共用試験ガイドブック第18版
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教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構3)頸椎の可動域□事前に、ゆっくり行うこと、痛みが生じた場合は診察者に伝えること、それ以上無理して続けないことを指示する。□ゆっくり行い、痛みが出ないように留意する。□体幹を傾けずに顎を胸につけるように首を曲げてもらい、頸椎屈曲の可動域を観察する。□そのまま、体幹を傾けずに天井を見るように首をそらしてもらい、頸椎伸展の可動域を観察する。4)*Jackson徴候□体幹を傾けずに天井を見るように首をそらしてもらい、頭頂部と前額の境に診察者の手を置いて、上から下に軽く押す。どちらかの(あるいは両側の)上肢に放散するしびれあるいは痛みが出るかを尋ねる。5)*Spurling徴候□体幹を傾けずに首を斜め後ろにそらしてもらい、前頭部に診察者の手を置いて、上から下に軽く押す。同側で肩甲部あるいは上肢に放散するしびれあるいは痛みが出るかを尋ねる。両側で行う。6)胸腰椎の姿勢□脱衣を指示し、背部全面を露出してもらう。□診察者に背を向けて、まっすぐ立ってもらう。後ろから見て両肩の高さが水平であるかを観察し脊柱側弯の有無を評価する。□そのまま、横から見て体幹が前方に曲がっていないかを観察し、脊柱の過度の後弯の有無を評価する。□両手が膝につく程度に前に曲げてもらう。後ろから見て肩甲骨や胸郭の膨らみの左右差がないかを観察し、胸郭変形の有無を評価する。7)胸腰椎の可動域□事前に、ゆっくり行うこと、痛みが生じた場合は診察者に伝えること、それ以上無理して続けないことを指示する。□ゆっくり行い、痛みが出ないよう留意する。□高齢者や動作に障害がある患者さんでは、姿勢や体位変換時の転倒に注意する。(いつでも抱えられる体勢)□腕を前に下ろし床に指先をつけるよう、できるだけ体を前に曲げてもらい、胸腰椎屈曲の可動域を観察する。(注)通常の可動域は、中指の指尖が膝関節より下に位置する程度である。□直立位までもどり、体を後ろにそらしてもらい、胸腰椎伸展の可動域を観察する。(注)全く伸展しない場合は可動域制限があると判断する。8)下肢伸展挙上試験□仰臥位で、片方の踵もしくはアキレス腱部の下に手を入れる。力を入れないようにしてもらい、下肢を伸ばしたまま上にゆっくり持ち上げる。同側の下肢に放散するしびれあるいは痛みが出るかを尋ねる。症状が出た角度で止め、その角度を観察する。(注)挙上角度70°以上で疼痛が誘発されない場合が正常である。9)*脊椎の圧痛・叩打痛□座位で、体を軽く前屈してもらい、頸椎部から腰椎部までの棘突起および傍脊柱筋を軽く押して痛みが出るかを尋ねる。□座位で、体を軽く前屈してもらい、胸椎部から腰椎部までの棘突起を握った拳で軽く叩き、痛みが出るかを尋ねる。10)*腰部および骨盤部の視診□側臥位もしくは腹臥位で、腰臀部を露出し、皮膚所見を確認する。発赤・腫脹・褥瘡・皮疹・着色斑など。学生が臨床実習中に学修し卒業時には身につけておくべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよいと判断した項目には*を付記した。ただし卒業時に身につけておくべき技能と態度のすべてを網羅しているわけではない。 51/84104104104104

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