共用試験ガイドブック第18版
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6Ⅰ-1臨床実習前共用試験の概要(3)臨床実習前共用試験の位置付けについて①社会・国民の要請に応えた優れた医師・歯科医師の育成に向けて,大学自らが臨床実習開始前の適切な評価システムを構築し,これを各大学が共通で利用することが要請されてきました。また,医師・歯科医師の資格のない学生が臨床実習に参加するために,事前に学生の評価を行うことが求められてきました。これらの要請に応えるために,各大学が協力して共用試験システムを構築しています。②大学に在籍中の学生の評価ですから,各大学が責任をもって共用試験を実施し,成績を評価します。全国成績が公開されるため,学生も全国成績を参照して学習の到達程度を知ることができます。また,各大学も全国的な解析データを参考に学部教育の改善に努めることができます。③臨床実習前共用試験は,現在は国家試験ではありませんが,令和2年5月に出された厚生労働省の医道審議会医師分科会報告書では,臨床実習前の共用試験を公的化することが示され,同歯科医師分科会においても,その方向の議論が進んでいます。公的化すれば,準国家試験的性格の試験になることが予想されます。(4)モデル・コア・カリキュラムと共用試験の関係について①科学技術の進歩により医学・歯学教育の内容が膨大となったため,必要最低限の必須の教育内容を精選する作業が全国の医科大学・歯科大学関係者によって行われ,文部科学省「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」から,「21世紀における医学・歯学教育の改善方策について~学部教育の再構築のために~」の報告に基づき,平成13年3月に,・医学教育モデル・コア・カリキュラム:教育内容ガイドライン#・歯学教育モデル・コア・カリキュラム:教育内容ガイドライン#・準備教育モデル・コア・カリキュラム:教育内容ガイドラインが提示され,これらに準拠した各大学の教育改革が始まりました。②医学教育モデル・コア・カリキュラム及び歯学教育モデル・コア・カリキュラムには,卒業までに取得すべき到達目標が表示されています。臨床実習開始前の共用試験は,この到達目標のうち,臨床実習開始前までに到達すべきレベルを考えて作られてます。#医学教育及び歯学教育のモデル・コア・カリキュラム:教育内容ガイドラインに提示された到達目標の中で,学生が臨床実習に参加するために必要な技能と態度については,医学系では臨床実習前共用試験OSCEの「診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学修・評価項目」(P53~P137),歯学系では「課題と学習目標」(p248~p255)としてまとめられています。(5)モデル・コア・カリキュラムの改訂について①医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議:第1次報告,第2次報告,最終報告(平成18年11月~平成19年3月)に基づき,モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する専門組織が設置され,緊急の社会的要請に対応した医学教育モデル・コア・カリキュラム及び歯学教育モデル・コア・カリキュラム:教育内容ガイドライン(平成19年度改訂版)が文部科学省から公表されました(平成20年1月)。改訂の内容は,医師,歯科医師として求められる基本的資質,地域医療学習の充実,腫瘍教育の充実,医療安全教育の充実,研究マインドの育成,用語の修正等必要最小限の改訂です。②医学教育カリキュラム検討会(平成21年5月),歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(平成21年1月)の提言を受け,モデル・コア・カリキュラムの改訂に関す6

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