共用試験ガイドブック第18版
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3はじめに“共用試験ガイドブック”をお届けします。これまで,本機構は,毎年,“臨床実習開始前の「共用試験」”を発刊してきましたが,本年度からは,臨床実習の評価として,医学系では臨床実習後客観的臨床能力試験(PostClinicalClerkshipObjec-tiveStructuredClinicalExamination;Post-CCOSCE)を,歯学系では臨床実地試験(ClinicalPracticeExamination;CPX)と一斉技能試験(ClinicalSkillExami-nation;CSX)を,それぞれ実施することにより,臨床能力修得度を測定することになりました。そのため,従前の内容に加え,臨床実習における臨床能力評価に関する情報も含めて,誌名を“共用試験ガイドブック”と改め,発刊することにしました。医師や歯科医師を目指す学生諸君は,医学・歯学を学ぶ上で,患者さんに直接接して,臨床技能と態度を修得することが求められますが,そのためには,医学・歯学に関する基本的な知識と共に,患者さんと接するための最低限の技能と態度を身につけておくことが必要です。臨床実習開始前に到達しておくべき知識・技能・態度のレベルが,モデル・コアカリキュラム:教育内容ガイドラインとして提示されています。共用試験は,このガイドラインに準拠して,臨床実習前に,1)コンピューターを用いた知識に関する客観試験(ComputerBasedTesting,CBT)によって知識の総合的理解度を,2)客観的臨床能力試験(ObjectiveStructuredClinicalExamination,OSCE)によって基本的臨床技能と態度を評価するもので,学生の知識と技能・態度が臨床実習に参加可能な一定水準以上に到達していることを確認するためのものです。現在,医学系82大学,歯学系29大学が協力して推進しているのが,大学間共通の評価システムです。これまで,参加大学教職員の自主的かつ献身的な努力によって,試行を経てCBTとOSCEが全国的に導入され,各参加大学の教育改革に大きな成果を上げており,社会的にも支持され,一層推進されることが期待されています。共用試験は,医学系・歯学系の大学・学部等が社会に対して教育の質を保証して,医師・歯科医師の育成に対する国民の理解を求めることも目的の一つです。本誌には,試験の問題,成績,評価などに関する情報が掲載されていますので,医学生・歯学生はもとより,医学部・歯学部の教職員のみならず,臨床研修病院,地域医療機関,医師会・歯科医師会等の医療関係者,各関係行政機関をはじめ,我が国の医師養成にかかわるすべての皆様に活用していただけることを願っております。現在,医師国家試験は知識に関する試験が行われていますが,知識に加えて,技能・態度の評価としてのOSCEの改善・充実が求められており,その第一歩として臨床実習前共用試験の公的化が実施されようとしていますので,今後,本機構の役割は一層大きくなるものと思います。共用試験の意義をご理解いただき,共用試験の円滑な運用に対するご協力と改善に向けてのご指導をお願い申し上げます。令和2年8月公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構理事長栗原敏

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