臨床実習開始前の「共用試験」17版
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─ 97 ─-97-Ⅵ.臨床実習後OSCE等について(予告)今,行なっている共用試験OSCEは,医学部・歯学部の学生を対象とした「診療参加型臨床実習をさせてよいと判断できる態度や技能が修得できているか」を,標準化された課題を用いて測定しようとする「臨床実習前OSCE」です。これは開始後十数年が経ち,各医学部・歯学部に定着しました。そこで当機構では,次の段階として診療参加型臨床実習を行った医学部・歯学部の学生が「医学部・歯学部を卒業させてよいと判断できる態度や技能を修得できているか」,すなわち卒業後「臨床研修をスムースに開始できる臨床能力を修得しているか」を測定するための「診療参加型臨床実習後OSCE」の実施に向けて準備を進めています。この「診療参加型臨床実習後OSCE」は,各医学部・歯学部における卒業判定の資料として活用されることになるでしょう。これは各大学の卒業試験と相俟って,医師・歯科医師を育成する大学が,責任を持って社会に医師・歯科医師を送り出そうという考えに基づいています。以下に現在,当機構が計画中の「診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験」について,医学系と歯学系を分けて示します。○医学系で計画中の「診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験」の概要(2019年4月現在)1.医学生が診療参加型臨床実習で,十分な臨床能力を修得できているかを測定するためのOSCEです。2.その構成は,当機構で作成した3つの課題(以下,「機構課題」という)に加えて,各大学の特徴を生かして独自に作成した3課題~1課題からなっています。以下は,機構の課題について説明します。3.機構課題は,外来や病棟で,「ある症候」を有する患者さんに,6年次の学生が遭遇した場面を想定しています。6年次といっても,4月になれば臨床研修医になるのですから,言葉を換えれば,臨床研修開始までに修得しておくべき能力が測定されるのです。4.「ある症候」とは,「医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)」の「G臨床実習」の「G-2臨床推論」の項に記載されている37の症候や病態のうち,ショックと心停止を除く35項目で,それらを題材にした課題がつくられています。5.1課題の実施時間は,16分間です。まず,医療面接や身体診察を12分間程度で実施し,そこで得られた情報から,病態を考え,鑑別診断を想起して,検査・治療計画を指導医に報告するという,いわば日常臨床に則したOSCEです。6.評価をするのは,実施大学の教員と他大学の教員に加え,このOSCEでは,臨床研修病院の指導医も評価者として試験室に入り,定められた評価表に記入します。

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