共用試験ガイドブック第18版
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教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構(注1)学修項目は院内で倒れた患者さんへの対応として設定されている。(注2)学修および評価は、模擬患者、マネキン人形、訓練用AEDなどを用いて行  う。(注3)心肺蘇生法、痛み刺激、腹部突き上げ法などでは、模擬患者を傷付けない  ように注意すること。(1)医療安全□周囲を見渡し安全であること(車、鋭利なもの、体液などの危険や汚染がないこと)を口に出して確認する。□患者さんに反応がなければ、助けを求める。□標準予防策(standard precautions)に配慮する。手袋、マスクなど。□*(気道の確保では)頸椎頸髄損傷が疑われる場合は下顎挙上法を行う。□AEDによる解析の際や放電の際には、全員に患者さんから離れるように指示し、周囲を見て確認し安全を確保する。□明らかな外出血がないか全身を観察する。外出血があれば標準予防策(standard precautions)に配慮しつつ直接圧迫止血する。(2)成人への心肺蘇生法(注)ここでは心停止で倒れたところを目撃された成人への対応を扱っている。1)安全を確認する□周囲を見渡し安全であること(車、鋭利なもの、体液などの危険や汚染がないこと)を口に出して確認する。□標準予防策(standard precautions)に配慮する。手袋、マスクなど。2)反応を確認する□患者さんに大きな声をかけながら、肩を軽く叩いて反応を確認する。3)応援や資器材を依頼する□患者さんに反応がなければ、助けを求める。(注)病室ではナースコールを使ってもよい。□助けの人に①応援の人(医師・看護師・院内救急コール)、②AEDまたは除細動器、③救急カートなどを依頼する。4)気道を確保し、呼吸と脈拍を確認する□*頸椎頸髄損傷が疑われる場合は下顎挙上法を行う。□頭部後屈あご先挙上を行い、軟部組織を圧迫しないように気道を確保する。□気道確保された患者さんの、①呼吸の観察、②頸動脈拍動の有無の確認を行い、10秒以内に心停止状態かどうかを判断する。(注)死戦期呼吸は十分な呼吸ではないとみなす。   呼吸の観察は、気道を確保したままで、胸と腹部の動きを見て、呼吸の有   無を評価する。   頸動脈拍動は、気道確保を行ったまま、あご先を挙上していた指2、3本を甲状軟骨の高さで手前にずらし、甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間に軽く押し当   てて確認する。確実な頸動脈拍動を触れなければ心停止状態と判断する。   確認は10秒以内として次の手順に進む。5)胸骨圧迫を開始する□心停止状態と判断したら、直ちに胸骨圧迫を開始する。□胸骨を圧迫する手の位置は、胸骨の尾側1/2である。胸の真ん中に手掌基部を置く。決して肋骨や剣状突起を圧迫しないように注意する。□胸骨に置いた手に他方の手を合わせ、肘を伸ばし垂直に圧迫する。□圧迫の深さは約5cm(6cmを超えない)まで強く圧迫する。□胸壁が完全に元の位置に戻るように圧迫を解除する。□圧迫の速さは1分間に100~120回とする。6)人工呼吸を行う□マスクタイプの感染防護具またはバッグ・バルブ・マスクを使用する。(注)マスクタイプの感染防護具もバッグ・バルブ・マスクもない場合は、それらが到着するまで胸骨圧迫のみを継続する。(注)バッグ・バルブ・マスクの詳しい使用法は後述する。61/84114114114114

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