、所見ありの場合のLR = 陽性LR、所見なしの場合のLR = 陰性LR4)*腹部腫瘤の触診□ 浅い触診と深い触診とにより、腫瘤の有無を判断する。□ 腫瘤がある場合、L~Tを観察して表現する。 L:Location 位置 M:Mobility 可動性 N:Nodularity 表面の性状 O:relationship to Other organs 他臓器との関係 P:Pulsatility 拍動の有無 Q:Quality 硬さ R:Respiratory mobility 呼吸性移動の有無 S:Size & Shape 大きさと形 T:Tenderness 圧痛の有無5)*直腸診8383
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