共用試験ガイドブック第18版
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117教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構□声かけに反応しない場合は、刺激に対する反応を観察する。患者さんへの配慮として、痛み刺激は声をかけてから加える。□意識レベルをJapan Coma Scale〈JCS〉、およびGlasgow Coma Scale〈GCS〉で評価する。□*話し方の異常、顔面麻痺、上下肢麻痺の有無と左右差、瞳孔の大きさと対光反射を評価する。7)気道を維持する□意識障害があり、気道確保が必要で、呼吸と循環が安定していれば、頭部後屈あご先挙上法、下顎挙上法、回復体位などの方法で気道の維持を継続して行う。(注)回復体位を実施する場合は、頭部や頸部に無理な力がかかっていないかど   うかを確認しながら安定した側臥位にし、頭部を後屈させる。□気道が維持され、呼吸と循環が安定しているかどうか経時的に確認する。□*頸椎頸髄損傷が疑われる場合は、体位変換せず下顎挙上法のみを行う。8)バッグ・バルブ・マスクを用いて人工呼吸を行う(後述)9)容態変化時の対応□容態が大きく変化した場合は、気道、呼吸、循環、意識レベルを再評価する。10)体温維持に留意する□体温低下の可能性があれば毛布などによる保温に努める。高体温の疑いがあれば冷却をはかる。11)医療者に申し送る□到着した医師・看護師に引き継ぎ、状況を概ね10秒以内で簡潔に報告する。(キーワードの例)「意識レベル」「呼吸循環」「人工呼吸」(7)気道異物による窒息への初期対応(注)ここでは窒息したところを目撃された成人への対応を扱っている。1)窒息の認知□苦しそう、顔色が悪い、声が出せない、息ができないなどがあれば、窒息を疑う。□「ものが詰まりましたか」などと声をかけ、患者さんの身振り手振りや声が出せないことなどで窒息していることを確認する。2)応援や資器材を依頼する□窒息の疑いがあれば、助けを求める。(注)病室ではナースコールを使ってもよい。□助けの人に①応援の人(医師・看護師・院内救急コール)、②AEDまたは除細動器、③救急カートなどを依頼する。3)腹部突き上げ法を実施する□患者さんへの配慮として、「後ろからお腹を押します」など声をかけてから処置を行う。□患者さんの背後から両手を腹部にまわし、臍の頭側に片手の拳を当て他の手で拳を覆い横隔膜の方向にすばやく突き上げる。剣状突起を圧迫しないように注意する(妊婦や肥満者には、腹部突き上げ法ではなく胸部突き上げ法・背部叩打法を行う)。4)背部叩打法を実施する□患者さんへの配慮として、「背中を叩きます」など声をかけてから処置を行う。□手掌基部で患者さんの肩甲骨の間を力強く連続して叩く。5)意識消失への対応□依頼中の応援や資器材が到着していないうちに患者さんの反応がなくなったら、再度応援や資器材の依頼を行い、胸骨圧迫から心肺蘇生法を開始する。この際、呼吸と脈拍の確認は行わない。気道確保の度に口腔内をのぞき込み、異物があれば除去する。盲目的指拭法は行わない。窒息による意識消失であれば脈拍を触知していても胸骨圧迫を行う。6)バッグ・バルブ・マスクを用いて人工呼吸を行う(後述)64/84117117117

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