共用試験ガイドブック第18版
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89教員・学生配布資料公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構Ⅷ.神経(注1)ここで提示する診察項目は、*の項目も含め神経学的診察を行う上で必須  の手技を選択し、解説している。そして臨床実習開始前までに修得すべき項  目とした手技については、他の身体診察との学習量のバランス、模擬患者へ  の侵襲的手技の回避、臨床実習前OSCEが正常者への診察を原則としているこ  とへの整合性確保の観点から選択したものである。従って、卒業時までにす  べての神経診察手技を必ず修得しなければならない。(注2)以下の文章は右利きの検者を想定して説明してあるので、左利きの場合に  は適宜読み替えて行う。(1)診察時の配慮「Ⅱ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学修・評価項目」を参照。(2)医療安全□ 高齢者や日常生活動作〈ADL〉に支障のある方、意識障害、認知症、視力や聴  力の障害がある患者さんに対し転倒予防など適切な対応をする。□ 表在感覚の検査具としては、従来、筆やルーレットが用いられてきたが、皮  膚の損傷や感染予防の観点から触覚検査にはティッシュペーパー、痛覚検査  には楊枝の先端など、ディスポーザブルなものを使用する。□ Babinski徴候の検査具には、従来、ハンマーの柄などが用いられてきたが、  皮膚の損傷や感染予防の観点から楊枝の頭部など、ディスポーザブルなもの  を使用する。□ 舌圧子、ペンライト、音叉、楊枝は患者さんに外傷や苦痛を与えないよう、  正しく使用する。□ つぎ足歩行、Romberg試験では危険がないように、患者さんの近くにいて見守  る。□ 意識レベルの診察で疼痛刺激を与える時は、痕が残らない程度の強さにとど  める。(3)診察の順序□ 神経学的診察を行うことを説明して同意を得る。□ 脳神経(座位)‐上肢の運動系(座位)‐起立・歩行(立位)‐下肢の運動  系(仰臥位)‐感覚系(仰臥位)‐反射(仰臥位)の順序で診察を進める。  (注)系統的であれば、診察の順序は上記以外でもよい。□ 意識障害、認知機能や言語(失語と構音障害の有無)、不随意運動について  は、医療面接の段階で大まかに判定しておく。□ 同様に、視覚や聴覚についても、医療面接の段階で詳細な検査が必要かどう  かを判断しておく。(4)脳神経の診察(座位)1)*嗅覚□ 嗅覚低下の有無を確認する。□ 必要に応じて嗅覚検査を行う。□ 必ず両側を検査する。2)視野□ 検者が見本を見せながら、片側の眼を患者さんの手で覆ってもらう。□ 視線を動かさず、検者の眼を見ているように指示する。□ 見本を見せながら、検者の指が動くのが見えたら知らせるよう伝える。□ 検者の指は患者さんと検者のほぼ中間にあるようにする。□ 検者も患者さんに合わせて対応する側の目を閉じる(手で覆ってもよい)。□ 視野の右上、右下、左上、左下、計4か所を調べる。□ 必ず両眼を検査する。(注)患者さんの視線を固定するために、検者の指を注視させる方法もある。3)眼球運動・眼振□ 指標(検者の右示指など)を患者さんの眼前に示し、顔を動かさずに眼で指  標を追うよう伝える。36/84898989

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