共用試験ガイドブック第18版
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54教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構はじめに2020年1月21日 公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構医学系OSCE実施小委員会 委員長 内田 啓子 わが国の臨床医学教育における臨床実習を見学型から診療参加型へ転換すべしといわれて久しいが、国際的評価に耐えうる医学教育を目的に、その機運がさらに高まってきている。 医学生が実際の診療に参加するには、その受験生が基本的医学知識と臨床技能を修得していることを社会に説明する必要がある。共用試験の正式実施は数回の試行を経て、2005年12月から始まり、2020年度で16回目になる。この試験の目的は、臨床実習前の医学生の能力を、知識、技能、態度の面で適正に評価すると同時に、社会的にも医学生が臨床現場に参画する妥当性を担保しようとするものである。 2020年より、臨床実習終了時(臨床研修1日目)に身につけておくべき臨床技能と態度を評価する診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-CC OSCE)が正式実施されるため、長年共用試験OSCEと称されてきた本OSCEは医学系臨床実習前OSCE(Pre-CC OSCE)と呼称されることとなった。 共用試験は、知識を評価する試験(Computer Based Testing: CBT)と、臨床技能と態度を評初版は2002年6月に最初のトライアル時に示され、その後、2005年9月に正式実施第1版が公表され、2006年9月に正式実施第2版(Ver.2.0)を発行し、全面的に改訂し、2015年8月に第3版(第3.02版)として発行、本年は、「平成28年度改訂版医学教育モデル・コア・カリキュラム」に準拠させた第4版(第4.0版)を発行し、2020年度実施キットに収載した。 共用試験OSCEは、受験生諸君も含む多くの医学教育関係者のご協力により成り立っている。今後もご意見や、ご要望をお寄せいただくと共に、引き続きご理解とご協力をお願い申し上げる。最後に、本書の作成にご尽力いただいた多くの関係者に深甚の感謝を申し上げる。中でも必要最低限の部分を共用試験OSCEで評価するのがこの試験のあるべき姿であろう。受験生諸君においては共用試験OSCEに合格することだけを目的にし「格好だけの診察」を学ぶのではなく、生涯にわたって必要となる真の臨床能力を身に付けるよう努めていただきたい。そして、臨床実習前OSCEに合格し、有意義な参加型臨床実習を行い、臨床実習後OSCE、さらには臨床研修へとつなげていってほしいと考えている。価する客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination: OSCE)からなり、いずれもそれまでの学習の総括的試験である。OSCEではこの冊子に示す『診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学修・評価項目』が学習目標であり、その教育の実践は各大学に任されている。言うまでもなく、学習のカリキュラムは、まず学習目標があり、それを達成するために学習内容と方略が計画され、それに基づく教育活動があり、最後にそれらを評価し改善に結びつけるために試験が行われることが望ましい姿である。共用試験に出題されるから綻びを繕うように教育をするというのではなく、それぞれの学校の理念に基づいて技能と態度が充分に教育され、その 『診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学習・評価項目』の1/84545454

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