共用試験ガイドブック第18版
88/278

教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構□腹壁筋の筋抵抗は、随意・不随意の緊張の有無から判定する(筋性防御・筋強直)。3)深い触診□片手、または両手で(片手を腹壁に置き、反対の手で力を加え)、示指から小指まで指をそろえて深く探るように触診する。□手を押し下げ、少し手前に引くように触診する。□腫瘤の有無を判断する。4)肝臓の触診□打診で推定した肝臓の下縁よりも十分に尾側の右鎖骨中線上に右(左)手を置く。□左(右)手を背部に置き、肝臓を持ち上げながら触診する。(肝臓を持ち上げないで片手で、あるいは両手を腹部に重ねるように添えて触診してもよい。)□患者さんに腹式呼吸をしてもらい、呼気時に右(左)手の指を深く入れる。□次の吸気時の腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにして、肝臓の下縁を触れる。□示指、中指の指先(やや母指側)または肋骨弓に平行に置いた示指の母指側の側面で触れる。□手を置く部位を少しずつ頭側へ近づけながら触診を繰り返す。5)脾臓の触診□胸郭/肋骨籠(rib cage)を後ろから支える様に左(右)手を背部に当てる。患者さんに右側臥位になってもらってもよい。□右(左)手を左肋骨弓の尾側に置く。□患者さんに腹式呼吸をしてもらい、呼気時に右(左)手の指を深く入れる。□次の吸気時に、腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにして脾臓を触診する。6)*腎臓の触診□左(右)手を背部の右第12肋骨の尾側に平行に置き、指先が肋骨脊柱角(CVA)に届くようにする。□右腎を腹側(上方)に持ち上げるようにする。□右(左)手を上腹部、腹直筋の外側に平行になるように置く。□患者さんに腹式呼吸をしてもらう。□最吸気時に腹壁の上がりよりも少し遅れて右(左)手が上がるようにする。□次の呼気時に、腎臓を両手で捕獲する気持ちで腎下極を挟み込むように触診する(腎臓は上方に滑る)。□右腎と同様に左腎を触診する(可能であれば患者さんの左側に移動する)。(9)病態に応じた精密診察法1)*腹水の評価□看護師(または他の医療職)または患者さん自身の手の側面を腹部正中線上に縦に立ててもらい、側腹部を手指で軽く叩いて衝撃を加え、対側の側腹部に置いた別の手に波動を感じとる。□shifting dullnessによって腹水の有無を判断する。➢仰臥位で、打診音が変化する部をマークする。続いて、側臥位に移行してもらい、打診音が変化する部(濁音界)をマークし比較する。33/8486868686

元のページ  ../index.html#88

このブックを見る