共用試験ガイドブック第18版
86/278

教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構Ⅶ.腹部(1)診察時の配慮「Ⅱ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学修・評価項目」を参照。(2)医療安全1)腹部全般□ 腹部を露出してもらうことを事前に説明し同意を得る。□ 高齢者や日常生活動作〈ADL〉に支障のある方、意識障害、認知症、視力や聴  力の障害がある患者さんに対し転倒予防など適切な対応をする。□ 痛みのある領域の打診や叩打診及び触診は過度に苦痛を与えないように実施  する。2)*直腸診□ 直腸診の目的を患者さんに説明する。□ 直腸診の方法の概略を患者さんに説明する。□ 患者さんが直腸診の内容を理解したことを確認し、実施の承諾を得る。□ 看護師(または他の医療職)が陪席していることを確認する。□ 糞便、体液による汚染防止に留意し、使用後の用具は感染性廃棄物入れに廃  棄する。(3)診察の順序と事前の注意事項□ ベッドに仰向けになってもらい、腹部を十分に露出してもらう。  (注)一般的には、患者さんの右側に立って右手で診察することが推奨され  ている。  可能な限り心窩部から恥丘、鼠径部までの範囲を診察できるようバスタオル  などを用いて、羞恥心に配慮する。  以下、特に記載がない場合の診察体位は仰臥位とする。□ 視診-聴診-打診-触診 の順序で診察を進める。□ 腹痛のある患者さんの場合は、まずその場所を聞いておく。□ 視診・聴診・打診では十分な診察範囲を確保するために両膝を伸ばした状態  で診察を行う。□ 触診でも両膝を伸ばした状態で診察を行うが、腹壁の緊張がある場合は膝を  軽く曲げる、膝の下へ枕を挿入する、上肢を挙上している場合は体の脇に下  ろしてもらう、などの工夫をする。(4)視診□ 腹部の輪郭を観察する。左右非対称・腹水などによる横への張り出し。□ 腹部の形状を観察する。平坦・膨隆・陥凹。□ 腫瘤の有無を観察する。□ 皮疹・着色斑・手術瘢痕・静脈怒張・皮膚線条・拍動などの有無を観察する。  (注)腹部の視診においては、上方および側方からくまなく観察する。  形状は胸郭レベルまたは剣状突起と恥骨結合とを結ぶ仮想線を基準にする。  (5)聴診1)聴診への導入□ 聴診器で腹部の音を聴くことを説明する。□ 聴診器が冷たくないか触って確認する。冷たいときは温める。□ 聴診器が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。31/8484848484

元のページ  ../index.html#86

このブックを見る