共用試験ガイドブック第18版
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81教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構Ⅵ.胸部(注)診察の順序は、患者さんの病態に応じて変える必要がある。(1)診察時の配慮「Ⅱ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学修・評価項目」を参照。(2)医療安全□胸部を露出し胸部診察を行うことを事前に説明し同意を得る。□高齢者や日常生活動作〈ADL〉に支障のある方、意識障害、認知症、視力や聴力の障害がある患者さんに対し転倒予防など適切な対応をする。□激しく咳をしている患者さんを診察する場合は、互いにマスクを着用し感染防御に注意する。□頸動脈の診察では、聴診であらかじめ血管雑音のないことを確認した上で触診を行う。□痛みのある領域の打診や叩打診は苦痛を与えないように実施する。(3)聴診器の使用□聴診器のイヤピースを外耳道の方向にあわせて装着し、チェストピースを適切に把持する。□目的に応じて、膜型、ベル型を使い分ける。(注)ベル型は低音域、Ⅲ音、Ⅳ音の聴診に使う。   ベル型では胸壁をかろうじて覆う程度に軽く圧着させ、膜型では胸壁にしっ   かり押しつけて聴診する。   肺尖部の聴診では、ベル型を胸壁に密着させて用いてもよい。(4)診察の準備□患者さんの羞恥心に配慮してバスタオルや診察用ガウンを適宜使用する。□頸部を含む胸部全体を診察できるように準備する。(5)頸部血管1)視診□外頸静脈を観察する。(注)正常では仰臥位で輪郭を認める。座位では認めないことが多いが、息こら   えをすれば怒張し、確認できる。□*右内頸静脈の拍動を仰臥位で観察する。(注)正常では仰臥位で拍動が周囲の筋肉・皮膚に伝搬しているのを確認できる。   頸静脈は陰性波の拍動がより明瞭だが、頸動脈は陽性波の拍動が中心に観   察される。□*座位や半座位で内頸静脈拍動を観察する。(注)頸静脈の観察により右房圧の推定ができ、右心系疾患や呼吸器疾患などの   診断の補助となる。正常では座位では拍動を認めない。2)聴診□下顎角直下約2cmの部位で頸動脈の聴診を両側で行う。3)触診□一側ずつ頸動脈を甲状軟骨の高さで示指、中指(または母指)の指腹を使って軽く触診をする。□触診は必ず聴診の後に行う。(注)頸動脈硬化が疑われる場合には触診は行わない。(6)前胸部の視診□解剖学的部位を特定する。胸骨角、剣状突起。□皮膚所見を確認する。皮疹・着色斑・手術痕など。□胸郭の形状、輪郭を確認する。変形・左右差など。(7)心臓(注)心臓の診察は基本的に仰臥位・左側臥位で行うことが推奨されているが、28/84818181

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