共用試験ガイドブック第18版
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87教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構2)痛みがある部位の触診□痛みがあるとわかっている場合は、その部位の触診は最後にする。□触診しながら口頭あるいは顔の表情で痛みを確認する。□苦痛に配慮して静かに、ソフトに触診する。□*1本の指の末節掌側を使って、限局した圧痛点を探り、確認する。(最強点以外にも数か所で確認)□*虫垂炎が疑われる場合、McBurneyの圧痛点を同定し、Rovsing徴候(左下腹部を押さえたときの右下腹部痛)の有無を確認する。□*急性胆嚢炎が疑われる場合、Murphy徴候(右肋骨弓下の圧痛による吸気の途絶)を確認する。3)*腹膜刺激徴候の評価□触診の前に患者さんに咳をしてもらい、痛みが誘発されるか確認する。(咳嗽試験)□咳嗽試験ではっきりしない場合、数本の指の末節掌側で圧痛の有無を確認し、痛みがある部位にゆっくり押し付けて(2~3秒くらいのイメージ)、急に手を離して圧を抜く(0.5秒くらいのイメージ)。押し付けた痛みと手を離した瞬間の痛みを比較して質問し、痛みの増強の有無を確認する。(反跳痛;rebound tenderness)□患者さんにベッドから降りてもらい、つま先立ちから急に踵をおろした際に腹部に響くかを確認する(踵落し衝撃試験)。  参考資料:「マクギーの身体診断学-エビデンスにもとづくグローバル・スタンダード原  著第2版」(診断と治療社、2009年)より引用  急性の腹痛、腹膜炎を検出する諸徴候  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 尤度比(LR)――――――――――   所見           感度(%)  特異度(%)  所見あり   所見なし  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――   腹部の診察筋性防御13~7656~ 972.60.6筋強直6~4086~1003.9NS反跳性圧痛40~9520~ 892.10.5打診による圧痛6573NS0.5異常な蠕動音25~6144~ 95NS0.8  直腸指診直腸の圧痛20~6144~ 95NSNS  そのほかのテスト腹壁圧痛テスト陽性1~ 532~ 720.1NS咳嗽テスト陽性73~8444~ 791.80.4  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――   NS = 有意差なし、所見ありの場合のLR = 陽性LR、所見なしの場合のLR = 陰性LR4)*腹部腫瘤の触診□浅い触診と深い触診とにより、腫瘤の有無を判断する。□腫瘤がある場合、L~Tを観察して表現する。  L:Location位置  M:Mobility可動性  N:Nodularity表面の性状  O:relationship to Other organs 他臓器との関係  P:Pulsatility拍動の有無  Q:Quality硬さ  R:Respiratory mobility呼吸性移動の有無  S:Size & Shape大きさと形  T:Tenderness圧痛の有無34/84878787

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