臨床実習開始前の「共用試験」16版(平成30年)
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─ 98 ─□ 時(年月日、曜日)を尋ねる。□ 場所を尋ねる。□ 人を尋ねる。(注)人については患者さん自身のこと(名前や生年月日)を尋ねてもよい。□ 出身小学校、中学校などについて尋ねる(遠隔記憶)。□ 朝の食事内容、昨日の天気などについて尋ねる(近時記憶)。□ 数字の逆唱(3桁と4桁)を行ってもらう(即時記憶)。□ 100から7を順に3~5回引き算してもらう。□ 総理大臣の名前、テレビで話題の事件など常識的な事項について尋ねる。□ 日常的3物品(時計、めがね、財布、鍵など)を見せ呼称してもらう。□ 言語理解の検査として「右手で左の耳を触って下さい」などの命令をし、施  行してもらう(ジェスチャーを加えないこと)。□ 何か文章を言って復唱できるかを検査する。の(注)救急患者の意識障害を診察する場合には、「Ⅹ.救急、(6)意識障害患者へ   の初期対応」を優先し、気道、呼吸および循環が安定していることを確認   した後に意識レベルを診察する。□ 開眼しているかどうか観察する。□ 開眼している場合、時、場所、人を尋ね、発語の内容や話し方を観察して、  見当識(障害)の有無と、言葉による応答(会話の混乱、不適切な言葉、理  解不能の応答、発語の有無)を評価する。□ 握手、離握手などの口頭指示に対する運動の応答を確認する。□ *見当識障害がある時、名前や生年月日を尋ねる。□ *普通に呼びかけて開眼した時、見当識を検査し、言葉による応答と運動の  応答を観察する。□ *普通に呼びかけても開眼しない時、大きな声をかけたり体を揺さぶったり  して開眼するかどうかを観察する(頸椎頸髄損傷が疑われる場合は肩を軽く  叩く。「Ⅹ.救急、(5)意識障害患者への初期対応」を参照)。□ *大声や体の揺さぶりでようやく開眼した時、言葉による応答と運動の応答  を観察する。□ *大声や体の揺さぶりでも開眼しない時、痛み刺激を加えながら呼びかけを  繰り返し、開眼するかどうかを観察する。□ *痛み刺激は、胸骨、左右の眼窩上切痕(眼窩上孔)、左右の手指あるいは  足趾の爪床などを圧迫する方法で行う。  (注)有効な痛み刺激の与え方(痕が残らないように注意する。)  1)握り拳を作り、中指のPIP関節で胸骨の前面を強く圧迫する。  2)母指先で、両側の眼窩上切痕(眼窩上孔)部を強く圧迫する。98

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