共用試験ガイドブック第18版
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教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構□乳児の場合も、心停止状態と判断したら、直ちに胸骨圧迫を開始するが、心停止の原因は呼吸原性のことが多いので、人工呼吸の準備が整い次第、人工呼吸を行う。□脈拍60/分以下の徐脈で、かつ、末梢循環障害があれば胸骨圧迫を行う。□救助者が1人の場合、胸骨圧迫は2本指圧迫法で行い、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は30:2とする。□医療従事者が2人以上いる場合、胸骨圧迫は胸郭包み込み両母指圧迫法で行い、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は15:2とする。□胸骨圧迫は、小児同様に圧迫の深さは胸の厚さの1/3程度として強く圧迫する。□AEDを使用する際、乳児では小児用電極パッドを使用する。小児用電極パッドが無ければ成人用電極パッドで代用するが、パッド同士が接触しないように適切な位置に貼る。(5)成人・小児・乳児の心肺蘇生法(感染防護具がない場合)マスクタイプの感染防護具もバッグ・バルブ・マスクもない場合は、それらが到着するまで胸骨圧迫のみを継続する。(6)意識障害への初期対応1)安全を確認する□周囲を見渡し安全であることを口に出して確認する。(例)車、鋭利なもの、体液などの危険や汚染がないことなど。□標準予防策(standard precautions)に配慮する。(手袋、マスクなど)2)反応を確認する□患者さんに大きな声をかけながら、肩を軽く叩いて反応を確認する。3)応援や資器材を依頼する□患者さんに反応がなければ、助けを求める。(注)病室ではナースコールを使ってもよい。□助けの人に①応援の人(医師・看護師・院内救急コール)、②AEDまたは除細動器、③救急カートなどを依頼する。4)気道を確保し、呼吸と脈拍を確認する□*頸椎頸髄損傷が疑われる場合は下顎挙上法を行う。□頭部後屈あご先挙上を行い、軟部組織を圧迫しないように気道を確保する。□気道確保された患者さんの、①呼吸の観察、②頸動脈の拍動の有無の確認を行い、10秒以内で心停止状態かどうかを判断する。(注)死戦期呼吸は十分な呼吸ではないとみなす。   頸動脈拍動は、気道確保を行ったまま、あご先を挙上していた指2、3本を甲状軟骨の高さで手前にずらし、甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間に軽く押し当   てて確認する。確実な頸動脈の拍動を触れなければ心停止状態と判断する。   確認は10秒以内として次の手順に進む。 5)末梢循環を観察する□十分な自発呼吸があれば、末梢循環や意識レベルを観察する。□末梢循環の観察には、顔面や手の視診と触診で皮膚の①蒼白、②冷感、③湿潤の有無を確認する。(注)*毛細血管再充満時間で評価することもある。□橈骨動脈の脈拍を観察し、脈拍の有無や強弱、速いか遅いかを確認する。(例)「脈は弱くて速い」「強くて遅い」など。□明らかな外出血がないか全身を観察する。外出血があれば標準予防策(standard precautions)に配慮しつつ直接圧迫止血する。6)意識レベルを評価し、重要な神経学的所見を観察する(「Ⅷ.神経、(14)意識レベルの診察」も参照)□患者さんに声をかけながら、声かけに答えるか、指示に従い顔面や手足を動かせるかどうかを観察する。63/84116116116116

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