共用試験ガイドブック第18版
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教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構(13)認知機能の診察(注)医療面接の段階で認知機能の異常が疑われたら、 他の診察の前に下記の検   査を行う。1)見当識□ 時(年月日、曜日)を尋ねる。□ 場所を尋ねる。□ 人を尋ねる。(注)人については患者さん自身のこと(名前や生年月日)を尋ねてもよい。2)記憶□ 出身小学校、中学校などについて尋ねる(遠隔記憶)。□ 朝の食事内容、昨日の天気などについて尋ねる(近時記憶)。□ 数字の逆唱(3桁と4桁)を行ってもらう(即時記憶)。3)計算□ 100から7を順に3~5回引き算してもらう。4)*常識□ 総理大臣の名前、テレビで話題の事件など常識的な事項について尋ねる。5)*失語□ 日常的3物品(時計、めがね、財布、鍵など)を見せ呼称してもらう。□ 言語理解の検査として「右手で左の耳を触って下さい」などの命令をし、施  行してもらう(ジェスチャーを加えないこと)。□ 何か文章を言って復唱できるかを検査する。(14)意識レベルの診察(救急を除く)   対応」を優先し、気道、呼吸および循環が安定していることを確認した後   に意識レベルを診察する。□ 開眼しているかどうか観察する。□ 開眼している場合、時、場所、人を尋ね、発語の内容や話し方を観察して、  見当識(障害)の有無と、言葉による応答(会話の混乱、不適切な言葉、理  解不能の応答、発語の有無)を評価する。□ 離握手などの口頭指示に対する運動の応答を確認する。□ *見当識障害がある時、名前や生年月日を尋ねる。□ *普通に呼びかけて開眼した時、見当識を検査し、言葉による応答と運動の  応答を観察する。□ *普通に呼びかけても開眼しない時、大きな声をかけたり体を揺さぶったり  して開眼するかどうかを観察する(頸椎頸髄損傷が疑われる場合は肩を軽く□ *大声や体の揺さぶりでようやく開眼した時、言葉による応答と運動の応答  を観察する。□ *大声や体の揺さぶりでも開眼しない時、痛み刺激を加えながら呼びかけを  繰り返し、開眼するかどうかを観察する。患者さんへの配慮として、痛み刺  激は声をかけてから加える。□ *痛み刺激は、胸骨、左右の眼窩上切痕(眼窩上孔)、左右の手指あるいは  足趾の爪床などを圧迫する方法で行う。  (注)有効な痛み刺激の与え方(圧迫痕が残らない程度の強さにとどめる。)  1)握り拳を作り、中指のPIP関節で胸骨の前面を強く圧迫する。  2)母指先で、両側の眼窩上切痕(眼窩上孔)部を強く圧迫する。  3)ハンマーの柄などを用いて、左右の手指または足趾の爪床を鈍的に強く圧  迫する。□ *痛み刺激と呼びかけの繰り返しで辛うじて開眼した時、言葉による応答と  運動の応答を観察する。□ *痛み刺激を加えても開眼しない時、痛みに対する反応(払いのけるような  動作、しかめ顔、屈曲逃避、異常屈曲反応、伸展反応[除脳姿勢]、無反応)  を観察する。□ *意識レベルをJapan Coma Scale (表1)、およびGlasgow Coma Scale   (表2)で評価する。45/8498989898

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