臨床実習開始前の「共用試験」17版
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─ 99 ─-99-⑤自らが行った治療について正しく自己評価する⑥処置中,後片付け時に医療安全・感染対策に配慮する担当医の一人として治療を行う学生のパフォーマンスを,上記項目(6つの項目に属する3つの小項目をそれぞれに設定)に関する全国共通のチェックリスト・評価基準を用いて「十分」「許容範囲」「不十分」の三段階で評価し,臨床実習期間内に「不十分」が一つもなくなることを合格条件とします。他に,評価項目と評価基準はすべて学生に開示すること,臨床実習期間の1/4経過後に学生が自ら申告して個別に実施すること,受験回数に制限を設けないこと,受験した試験の合否に関わらず,評価担当教員がフィードバックを行うこと等の特徴があります。2.一斉技能試験複数の疾患を再現した統合型共通模型に対して行った①~④の結果を評価することによって,診療参加型臨床実習を通じて基本的な歯科治療に関する技能を身につけていることを確認します。①手用スケーラーを用いた歯石除去②レジン充填を想定したう蝕除去③抜髄後の根管形成④全部金属冠を想定した支台歯形成学生は決められた時間の中で模型を装着したマネキンを仮想患者として治療を行います。学生が行った治療の結果は,それぞれに設けた3~5の評価項目(合計15)について臨床実習終了時の技能レベルとして「2=十分」「1=許容される」「0=不十分」の三段階で統一評価基準に基づき評価されます。①~④の評価項目には1つずつ重要評価項目(合計4)が設定されており,全評価項目中および重要評価項目中に占める「0」判定の割合を勘案して合否決定を行うこととしています。2019年度トライアルでは,各大学がそれぞれの教育内容に合わせて設定した合否基準を機構委員会で検討・承認した後,適用することにしています。歯学系診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験は2020年度からの正式実施を目指して2017年度からトライアルを開始しており,2019年度までに臨床実地試験,一斉技能試験の各トライアルを臨床実習履修中のすべての学生に対して各1回以上実施することを正式実施への移行要件としています。現在までのところ,29歯科大学・歯学部のすべてにおいて正式実施への移行要件が満たされる予定で進んでおり,2つの試験をパッケージ実施する大学の数は2017年度=5,2018年度=11,2019年度=23のように倍増しています。一方,評価の標準化や公正化を図るために,評価者の養成が急務となっており,2018年度から評価者養成ワークショップを企画・開催し始めました。すでにこれまでのトライアルにご協力くださった大学のご意見を基にいくつかの変更を加えておりますが,正式実施以降もさらなる実質化を目指して段階的に改善を続けて,質の向上を目指します。

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