共用試験ガイドブック第18版
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256Ⅲ-2 臨床実習の評価としての共用試験 歯学系診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-Clinical Clerkship Performance Examination(Post-CC PX))とは,歯学生が診療参加型臨床実習を通じて身につけた臨床能力を測り,歯科医師としての資質を備えていることを確認するために行います。 歯科治療には専用の各種機器や材料を必要とすること,患者に与える侵襲の程度が低くないものが含まれること等の特徴があるため,各大学において工夫しながら実施されている診療参加型臨床実習の形態は様々です。また,それぞれの疾患に対して高度に専門・分化している医科同様,歯科にもいくつかの専門領域があり,臨床実習中の歯学生はそれぞれの領域を専門とする教員の指導を受けながら実地に歯科医療を学んでいます。しかし,どのような処置内容であっても歯科治療を行う際に必要とされる要件は本質的に変わりません。すなわち,常に患者への配慮を念頭におき,その処置の必要性を理解した上で正しく器材を扱いながら治療を実践することや自分に足りない点を確実に認識し,治療中の状況を適切に患者や指導教員に説明・報告することなどがあげられます。さらに,歯科では鋭利な器具を使用し,診療中に体液や血液に触れることが少なくないため,医療安全や感染対策に対する理解と配慮も必要不可欠といえます。 歯学系診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験は「歯学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)」において,「G 臨床実習」の別表「臨床実習の内容と分類」に提示された「3. 基本的臨床技能」のうち「Ⅰ.指導者のもと実践する」「Ⅱ.指導者のもとでの実践が望まれる」に含まれるものを中心に,この試験の目的を果たすと考えられるすべての処置から課題を抽出して行われ,臨床実地試験と一斉技能試験によって構成されます。 受験料については,会費規程で受験生一人当たり30,000円と定められています。 (1)臨床実地試験(CPX:Clinical Practice Examination)診療参加型臨床実習の現場において①~⑥に掲げる項目に関する評価を行い,学生が歯科医師に求められる標準的かつ必要十分な資質を有していることを確認します。 ①治療に際して患者に配慮する②当日の治療に必要な器材を確実に準備する③必要時に指導教員に報告する④処置中に器材を正しく取り扱う⑤当該疾患に対して必要な処置およびその内容を説明し、自らが行った治療について正しく自己評価する⑥処置中,後片付け時に医療安全・感染対策に配慮する256

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