共用試験ガイドブック第18版
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85教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構2)腸蠕動音の聴診□ 腹壁に膜型聴診器を軽く当てて腸蠕動音を聴診する。□ 腸蠕動音の聴診は十分時間をかけて聴取する(1,2か所の聴診でよい。)。□ *腸蠕動音の頻度(亢進・低下・消失)や性状(金属性などの異常音の有無)  を判断する。3)腹部の血管音の聴診□ 膜型聴診器を押し当てて大動脈音を直上で聴診する。□ *膜型聴診器を押し当てて左右の腎動脈音を直上で聴診する。□ *膜型聴診器を押し当てて左右の総腸骨動脈音を直上で聴診する。4)*振水音を聴診する。□ イレウスが疑われる場合には、上腹部に膜型聴診器を押し当てて腹部全体を  両手で強めに揺すって聴診する。(6)打診1)打診の導入と基本手技□ 腹部を叩いて(打診で)診察することを説明する。□ 手が冷たくないことを確認し、必要に応じて温める。□ 手が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。□ 左(右)手を広げ、その中指の中節骨部またはDIP関節部を、曲げた右(左)  中指で手首のスナップを効かせて弾むように原則として2回ずつ叩き、打診す  る。□ 痛みがあるとわかっている場合は、その部位の打診は最後にする。2)腹部全体の打診□ 腹部の9領域(左上・中・下、中央上・中・下、右上・中・下)を打診する。□ 打診しながら口頭あるいは顔の表情で痛みを確認する。□ 打診音の異常の有無を確認する。3)肝臓の打診□ 肝臓の上界(肺肝境界)を、右鎖骨中線で、頭側からの打診で判断する。□ 肝臓の下界を、右鎖骨中線で、尾側からの打診で判断する。4)脾臓の打診□ Traube三角(第6肋骨、肋骨下縁、前腋窩線で囲まれた範囲)に濁音界がな  い(鼓音である)かどうかを判断する。(7)*叩打診1)肝臓の叩打診□ 右肋骨弓頭側に平手を置き、反対側の手拳の尺側面で優しく叩き、肝臓の叩  打痛の有無を診察する。2)脾臓の叩打診□ 左肋骨弓頭側に平手を置き、反対側の手拳の尺側面で優しく叩き、脾臓の叩  打痛の有無を診察する。3)腎臓の叩打診□ 側臥位または座位で肋骨脊柱角(CVA)に平手を置いて、反対側の手拳の尺側  面で優しく叩き、叩打痛の有無を診察する。平手を置かずに直接叩打しない  こと。両側で行い比較する。(8)触診1)触診の導入と基本手技□ 腹部を触って診察することを説明する。□ 手が冷たくないことを確認し、必要に応じて温める。□ 手が冷たかったら、その旨を伝えるように促す。□ 腹部の9領域(左上・中・下、中央上・中・下、右上・中・下)を触診する。□ 痛みがあるとわかっている場合は、その部位の触診は最後にする。□ 触診しながら口頭や顔の表情で痛みを確認する。2)浅い触診□ 片手で、示指から小指まで指をそろえて浅く圧迫しながら触診する。指は立  てない。□ 腹壁を1cm以上圧迫しない程度に行う。□ 圧痛、筋抵抗、表層の臓器や腫瘤の有無を判断する。32/84858585

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