臨床実習開始前の「共用試験」16版(平成30年)
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─ 117 ─   頸動脈拍動は、気道確保を行ったまま、顎(あご)先を挙上していた指2、   3本を甲状軟骨の高さで手前にずらし、甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間に軽く押   し当てて確認する。確実な頸動脈拍動を触れなければ心肺停止状態と判断   する。   確認は10秒以内として次の手順に進む。□ 心肺停止状態と判断したら、直ちに胸骨圧迫を開始する。□ 胸骨を圧迫する手の位置は、胸骨の尾側1/2である。胸の真ん中に手掌基部を  置く。決して肋骨や剣状突起を圧迫しないように注意する。□ 胸骨に置いた手に他方の手を合わせ、肘を伸ばし垂直に圧迫する。□ 圧迫の深さは約5cm(6cmを超えない)まで強く圧迫する。□ 胸壁が完全に元の位置に戻るように圧迫を解除する。□ 圧迫の速さは1分間に100~120回とする。人□ 感染防護具またはバッグ・バルブ・マスクを使用する。  (注)感染防護具もバッグ・バルブ・マスクもない場合は、それらが到着す  るまで胸骨圧迫のみを継続する。  (注)バッグ・バルブ・マスクの詳しい使用法は後述する。□ マスクタイプの感染防御具の場合は、マスクを口と鼻を覆うように密着させ、  気道確保を維持する。院内においては、感染防御等の観点から、バッグ・バ  ルブ・マスクの使用を推奨する。□ 胸部の動きを見ながら1回に1秒かけて、胸が上がる程度の量を2回吹き込む。□ 胸部の動きがない場合は、気道を確保し直し人工呼吸する。□ 呼吸がなく頸動脈拍動を触知する場合は、人工呼吸を続ける。人工呼吸のみ  続ける場合は、1分間に10回程度の回数で行う。人と人□ 胸骨圧迫30回と人工呼吸2回の組み合わせで繰り返す。  (注)回数が多少異なっても30:2を意識していればよい。□ 胸骨圧迫中断の時間は最小限(10秒以内)になるよう努力する。□ AED装着、医師・看護師に引き継ぐまで、あるいは患者さんが動き出すまで、  30:2の組み合わせを繰り返す。(□ 最初に、電源を入れ音声指示に従う。  (注)パッドを取り出したり蓋を開けたりすると電源が入る機種もある。□ 電極パッドを患者さんの右上前胸部(鎖骨下)と左下側胸部(左乳頭外側下  方)に貼る。(注)電極パッドを貼る部位に経皮的薬剤があれば除去し、胸部が濡れていたら   拭き取り、植込み型のペースメーカーや除細動器があれば膨らみを避けて   電極パッドを貼る。胸毛により電極パッドが密着しない場合は除毛する。   なおこの間も胸骨圧迫の中断は最小限になるよう努力する。□ AEDによる解析の際や放電の際には、全員に患者さんから離れるように指示し、  周囲を見て確認し安全を確保する。□ 解析や放電の後、医師・看護師に指示されるまで電極パッドは剥がさず、電  源は入れたままにしておく。放電後は直ちに胸骨圧迫を開始する。117

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