臨床実習開始前の「共用試験」第14版(平成28年)
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(7)起立と歩行の診察(立位)1)通常歩行□ 診察室内の空いた場所を示し、坐位から立ち上がって普段どおりに歩いても  らう。□ 姿勢、上肢の振り、足の運び、方向転換時の動きなどに注目し、歩行の異常  の有無を観察する。片麻痺歩行、Parkinson(パーキンソン) 歩行、失調性  歩行、動揺歩行、鶏歩(鶏状歩行)など。2)つぎ足歩行□ 検者が、足の先と踵が交互につくようにしながら、 一直線上を歩く動作を見  本として示し、そのように歩いてもらう。□ 歩行の異常(ふらつき、よろめきなど)の有無を観察する。□ 危険のないよう、患者さんの近くにいて見守る。(注)踵(かかと)歩行、つま先歩行、しゃがみ立ちは下肢筋力のスクリーニン   グに役立つ。3)Romberg(ロンベルク) 試験□ 検者が、踵とつま先をそろえて立つ姿勢を見本として示し、そのように立っ  てもらう。□ 開眼のままで、体が動揺しないか、しばらく観察する。□ そばにいて支えるので、体がふらついても心配がないことを説明した上で、  患者さんに眼を閉じてもらう。□ 閉眼による体の大きな動揺がないかしばらく観察して、Romberg(ロンベルク)   徴候の有無を判定する。□ 危険のないよう、患者さんのそばにいて見守る(いつでも抱えられる体勢)。(8)下肢の運動系の診察(臥位)1)体位や衣服の準備□ 臥位での診察を行うことを説明する。□ 靴下を脱いで、診察ベッドに寝てもらう。2)*Barré (バレー)徴候(下肢)□ 腹臥位で行う。□ 検者の手を添えて、良い肢位をガイドしながら、両膝関節を 90°に曲げても  らう。□ そのまま両足が接しないように膝を曲げた状態を維持してもらう。□ 下肢の下降の有無を判定する。(注)下腿を水平から45°挙上し、保持してもらってもよい。3)踵膝試験□ 手で患者さんの下肢を持ち、次のようにガイドする。足関節を少し背屈した  状態で、踵を適度な高さから反対側の膝に正確にのせて、すねに沿って足首  までまっすぐ踵をすべらせる。□ 患者さんが理解したところで、実際にこの動作を2、3回行ってもらい、運動  の円滑さ、足のゆれや測定異常の有無などを観察する。9191

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