共用試験ガイドブック第18版
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教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構Ⅰ.診療参加型臨床実習における技能と態度についての目標診療参加型臨床実習修了時には、医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)「A.医師として求められる基本的な資質・能力」に示されている項目を身につけていることが学生に求められる。資質・能力には知識、技能、態度、価値観等が含まれるが、本章では「A.医師として求められる基本的な資質・能力」から技能と態度を中心に学生に求められる項目を抜粋して掲載した。また医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)「G-1-1)-(3)学生を信頼し任せられる役割」では、臨床実習修了時に学生を信頼して任せることができる業務 (entrustable professional activities )が記載されている。これらは、先ほど述べた「A 医師として求められる基本的な資質・能力」中のいくつかの項目が組み合わさることにより達成されるものである。医療系大学間共用試験実施評価機構で「初期臨床研修初日にできなければならないことは何か」を考慮しつつ学生が行う行為について改めて検討し、医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)から改変して掲載した。これらの掲載項目は客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination )にて評価することができる項目もあるが、実際の診療参加型臨床実習中に「観察記録」の観察項目として評価する方が好ましいものも多い。各大学においてはここにあげた項目を minimum essentials として、各大学独自の観察項目をつけ加えた形で診療参加型臨床実習中の観察記録に利用することが望まれる。なお、医療系大学間共用試験実施評価機構で検討した学生が行う行為と医学教育モデル・ コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)に掲載されている医師として求められる基本的な資質・能力についての関係を巻末の「Appendix. 医師として求められる基本的な資質・能力と学生が行う行為」に示した。(1)医師として求められる基本的な資質・能力1)プロフェッショナリズム医学生には、医師として求められる基本的な資質・能力の1つとして「人の命に深く関わり健康を守るという医師の職責を十分に自覚し、患者中心の医療を実践しながら、医師としての道(みち)を究めていく。」ことが求められている。□選択肢が多様な場合でも適切に説明を行い、患者の価値観を理解して、患者の自己決定を支援できる。□診療参加型臨床実習において、患者やその家族と信頼関係を築くことができる。□患者やその家族のもつ価値観や社会的背景が多様であり得ることを認識し、そのいずれにも柔軟に対応できる。2)医学知識と問題対応能力発展し続ける医学の中で必要な知識を身に付け、根拠に基づいた医療(evidence-based medicine )を基盤に、経験も踏まえながら、幅広い症候・病態・疾患に対応する。□患者のプロブレムについて、自ら発見できる□患者のプロブレムについて、重要性・必要性に照らして順位付けできる。□患者のプロブレムを解決する具体的な方法を発見し、課題を解決できる。□患者のプロブレムの解決に当たり、他の学修者や教員と協力してよりよい解決方法を見出すことができる。□適切な自己評価ができ、改善のための具体的方策を立てることができる。□患者のプロブレムに関する国内外の教科書・論文、検索情報等の内容について、重要事項や問題点を抽出できる。□得られた情報を統合し、客観的・批判的に整理して自分の考えを分かりやすく表現できる。□実習の内容を決められた様式に従って文書と口頭で発表できる。□後輩等への適切な指導が実践できる。7/8460606060

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