臨床実習開始前の「共用試験」16版(平成30年)
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─ 77 ─(注)診察の順序は、患者さんの病態に応じて変える必要がある。「医療にする医□ 高齢者や動作に障害がある患者さんでは、体位変換時の転倒予防に注意する。□ 激しく咳をしている患者さんを診察する場合は、互いにマスクを着用し感染  防御に注意する。□ 頸動脈の診察では、聴診であらかじめ血管雑音のないことを確認した上で触  診を行う。□ 痛みのある領域の打診や叩打診は苦痛を与えないように実施する。□ 聴診器のイヤピースを外耳道の方向にあわせて装着し、チェストピースを適  切に把持する。□ 目的に応じて、膜型、ベル型を使い分ける。(注)ベル型は低音域、Ⅲ音、Ⅳ音の聴診に使う。   ベル型では胸壁をかろうじて覆う程度に軽く圧着させ、   膜型では胸壁にしっかり押しつけて聴診する。□ 頸部を含む胸部全体を診察できるように準備する。患者さんの羞恥心に配慮  してバスタオルや診察用ガウンを適宜使用する。□ 外頸静脈を観察する。(注)正常では仰臥位で輪郭を認める。坐位では認めないことが多いが、息こら   えをすれば怒張し、確認できる。□ *右内頸静脈の拍動を仰臥位で観察する。(注)正常では仰臥位で拍動が周囲の筋肉・皮膚に伝搬しているのを確認できる。   頸静脈は陰性波の拍動がより明瞭だが、頸動脈は陽性波の拍動が中心に観   察される。□ *坐位や半坐位で内頸静脈拍動を観察する。(注)頸静脈の観察により右房圧の推定ができ、右心系疾患や呼吸器疾患などの   診断の補助となる。正常では坐位では拍動を認めない。□ 下顎角直下約2cmの部位で頸動脈の聴診を両側で行う。77

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