共用試験ガイドブック第18版
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Ⅱ-2 臨床実習の評価としての共用試験臨床実習後の評価としての共用試験は,臨床実習で卒業を許容できると判断できる臨床能力を修得できているかを,全国共通の評価基準で測定することです。すなわち,これにより医師及び歯科医師養成機関である医・歯学部が,自大学の学生が卒業の時点で,臨床研修を開始できる能力を有していることを社会・国民に対し明確に示すことができます。本来,臨床実習の評価は,臨床実習現場で評価するworkplace-based assessmentが望ましい評価ですが,すべての医・歯学生について,外部の評価者が臨床実習現場に赴いて客観的評価基準で評価することは,実行可能性の観点からはきわめて困難です。そこで,歯学系の一部を除き,シミュレーションテストであるOSCEにより評価することを計画し,実施し始めました。詳細は各項目で後述されますが,ここでは医学系において正式実施として開始された例を示します。診療参加型臨床実習では,実際の患者さんに医療面接を行い,身体診察の所見と合わせて,臨床検査等を計画し,それらから得られた諸情報を解釈して病態を解析し,治療計画を立て,指導医に報告します。これをOSCEに組み立てて,日常,頻繁に接する可能性のある症候を有する症例を課題として,医療面接・身体診察・指導医へのプレゼンテーションを1つの試験室で行い,医学生は1人あたり3課題受験する。その評価は,あらかじめトレーニングされた他大学教員の医師と臨床研修病院の指導医が実施大学に赴き,評価者となって定められた評価表を用いて評価します。これにより,より公平性と客観性が確保された試験となります。現在は,機構から提示された3課題に加えて,各大学の自律性を尊んで大学独自のOSCE課題も実施することを推奨しています。歯学系では,現在,全国統一の一斉技能試験のみならず,workplace-based assess- mentとしての臨床実地試験の計画が進行中です。138138

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